親子関係を圧倒的に改善する【アクティブリスニング】家庭での実践法を一流経営コンサルタントが伝授

信頼関係を深める「アクティブリスニング」で変わる親子の未来 #1

子どもの話は、どんなことでも深い関心を持つことが大切です。  写真:yamasan/イメージマート

親御さんは「話したい欲求」を抑える!

我が子から話しかけられても、子どもがまごまごしていたり、説明が下手だったりすると、親御さんはどうしても口を出してしまいます。

「子どもが話をはじめたら、親御さんはそれをさえぎってはいけません。子どもの話が前後したり、間違ったりしていても、どうか口を出さずにそのまま受け入れてあげてください。親御さんは、自分が話したい気持ちを抑えることも大事です。

聞いている側がしていまいがちな『話をとってしまう』という行動は、アクティブリスニングの考え方では、『自分の話を聞いてほしい』『私のことを見ていてほしい』『私の気持ちを理解してほしい』など、『私視点』のさまざまな欲求に通じていると考えられています。

アクティブリスニングとは、徹底的に相手の話を聞いて理解を深め、相手に信頼されることです。まずは自らの欲求を抑え、子どもの話をすべて受け入れて聞くことを心がけましょう」(赤羽さん)

ママやパパがアクティブリスニングができるようになると、親子関係は次のように変わっていくと赤羽さんは続けます。

「親御さんが日常でアクティブリスニングを行えるようになると、親子関係はとても心地よく、信頼し合えるものになります。親が自然と子どもの話を聞けるようになり、話の腰を折らないので、子どもは心ゆくまで話をしてくれるようになります。

『ママ(パパ)が話をしっかり聞いてくれた、否定せずに耳を傾けてくれた』と、我が子はきっと大満足してくれるでしょう。

こういった満足感や安心感が、親子の信頼関係を強化し、やがて子どもが友だちとのトラブルや勉強の悩み、将来の不安などを抱えても、子どもから本音を話してくれるようになります。

また、親側もすべての話を受け入れることで子どもへの理解が深まり、その場にふさわしい接し方ができます。これは親子関係を良好にする大きな一歩です」(赤羽さん)

徹底的に相手の話を聞くことを実践した家族の中には、内気で口数が少ないと思っていた息子が3時間も自分から話し続けてくれたという例もあります。

アクティブリスニングすることで、子どもと深くつながれる「濃い時間」が生み出せるなら、すぐにでも取り入れていきたいでしょう。

次回は、親子間での「徹底的に聞く・アクティブリスニング」初心者のための実践のコツを紹介します。

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◆赤羽 雄二(あかば ゆうじ)
ブレークスルーパートナーズ株式会社・マネージングディレクター。東京大学工学部を1978年に卒業後、小松製作所で建設現場用ダンプトラックの設計・開発に携わる。1983年よりスタンフォード大学大学院に留学し、機械工学修士、修士上級課程を修了。1986年、マッキンゼーに入社。経営戦略の立案と実行支援、新組織の設計と導入、マーケティング、新事業立ち上げなど多数のプロジェクトをリードする。1990年にはマッキンゼーソウルオフィスをゼロから立ち上げ、120名強に成長させる原動力となるとともに、韓国企業、特にLGグループの世界的な躍進を支えた。2002年、「日本発の世界的ベンチャー」を1社でも多く生み出すことを使命としてブレークスルーパートナーズ株式会社を共同創業。近年は、大企業の経営改革、経営人材育成、新事業創出、オープンイノベーションにも積極的に取り組んでいる。著書に『ゼロ秒思考 頭がよくなる世界一シンプルなトレーニング』『速さは全てを解決する 「ゼロ秒思考」の仕事術』(ダイヤモンド社)、『自己満足ではない「徹底的に聞く」技術』(日本実業出版社)、『マンガでわかる! マッキンゼー式ロジカルシンキング』(宝島社)など国内28冊、海外30冊出版、計138万部。

取材・文 瀧 千登勢

【信頼関係を深める「アクティブリスニング」で変わる親子の未来】の連載は全3回。
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