【子どもの発達を知ろう】 「食事・睡眠・運動」子育ての悩みに「発達の専門医」榊原洋一先生が驚きの回答

【セミナーレポート】「うちの子、遅れてる?」を専門家が解説! 「0・1・2・3歳児の発達を知ろう」#2

小児科医/お茶の水女子大学名誉教授:榊原 洋一

子どもにサプリメントは必要?〔質問5〕

子どもの癇癪や知能低下は、鉄分やたんぱく質不足が原因ということを耳にしたのですが、離乳食にブレインフード(脳によい食べ物)のようなサプリメントを採り入れるのは効果的ですか?

通常サプリメントは不要です〔回答5〕

欠乏すると不具合が起こる栄養素=ミネラル

栄養についてよく勉強されている方のようですね。たんぱく質は先ほど申し上げたように、三大栄養素の一つとしてバランスよく摂れるのが理想です。

ですが、甘いお菓子しか食べないとか極端な偏食でない限り、たんぱく質が多く含まれる品目も食事の中に入っているようならあまりナーバスになることはありません。

三大栄養素にビタミンとミネラルを加えたものが五大栄養素。ビタミンは身体の機能を正常に保つための栄養素。

ミネラルは身体の中で合成することができず、欠乏すると不具合が出てくる栄養素です。ミネラルで有名なのはカルシウムですね。

鉄分もミネラルの中でも極めて少量しか存在しない微量元素の一つです。

このような金属も人間の身体には必要で、他には銅なんかも大切な栄養です。たとえば、ウィルソン病は摂取した銅が体内でうまく運ばれないために神経などに障害が出る病気です。

亜鉛も必要です。鉛(なまり)は「鉛中毒」という言葉があるくらいだから、身体に良くないものと考えられていますが、ごく微量は身体に不可欠です。

それから耳馴染みがないかもしれませんが、セレンという元素も必要です。普段口にしている飲用水にも自然に含まれているものですが、中国の奥地には井戸水にセレンがまったく含まれていない地域があり、セレン不足による障害が発生した例もあります。

また、金属ではありませんが、海藻などに多く含まれるヨウ素(ヨード)は甲状腺がきちんと働くために不可欠な微量元素です。

鉄分は大切な栄養素だが…

鉄分が少ないとどんなことが起こるでしょうか?

代表的なのが貧血です。鉄欠乏性貧血と言います。

そしてご質問にあったように、鉄は脳の機能に重要な働きがあることがわかっています。
発展途上国で乳幼児の鉄欠乏について調べた研究があります。

乳幼児期に重い鉄欠乏性貧血になった子は、その後に鉄分を補給して貧血を治しても、大人になってからのIQが少し低くなる傾向が見られました。食事に鉄分が必要量含まれていることは大事です。

鉄分は大人にとっても不可欠な栄養素です。  写真:アフロ

ただし、複数の離乳食を与えたり、私たち大人が普段食べているものも食べていたりするなら、必要な鉄分は摂取できているので、鉄分のサプリメントを与える必要はありません。

私がサプリメントを勧めるのは、極端な偏食の場合のみ。先ほど例に挙げた、白米しか食べないといったお子さんには鉄欠乏症を防ぐために鉄分のサプリメントをはじめ、不足している栄養素を補うためのアドバイスをします。

「頭がよくなるように鉄分を多くあげたほうがいいのでは?」と考える親御さんもいらっしゃいます。でも、それは間違いです。

栄養素のほとんどは、不足したら問題が起きるけれど、たくさん摂取したからよいことが起きるというものではありません。

鉄分を多く摂ったからといって頭がよくなることはないんです。頭をよくしようとサプリメントをどんどん飲ませても無駄です。

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