自閉症の男の子が突然絵を描きだして世界的なアーティスト・GAKUになるまで
GAKUが自閉症アーティストになるまで #2 描き始めたきっかけとは? アートディレクター・古田ココさんインタビュー
2023.11.23
抑えられない衝動で悲しい思いをさせたくない
アーティスト・GAKUの一日は、Cocoさんと共にあります。
Cocoさん:午前中は絵を描いたり、描かなかったり。私の役割は、筆を洗うことと床を拭くこと。
Cocoさん:お昼ごはんは、アトリエの下のファミリーマートで納豆巻きを買うのが定番。最近は、くら寿司にも行ってくれるようになりましたよ。注文するのはやっぱり納豆巻きですけど(笑)。
自閉症児には、がっちゃんのような強いこだわり行動が見られます。
Cocoさん:がっちゃんの場合、1色描いたらすぐにその筆を洗わないと気が済まない。洗うのは私なんですけどね(笑)。もう一度、同じ色を使うかもしれないんだから、そのまま置いておけばいいじゃん、というのはこっちの勝手な考えで、がっちゃんにしたらそれはノーなんです。
このようなこだわり行動は、がっちゃん自身も止められない衝動なのだと、Cocoさんは言います。
Cocoさん:これをするって決めたらやり遂げないとダメ。達成されないとパニックになって暴れて、その度に「またやっちゃった、自分は悪い子なんだ」って反省をするんです。そんな悲しい思いはさせたくない。彼がパニックに陥るような状況をできるだけ作り出さないことが、私たちのできることなんです。
しなくていい思いはしなくていい、とCocoさんは続けます。
Cocoさん:ものを拭くウェットティッシュも際限なく使ってしまうから、一日1パックと決めたんです。でもどうしても、使い切った後に拭きたいところが出てきてしまう。そうすると、「ワンデー、ワンパック?」なんて、こちらを窺いながらそっと聞いてきて。彼なりに社会のルールを守ったり、折り合いをつけようとしていることもたくさんあるんです。
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がっちゃんの父・典雅さんが運営する株式会社アイムの放課後デイでは、がっちゃんの子育てスタンスと同じく「全員が主役」がコンセプト。
他の療育機関では信じられないような世界がそこには広がっています。次回3回目では、アイムの放課後デイを覗いてみます。
取材・文/遠藤るりこ
協力/アップルシードエージェンシー
GAKUくんの記事は全3回。
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3回目を読む。
3年ぶりとなるGAKUの個展が開催決定!
2024年1月19日(金)~28日(日)、二子玉川ライズホールにて。
440平米の広大な空間に原画120枚を展示予定。
Coco
アートディレクター。パリコレ参加メゾンのデザイナーとして30年以上ファッション業界で活躍。身内に障害者がいたことから、セカンドキャリアとして障害に関わる仕事を望み、アイムに入社。 自閉症アーティスト・GAKUと出会い、GAKUのアート活動をサポートする。 https://bygaku.com/
アートディレクター。パリコレ参加メゾンのデザイナーとして30年以上ファッション業界で活躍。身内に障害者がいたことから、セカンドキャリアとして障害に関わる仕事を望み、アイムに入社。 自閉症アーティスト・GAKUと出会い、GAKUのアート活動をサポートする。 https://bygaku.com/
遠藤 るりこ
ライター/編集者。東京都世田谷区在住、三兄弟の母。子育てメディアにて、妊娠・出産・子育て・子どもを取り巻く社会問題についての取材・執筆を行っている。歌人・河野裕子さんの「しつかりと 飯を食はせて 陽にあてし ふとんにくるみて寝かす仕合せ」という一首が、子育てのモットー。 https://lit.link/ruricoe
ライター/編集者。東京都世田谷区在住、三兄弟の母。子育てメディアにて、妊娠・出産・子育て・子どもを取り巻く社会問題についての取材・執筆を行っている。歌人・河野裕子さんの「しつかりと 飯を食はせて 陽にあてし ふとんにくるみて寝かす仕合せ」という一首が、子育てのモットー。 https://lit.link/ruricoe
佐藤 典雅
株式会社アイム代表。BSジャパン、ヤフージャパン、東京ガールズコレクション、キットソンのプロデューサーを経て、自閉症である息子のために福祉事業に参入。神奈川県川崎市で発達障害の児童たちの生涯のインフラ構築をテーマに活動、放課後等デイサービスやグループホームを運営している。著書に『療育なんかいらない!』(小学館)、『GAKU,Paint! 自閉症の息子が奇跡を起こすまで』(CCCメディアハウス)がある。 2001年生まれの長男・佐藤楽音(GAKU)は、自閉症アーティスト。 株式会社アイム:http://imhappy.jp https://bygaku.com/
株式会社アイム代表。BSジャパン、ヤフージャパン、東京ガールズコレクション、キットソンのプロデューサーを経て、自閉症である息子のために福祉事業に参入。神奈川県川崎市で発達障害の児童たちの生涯のインフラ構築をテーマに活動、放課後等デイサービスやグループホームを運営している。著書に『療育なんかいらない!』(小学館)、『GAKU,Paint! 自閉症の息子が奇跡を起こすまで』(CCCメディアハウス)がある。 2001年生まれの長男・佐藤楽音(GAKU)は、自閉症アーティスト。 株式会社アイム:http://imhappy.jp https://bygaku.com/