100円が特別な通貨に変わる魔法の駄菓子屋 子どもの居場所以上に今、必要なものとは

シリーズ「令和版駄菓子屋」#3‐2 寄付型駄菓子屋~「まほうのだがしや チロル堂」(奈良県生駒市)~

ライター:遠藤 るりこ

作らないといけないのは大人の意識

オープンして2年。「チロル堂の取り組みは社会実験」と話す石田さんですが、しっかりと見えてきたことがあると言います。

「子どもの居場所作りの重要性って、全国各地で言われてきていることだと思うんです。世の中には、7000~8000ヵ所のこども食堂が存在していて、今も増え続けている(※1)。

でも、こんなにも『子どもたちの居場所を作らないと』と奔走する方が多くいる中で、いったいいくつ作ったら足りるんだろう、と」(石田さん)

※1=2022年度こども食堂全国箇所数発表(2023年2月 確定値)/むすびえ 2023年2月発表の確定値は7363ヵ所。2021年度から1349ヵ所増加、コロナ禍以降(2020年2月以降)、もっとも多い増加数に。

子どもの居場所が増え続けることは、無責任な大人を増やして、目の前の責任を転嫁する場所のひとつを作ってしまっているのではないか、と石田さんは続けます。

「本来なら、子どもが目の前でおなかをすかせていたら、『おむすび食べなよ』って差し出すのが大人の役割。まずはあなた自身が、子どもの困りごとを聞いて解決してあげましょうよ、と思うんですよね。

だからこそ、これからチロル堂が表現しくべきこととは、子どもの居場所を全国にたくさん作ることではなく、子どもを支える側の大人をいかに増やすかだと思っています。

これは、2年経ってようやく言語化できたこと。チロル堂という場所を通じて、子どもたちの豊かさについて、地域の大人たちの行動変容を促していきたいですね」(石田さん)

そして、力を込めて「社会活動と寄付はセットだということを、もっと世間に伝えていきたい」と石田さん。寄付という行為は、必ず本人へ還元されるものとも続けます。

「寄付をすることで責任が生まれて、活動への興味が出てくる。それが自分の可能性を広げたり、出会いを増やしたりするものになるかもしれない。本気で『寄付をする=あなたのためになること』と、思っています」(石田さん)

石田さんたちは、次のターンとして、2023年9月9日に生駒市に2号店「南チロル堂」オープンしました。

「今やっているお店とはちょっと違うモデルを作ろうと思っています。店に立つのは有償ボランティアにして、運営も地域の方にまかせてみる。売り上げと寄付を分配するスタイルで、寄付が増えると豊かになるし、自分が働くことにもリンクしてきます。

どうしたらもっと良くなるのか、運営を主体的にすることで、活動に参加する人を増やしていきたい」(石田さん)

子どもも大人もたくさん集まるチロル堂。これからも、みんなが笑顔で“ごちゃ混ぜ”の空間を目指しています。

写真は新店の、南チロル堂。子どもを受け入れるには、支える大人の数を増やすことが大事と気がついたと言う。  写真提供:「まほうのだがしや チロル堂」

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次回は、大学生が始めた駄菓子屋にインタビュー。若い世代が「駄菓子屋」を舞台に繰り広げるいくつかのプロジェクトについて伺います。

取材協力/
●まほうのだがしや チロル堂
奈良県生駒市元町1‐4‐6
0743‐61‐5390
営業時間:11:00~18:00
定休日:水・日・祝
※水曜日は地域こども食堂「たわわ食堂」

公式サイト「まほうのだがしや チロル堂」
サブスクチロ募集の案内

28 件
えんどう るりこ

遠藤 るりこ

ライター

ライター/編集者。東京都世田谷区在住、三兄弟の母。子育てメディアにて、妊娠・出産・子育て・子どもを取り巻く社会問題についての取材・執筆を行っている。歌人・河野裕子さんの「しつかりと 飯を食はせて 陽にあてし ふとんにくるみて寝かす仕合せ」という一首が、子育てのモットー。 https://lit.link/ruricoe

ライター/編集者。東京都世田谷区在住、三兄弟の母。子育てメディアにて、妊娠・出産・子育て・子どもを取り巻く社会問題についての取材・執筆を行っている。歌人・河野裕子さんの「しつかりと 飯を食はせて 陽にあてし ふとんにくるみて寝かす仕合せ」という一首が、子育てのモットー。 https://lit.link/ruricoe