【年齢別読書法】0歳〜2歳/7歳まで/9歳〜12歳 黒川伊保子さんが実践した「しあわせ脳」の育て方とは

人工知能研究者がすすめる楽でリーズナブルな子育て #3 年齢別読書のおすすめ法 

0~2歳、読んでくれる人を観察している

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赤ちゃんにとって、絵本は、ページをめくるごとに、目くるめく別世界が展開するエンターテインメント。ここで、期待感に胸躍らせてページをめくる原体験を作る。

それと、赤ちゃんは、目の前の人が発音してくれる、その口元の筋肉の動きや、息の風圧を楽しんでいるって知ってました? 私たちの脳は、目の前の誰かの発音を、あたかも自分の発音のように感じるという能力を生まれつき持っている。目の前の人の「発音動作」を脳に移しとることで、ことばの存在を知り、発話していくのである。赤ちゃん期は、「読んでくれる人の発音の様子」を楽しむことが、そのまま英才教育になる。

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そんなわけで、絵本よりも、読んでくれる母親に関心が集中するけど、「ちゃんと絵本を見て」と𠮟らないで。「ばぁ」とか「ど~ん」と言うお母さんがうれしいのである。たまには、目をむいたり、ひっくり返るくらいのサービスをしてあげよう。

語感を楽しむ0~2歳の絵本は、「ふわふわ」「ぎゅっ」「ぱちん」のような擬音語・擬態語や「いないいない」「バイバイ」「わんわん」のような繰り返しことばが印象的な、語感を楽しめる絵本がお勧め。な~んて、私が言わなくても、「0~2歳向け」の絵本は、ほぼ、そういう構成になっている。

親子で声を出し合って、存分にお楽しみください。

7歳までは、声に出して

3歳になると、ストーリーを味わえるようになってくる。同じ年頃の登場人物やペットなど、自己投影できる題材を。

7歳までは、母親の読み聞かせや、本人の音読を組み合わせると二重丸。物語の語り聞かせも、ぜひ。

ことばのリアル(臨場感)は、発音体感にある。たとえば、絵本に「ふわふわウサギ」が登場したとしよう。「ふわふわ」と発音すると、唇がふんわり膨らんで、息がふわりと宙に浮く。脳は、この口元の感覚から、まるで実際に触ったかのようにリアルなふわふわ感を想起しているのである。

脳の言語機能の完成期は8歳。8歳を過ぎると、文字を黙読しただけでも発音体感を想起できるのだが、7歳まではまだ難しい。このため、7歳までは、誰かが目の前で声に出して読んでくれたり、自分自身が声に出して読むことに大いに意味がある。

この時期、物語の語り聞かせも、非常に効果的。絵もなく文字もない、優しい暗さの中で、母親や祖母が添い寝して語り聞かせてくれるおとぎ話。そんな体験もぜひ、3歳から7歳までに、たくさんしてあげてほしい。

私は、ただただ発想力で仕事をしているようなものだが、この発想力の基礎を作ってくれたのは、母である。物心ついたときから小学校3年生まで、母は毎晩、本を読み聞かせてくれていた。祖母が添い寝してくれるときは、奇想天外なおとぎ話(微笑)。

今でも、寝入りばなに、ふと、母が本を読んでくれた声を聴くときがある。本当に耳元に30代の母がいるような臨場感で。そんなときは、翌朝、とんでもなく愉快なアイデアが浮かんだりするのだ。7歳までの読み聞かせと語り聞かせ、少なくとも私の人生には、塾よりよく効いた。

ちなみに、8歳近くなると、文字を見ただけでも発音体感が実感できるようになるので、母親の読み聞かせもうっとうしくなる。子どもの関心が薄れたようだったら、読み聞かせは引退していい。もちろん、ねだられたら素敵なこと。ぜひ、続けてあげてください。

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