「もう◯歳なのに」はNG! 個人差のある「注意力」と身支度・癇癪(かんしゃく)の関係、対応を専門家が解説

感受性と注意力で読み解く子どもの「困った」行動#2 注意力が狭い子

かんしゃくを起こすのは、「注意力」の影響かもしれません。  写真:JIKOMAN/イメージマート
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自分でしない、かんしゃくを起こすなど、保護者が「やる気がない」「わがまま」などととらえてしまいがちな子どもの行動。「感受性」と「注意力」の2つの視点でとらえると、保護者もその理由を理解することができます。

感受性を解説した第1回に続き、第2回では「注意力」について詳しく紹介します。

注意力とは一体どんな力なのでしょうか。子ども自身や生活に与える影響、言葉とのつながりなどについて、保育現場に精通する野藤弘幸氏に話を聞きました。

※全4回の第2回(第1回第3回第4回を読む)
※公開日までリンク無効

【野藤弘幸 プロフィール】
作業療法学博士。発達障害領域の作業療法の臨床、大学教授を経て、現在は大人から「育てにくい」と思われる乳幼児期~青年期の子ども・保護者に関わる保育者への研修などを行う。

「注意力」ってどんな力?

「注意力がある」と聞くと、どんな状態をイメージするでしょうか。注意力=集中力ととらえて、何かに没頭している姿を思い浮かべるかもしれません。

では、「注意力散漫」の場合はどうでしょうか。いろいろなことを考えてしまい、気が散っている様子を想像する方もいるでしょう。

実はそのどちらも、ここで指す「注意力」とは異なります。

注意力とは、同時に複数のことに気を配りながら、順序立てて考え実行していく力です。もっと親しみやすい表現だと、『段取り力』と言い換えることもできます。

たとえば、私は今インタビューに答えていますが、これも注意力を働かせているからできています。イスに座って姿勢を整え、質問を聞き、自分の経験を振り返って話したいことをまとめながら声に出す。いくつものことに同時に注意を向けて、『話す』という行動につなげているのです。

集中しているときは、複数の考えを巡らせながらもそれを整理して何かを仕上げようとしていますし、注意力散漫なときは一つのことが短く移り変わって定まらない状態といえます」(野藤氏)

日常の中にある「注意力」が必要な場面とは?

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