【産婦人科医監修】妊娠1ヵ月(0週~3週)の症状は? 妊娠超初期の体の変化と兆候 気をつけること

【妊娠初期シリーズ①】産婦人科医に聞く、妊娠1ヵ月(0週~3週)のサイン・過ごし方・注意点 (4/4) 1ページ目に戻る

産婦人科医:柴田 綾子

妊娠に気づかず薬を飲んだら? 産婦人科医に相談するタイミング

ママの体調が悪くなったとき、薬を飲むことで胎児に影響があるのか気になりますよね。

妊娠1ヵ月は、赤ちゃんへの薬の影響が少ない時期とされています。薬の影響を受けやすいのは、赤ちゃんの脳や心臓などの重要な部分が作られる妊娠4週以降になります。

写真:mapo/イメージマート
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もし、継続して服用している薬がある場合には、妊活を始めるタイミングか、遅くとも妊娠2ヵ月になる前までに主治医に相談しましょう

注意が必要なものとしては、先ほども出てきたビタミンA(レチノール、レチノイン酸)、てんかんの薬、抗精神薬、高血圧の薬、糖尿病の内服薬などがあります。

これらは、妊娠中でも使用できる薬に切り替えたり、薬の量を調整したりすることで、赤ちゃんへの影響をできるだけ少なくすることができます。

イラスト/吉田いらこ

一方で、自己判断で薬をやめてしまうと、母体や赤ちゃんへの影響が心配されるため、必ず主治医と相談しながら対応することが大切です。

妊娠中の薬についてもっと詳しく↓

国立成育医療研究センター|妊娠と薬について知りたい方へ

日本精神神経学会|こころの不調や病気と妊娠・出産のガイド(一般の方向け)

夫婦で一緒に! 妊活中に受けておきたいワクチンと注意点

妊活中の方は、風しんや麻しん(はしか)、ヒトパピローマウイルス(HPV:子宮頸がんや膣がんなどの原因となるウイルス)に対するワクチンを妊娠する前に接種するようにしましょう

特に妊娠中に風しんに感染すると、赤ちゃんの心臓や耳などに先天的な異常(先天性風しん症候群)がおこるリスクが高まります。過去にワクチン接種を受けていても、体内に十分な抗体(ウイルスを排除する働きをもつたんぱく質)が作られていない場合があるため、妊娠前に抗体検査を受け、抗体がない場合はワクチン接種を受けましょう。ただし、2回ワクチンを接種した方は抗体の値が低くても予防効果は十分に持っているとされています。

また、抗体検査やワクチン接種は、女性だけでなく、感染リスクを下げるためにも夫婦ともに受けることが大切です。

ワクチン接種は主に、女性は産婦人科、男性は内科などの医療機関で受けられますが、クリニックによってはパートナーも産婦人科で受けられる場合も

また、自治体によっては、妊娠を希望する女性やその配偶者、同居者に向けて、風しんの抗体検査やワクチン接種費用の助成がある場合があります。お住まいの地域の広報やホームページをチェックしてみましょう。

なお、風しん・麻しんワクチンは生ワクチンなので、妊娠中の胎児への影響を避けるため、接種後は2ヵ月間の避妊が必要です。妊活を始める前から、夫婦でワクチン接種について話し合い、計画的に準備しておくことが望ましいです。

妊娠超初期に「歯科検診」が重要な理由

妊娠初期のつわりでは、唾液を飲み込むのがつらくなったり、吐いてしまったり、胃酸が逆流したりすることで口の中の環境が悪くなり、歯周病や虫歯になりやすくなります

歯周病や虫歯があると、口の中で増殖した細菌が「炎症物質」を作り出し、それが血流に乗って全身を巡ります。この炎症物質が子宮に到達すると、子宮の筋肉を刺激し、収縮(張り)を引き起こすことがあることが報告されています。

つわり症状が出るまえに、一度歯科健診を受けておくと安心です。

妊娠中の歯科受診についてもっと詳しく↓

周産期口腔ケア推進委員会|妊娠中の歯科受診の必要性に関すること

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「妊娠超初期」とも呼ばれる妊娠1ヵ月。まだ妊娠が成立していない時期が大半を占めますが、排卵・受精・着床によって妊娠がスタートする大事な時期です。

葉酸サプリメントの摂取や栄養面に気を付けながら、禁酒・カフェインの制限、歯科健診など、できることから少しずつ整えていきましょう。

取材・文/メディペン(広田沙織)


妊娠初期の症状は全4回。
妊娠2ヵ月『つわりと症状、初めての産婦人科受診と産院選びのポイント』を読む(2025年10月27日よりリンク有効)
妊娠3ヵ月『つわりのピークと乗り越え方』を読む(2025年10月28日よりリンク有効)
妊娠4ヵ月『過ごし方と「安定期」の注意点』を読む(2025年10月29日よりリンク有効)

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しばた あやこ

柴田 綾子

Ayako Shibata
産婦人科医

世界遺産15カ国ほど旅行した経験から母子保健に関心を持ち産婦人科医となる。2011年群馬大学を卒業後に沖縄で初期研修し2013年より現職。 女性の健康に関する情報発信やセミナーを中心に活動中。1児の母。 主な共著『患者さんの悩みにズバリ回答! 女性診療エッセンス100』(共著/日本医事新報社)、『女性の救急外来 ただいま診断中!』(中外医学社)など。

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世界遺産15カ国ほど旅行した経験から母子保健に関心を持ち産婦人科医となる。2011年群馬大学を卒業後に沖縄で初期研修し2013年より現職。 女性の健康に関する情報発信やセミナーを中心に活動中。1児の母。 主な共著『患者さんの悩みにズバリ回答! 女性診療エッセンス100』(共著/日本医事新報社)、『女性の救急外来 ただいま診断中!』(中外医学社)など。

メディペン

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医療ライターズ事務所

医療ライターズ事務所。 看護師、管理栄養士、薬剤師など、有医資格者のライターが在籍。 エビデンスに基づいた医療記事を得意とするほか、医療×他業種の記事を手掛ける。 産婦人科関連、小児科、皮膚科、医療系セミナーレポートや看護師専門サイトの記事の実績多数。 medipen

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