不登校のキミへ… 「不登校は誰にでも起きる」と法律で定められている 生きているだけで子どもはスゴイ! 2000人の子どもを見た識者のメッセージ 

シリーズ「不登校のキミとその親へ」#7‐1 認定NPO法人「フリースペースたまりば」理事長・西野博之さん~子どもたちへ~

認定NPO法人「フリースペースたまりば」理事長:西野 博之

「川崎市子ども夢パーク」の入り口に立つ看板前で。「休息して自分を取り戻す場所」など、子どもの居場所とは何かが書かれている。  写真:浜田奈美

夏休みが終わり、新学期が始まるタイミングで子どもの自殺が増える傾向が続いている。学校に行けないことでしんどくなり、追い詰められてしまうことが、一つの要因だ。

学校に行けない子どもたちとその家族に1980年代から40年近く寄り添ってきた認定NPO法人「フリースペースたまりば」理事長の西野博之さんは、「学校に行けなくても大丈夫」とメッセージを送ります。

※1回目/全4回(#2#3#4を読む)公開日までリンク無効

西野博之(にしの・ひろゆき)PROFILE
認定NPO法人フリースペースたまりば理事長。川崎市子ども夢パーク、フリースペースえんなど、各事業の総合アドバイザー。1986年より学校に行かない子どもや若者の居場所づくりを行う。文部科学省「フリースクール等に関する検討会議」委員などの公職も歴任。

学校と命、どっちが大事? もちろん命だよね

ぼくは学校に行きづらくなってしんどい思いを抱える子どもたちの居場所を作り、子どもたちに40年近く寄り添ってきましたが、ずっと一貫して子どもたちへ伝え続けていることがあります。

それは「学校に行けないというだけで、絶対に死んではだめだよ」ということです。「学校と命、どっちが大事なの?」と考えてみると、わかりますよね。「それはもちろん命でしょ」と。

もし今あなたが学校に行きづらくなって思い悩んでいるとしても、学校という場所は、あなたのその大切な命を削ってまで行かなければいけない所ではないのです。だからどうか、自分のことを追い込まないでほしい。

この40年間で日本の社会も変わってはきたけれど、それでもまだ子どもが「学校に行けない」ことに対して、優しい社会、とまでは言えないよね。

例えば最近、世の中では「再登校」という言葉を使って、学校に行けず苦しんでいる子どもたちを無理やり学校に戻そうとあおる人たちがいるけれど、子ども自身の気持ちを無視した「登校ありき」のやり方が、どれほど子どもを追い込んでしまうか、まったく分かっていない。

結果として、苦しんでいる子どもたちがメンタルを壊してしまったり、長く引きこもってしまったり、自ら命を絶ってしまうリスクがある。子どもたちの命にかかわる危険性を、「再登校」という言葉であおる人たちは、まったく理解していないよね。

そもそもあなたが学校に行きづらくなっているのは、あなたのせいじゃない。

あなたが弱いから、なまけ者だから学校に行けないのではなくて、150年も前に作られたままほとんど変わっていない学校教育制度そのものが、今という時代を生きる子どもたちに、合わなくなってしまったからなのです。

だから学校に行けなくても「自分のせい」だなんて思ってはいけないし、絶対に命を削ってはいけない。

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