毎日20分だけ1人の子どもの話を100%聞く【親子のクオリティタイム】で親子関係がみるみるよくなる 

信頼関係を深める「アクティブリスニング」で変わる親子の未来 #2

「親子のクオリティタイム」は親子で向き合う、かけがえのない時間。  写真:アフロ

「親子のクオリティタイム」の代わりになるものとは?

毎日20分の時間を大切にすることは十分理解できましたが、学年が上がるとお稽古ごとや塾で子どもも忙しくなり、特に共働きのママ、パパにとってはハードルが高く感じられるかもしれません。

では、たとえば「お風呂に一緒に入ったときや寝るときに話す」のは、1対1で向き合って話すという「親子のクオリティタイム」の代わりになるのでしょうか。

「実は、20分間の親子のクオリティタイムの代替にはあまりなりません。子どもも忙しい上にママ、パパも時間に追われているのはわかりますが、最低時間が毎日20分だと考えて、しっかりと時間をとっていただきたいです。

1人の子に『わずか20分』です。親御さんには『親子のクオリティタイム』を始める前は1人20分間は負担に思える時間かもしれませんが、子どもと向き合い、会話を通じて我が子の日常や成長を知ることができます。面倒というよりも、しだいに楽しさを感じられるようになるはずです」(赤羽さん)

「親子のクオリティタイム」は、親御さんが1人の子どもとしっかり向き合って、その子の意見や考えを聞くので、これまできょうだいいじめや余計ないたずらがあったのなら減るメリットもあると赤羽さんはいいます。

「さらに、親御さんが子どもの話をさえぎらずに最後まで聞くことで、子どもは『私(ぼく)のことをママ、パパは受け入れてくれる』という安心感を得ます。

この安心感が自己肯定感へとつながり、『なんでも挑戦してみよう』という前向きな気持ちを育むのです。自主的に勉強を始めるといった効果も期待できるので、20分の投資は十二分におつりがきます。

『親子のクオリティタイム』が効果を発揮するのは、小学6年生くらいまでかもしれません。毎日の20分が長く思える親御さんもいますが、子育て全体で考えるとそれはとても短い時間です。期間限定の特別なときだと思って、どうか20分間を子どもと一緒にすごしてほしいと思います」(赤羽さん)

次回は、アクティブリスニングがどうしてもうまくいかないと感じる親御さんへのアドバイスを紹介します。

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◆赤羽 雄二(あかば ゆうじ)
ブレークスルーパートナーズ株式会社・マネージングディレクター。東京大学工学部を1978年に卒業後、小松製作所で建設現場用ダンプトラックの設計・開発に携わる。1983年よりスタンフォード大学大学院に留学し、機械工学修士、修士上級課程を修了。1986年、マッキンゼーに入社。経営戦略の立案と実行支援、新組織の設計と導入、マーケティング、新事業立ち上げなど多数のプロジェクトをリードする。1990年にはマッキンゼーソウルオフィスをゼロから立ち上げ、120名強に成長させる原動力となるとともに、韓国企業、特にLGグループの世界的な躍進を支えた。2002年、「日本発の世界的ベンチャー」を1社でも多く生み出すことを使命としてブレークスルーパートナーズ株式会社を共同創業。近年は、大企業の経営改革、経営人材育成、新事業創出、オープンイノベーションにも積極的に取り組んでいる。著書に『ゼロ秒思考 頭がよくなる世界一シンプルなトレーニング』『速さは全てを解決する 「ゼロ秒思考」の仕事術』(ダイヤモンド社)、『自己満足ではない「徹底的に聞く」技術』(日本実業出版社)、『マンガでわかる! マッキンゼー式ロジカルシンキング』(宝島社)など国内28冊、海外30冊出版、計138万部。

取材・文 瀧 千登勢

【信頼関係を深める「アクティブリスニング」で変わる親子の未来】の連載は全3回。
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