
【子どものやけど】「水ぶくれはつぶしたほうが早く治る」は間違い! 正しいやけどの応急処置〔小児科医が解説〕
#15 令和の「子どもホームケア」~子どものやけど~ (3/3) 1ページ目に戻る
2026.01.26
小児科専門医:森戸 やすみ
昔から「やけどにはアロエを塗るといい」と言われますね。アロエは水分を多く含んでひんやりと感じ、皮膚の修復を促すムコ多糖類と微量の抗炎症成分が入っているからでしょう。
でも、皮膚を刺激する可能性がありますし、植物なので成分が一定ではありません。家庭用のアロエには、破傷風菌をはじめ、雑菌がついていることもあります。塗るのなら、市販のアロエエキス配合のジェルや軟膏、クリームのほうが安全ですね。
水ぶくれができるのは、やけどが真皮にまで達した「Ⅱ度 浅達性」「Ⅱ度 深達性」。対処法は「Ⅰ度」と同じですが、水ぶくれ自体は薬で引かせることはできません。程度が軽ければ小児科でもいいのですが、痛みがあり、やけどの状態がひどい場合は、皮膚科を受診しましょう。
もし水ぶくれがつぶれてしまったら、細菌感染や乾燥を防ぐために表面の膜はすべてはがさず、最小限にとどめて。ガーゼや料理用ラップを傷口に密着しないようにやさしくかぶせ、紙テープでとめて保護します。粘着力のある絆創膏やテープは傷口を密閉し、はがすときに皮膚を傷めるので控えましょう。
「黒い」「白い」「痛がらない」ときは早急に皮膚科へ
患部が黒、または白くなり、触っても痛がらないときは「Ⅲ度」のやけどの可能性が高いです。痛がらないのは皮膚の神経が熱によって破壊されてしまうためで、こうなると皮膚科での処置になります。
「Ⅲ度」のやけどを負った部位の面積が体の表面積の2%を超えると入院が必要で、壊死組織を取り除いたり、健康な皮膚を移植する「植皮」(しょくひ)をするなど専門的な治療を行います。
水で濡らしたタオルやシーツを患部にかけて、急いで皮膚科を受診するか、冷やしながら救急車を呼んでください。
「Ⅱ度」でも体の表面積の15%を超える場合は入院になり、また、軽度でも体の表面積の30%を超えるとショックの危険性があるため、入院が必要なこともあります。皮膚科を受診してください。
冬は低温やけども注意
小さい子どものやけど事故は、熱い飲みものが入った食器ややかん、鍋などを倒して体にかかってしまうケースが多く見られます。つかまり立ちや伝い歩きをする年齢の子、なんでも引っ張ってしまう年齢の子がいるご家庭は、特に注意してください。
家庭内で予防できることは、テーブルクロスを使用しない、電気ケトルは倒れてもフタが開かないタイプを選ぶなど。熱湯が出るウォーターサーバーでの事故も報告されています。コードの取り扱いにも気をつけましょう。
夏に多いのは、手持ち花火やキャンプの際のライターや火器によるやけど。冬は、暖房器具や加湿器などによる事故が増えます。床に置くタイプは、直接触れることのないようにベビーゲートなどを活用するといいですね。
電気毛布や電気カーペット、湯たんぽを使う際は、低温やけどにも気をつけましょう。低温やけどは、44~51℃程度のものに一定時間触れることで起こります。はじめは痛みもなく、見た目では症状がわかりにくいのですが、やけどが皮膚の深い部分にまで達し、重症化する恐れもあります。
寝返りができない赤ちゃんは、特に注意が必要です。生後半年未満の赤ちゃんだと、あたためすぎは乳幼児突然死症候群のリスクもあります。
こども家庭庁のWebサイト「こどもの事故防止ハンドブック」(※2)では、やけどをはじめ、0~6歳の子どもに多い事故とその予防法を紹介しています。ぜひ参考にしてくださいね。
【子どものホームケアの新常識 その15】
やけどの水ぶくれは、つぶさない。やけどをしたときは、すぐに水道水で15~30分、痛みやヒリヒリ感がやわらぐまで冷やす。
取材・文/星野早百合
〈参考〉
※1=「東京都こどもセーフティプロジェクト/子どもをやけど事故から守る予防策とは?」
https://kodomosafetypj.metro.tokyo.lg.jp/column/vol-013/
※2=こども家庭庁「こどもの事故防止ハンドブック/やけど事故」
https://www.cfa.go.jp/policies/child-safety-actions/handbook/content-3
●森戸 やすみ(もりと・やすみ)PROFILE
小児科専門医。一般小児科、新生児集中治療室(NICU)などを経験し、現在は都内のクリニックに勤務。医療と育児をつなぐ著書多数

星野 早百合
編集プロダクション勤務を経て、フリーランス・ライターとして活動。雑誌やWEBメディア、オウンドメディアなどで、ライフスタイル取材や著名人のインタビュー原稿を中心に執筆。 保育園児の娘、夫、シニアの黒パグと暮らす。
編集プロダクション勤務を経て、フリーランス・ライターとして活動。雑誌やWEBメディア、オウンドメディアなどで、ライフスタイル取材や著名人のインタビュー原稿を中心に執筆。 保育園児の娘、夫、シニアの黒パグと暮らす。




































森戸 やすみ
小児科専門医。1971年、東京都出身。一般小児科、新生児集中治療室(NICU)などを経験し、現在は都内のクリニックに勤務。『子育てはだいたいで大丈夫』、共著に『やさしい予防接種BOOK』(共に内外出版)など、医療と育児をつなぐ著書多数。『祖父母手帳』(日本文芸社)の監修も手がける。子どもの心身の健康や、支える家族の問題について幅広く伝える活動を行っている。
小児科専門医。1971年、東京都出身。一般小児科、新生児集中治療室(NICU)などを経験し、現在は都内のクリニックに勤務。『子育てはだいたいで大丈夫』、共著に『やさしい予防接種BOOK』(共に内外出版)など、医療と育児をつなぐ著書多数。『祖父母手帳』(日本文芸社)の監修も手がける。子どもの心身の健康や、支える家族の問題について幅広く伝える活動を行っている。