
【妊活いつまで】不妊治療の終わり・その後のリアル「3人に1人が PTSD症状のハイリスク」知っておきたい注意点【専門家解説】
終わりから考える妊活 #1 (2/3) 1ページ目に戻る
2026.03.25
「あまりにもつらいので、当事者の方々はそれを直視しないようにして、次の治療へと気持ちを切り替えています。それが重なるうち、街中やテレビで妊婦さんや赤ちゃんを見るだけでも気持ちが沈んだり、怒りを感じたりと、強いストレスを抱えてしまうこともあります」(香川先生)
同じアンケート調査では、不妊治療中の心理的ストレスを尋ねる項目もありました。
そこでは回答者の7割に、「軽度以上の気分・不安障害の可能性」が。さらに「重度のうつ・不安障害が疑われる状態」が見られる回答者が、2割を占めました。
不妊治療には検査や通院の段取りに加えて投薬が必要で、多くの人がストレスを感じるもの。子どもを授からずに不妊治療を終えた人は、このストレスにさらに、心の傷が重なってしまうのです。
「生殖心理カウンセラー」の助け
不妊治療中の心理ケアは、2000年代から「生殖心理カウンセラー」という専門資格が作られ、対策が考えられています。香川先生も、この資格を持つ一人です。
「ですがこのカウンセラーは、全国に100人ほどとまだ少なく、対象は不妊治療中の方が中心です。治療を終えた人は、支援の輪からこぼれ落ちてしまっています」(香川先生)
不妊治療で子どもを授からなかった人たちの苦しみは、ケアされていないのではないか──カウンセリングに来る人々や知人たちの様子から、その思いを強くしてきたと、香川先生は言います。
「お子さんを授かった人は、子育てを通して、さまざまな機関や支援と繫がります。ですが授からないとそれらと繫がる機会がなく、孤立感を抱きやすいことも、気になっていました」(香川先生)
3人に1人がPTSD症状(心的外傷後ストレス障害)のハイリスク
香川先生は2020年から、学術的な調査・研究を始めました。対象は、1年以上治療をしても子どもを授からなかった、40歳から60歳の女性261人。
するとそのうちのおよそ3人に1人が、繰り返し苦しみを感じて生活に困難が及ぶPTSD症状(心的外傷後ストレス障害)のハイリスクにある、と分かりました。
このハイリスクな人々には、共通した傾向が現れていました。治療の期間が長かったこと(平均4.27年)、夫の心理的なサポートが少なかったこと。そして不妊治療の体験を、否定的に捉えていたことです。
「不妊は『治療できるもの』という社会通念がある中、自分は『治せなかった』のだと。治療にかけたお金や時間のほか、『子どもがいるはずだった未来』を失ってしまったことへの喪失感が見られました」(香川先生)
その一方で、子どもを授からずに治療を終えた経験を肯定的に捉えている人々の姿も、研究から浮かび上がりました。
「人の苦しみが分かるようになった、強くなれた、優しくなれた。自分の人生を見つめ直す機会になったと、ポジティブに語ってくれました」(香川先生)
不妊治療が望んだ形で終わらなくても、苦しみを繰り返さずに、生きていける人たちがいる。それが明らかになった研究から、「不妊治療を終えるときの、意思決定の心理的サポート」が、より重視されてきているそうです。
香川先生は、これから不妊治療を始める人、今そのさなかにいる人に、3つのことを勧めたい、と言います。
































