じぃじ・ばぁばの孫育てにひと言いいたい!角が立たない伝え方ってある?
祖父母とパパママの育児ギャップを埋めるコツ教えます じぃじ・ばぁばと我が子のいい関係#2
2022.10.19
これも孫育ての延長!?祖父母がチクリということ
孫育ての熱心さは、パパママの生活スタイルにも及ぶことがあります。祖父母の時代とは違って、現代の子育て世代はほとんどが共働きです。幼い子どもを保育園に預けて夫婦で働きに出ることに、後ろ向きの意見を持っている祖父母も少なからずいます。
こういった世代間ギャップに対して、どう伝えれば祖父母はわかってくれるのでしょうか。
④ 共働きに不満があるみたい……
こんなときの祖父母の気持ち→孫がある程度大きくなるまで、親は側にいてあげてほしい
平均年収はここ30年間、ほとんど上がっていません。国税庁の「民間給与実態統計調査」によると、1990年(平成2年)の平均給与は425万2000円です。これが2020年(令和2年)の結果を見ると平均給与は433万円で、ほぼ変わっていません。しかも給料は上がらないのに、物価や教育費は軒並み上がっているというのが現在の状況です。
こういった背景のもとでパパママは働き、かつ子育てをしています。共働きは自分たちがすごく背伸びをした生活をしようとしているわけではなく、夫婦で働かなければ自分たちが親にしてもらった生活を我が子に与えられない旨を説明するといいでしょう。
孫育てセミナーなどで祖父母と直接、交流しますが、共働きに対して後ろ向きの意見を持っている祖父母は、今の経済状況をわかっていない方が多いと思います。
■祖父母の皆さんへ
今の子育て世代の収入は、30年前と変わりません。祖父母の皆さんが30年前にもらっていた給料と変わらないし上がらないのに、支出は大きくなっています。経済的な違いがありますから、共働きを頭から否定せず、現代社会への理解を深めましょう。
⑤ 我が子の教育に口やかましいことがあってゲンナリ……
こんなときの祖父母の気持ち→自分たちの経験を踏まえて、できるだけアドバイスしてあげたい
祖父母には少なからず、自分の娘や息子に対して●●してあげられなかったから、せめて孫には……という思いを持っています。これが教育へのアドバイスになるのでしょう。祖父母の気持ちもわからなくはありませんが、これもパパママの教育方針を伝えることでおさまってくるはずです。
また現代は経済状況から、我が子の教育費を祖父母に援助してもらっている場合もあります。ですから、「せめて孫には……」という思いの他に、祖父母側にはお金を出しているのだから少しは言わせてほしいという気持ちがあるのでしょう。そのことをパパママ側が知っておくと、祖父母のアドバイスも少しは違う受け止め方ができるはずです。
■祖父母の皆さんへ
孫の将来を思ってつい口出ししたくなりますが、教育もパパママが方針を決めるべきものです。方針を伝えられたら、パパママを尊重してあげるほうがスマートです。
子育てのルールや方針は変わっていくもの 現時点の方向性を伝えればOK
祖父母を我が子の最良のサポーターにするには、パパママからコミュニケーションを取って、子育てに関する情報共有をすることが大切です。相手に伝えるためにも、まずは夫婦でルールを決めておくことから始めてほしいとぼうだ先生は話します。
「伝えるという行為は、自分の中で話すことを整理していないとできないものです。従って、祖父母に会話するときは、まずは夫婦で自分たちの子育て方針を話し合い、すり合わせておく必要があります。
自分たちがどういう子育てをしたいのか、譲れるところと譲れないところを箇条書きにできるぐらいにしておくのがオススメです。実はこれを行わないと、パパママ自身が自分たちの子育てに対してあいまいだったり、すれ違っていることがあるんです。
また、すり合わせたルールは、子どもの成長や家族の生活に伴って変更してOKです。祖父母に伝えるときは、『ルールは現時点のもので、これから変わっていくかもしれないのですが……」と最初に話せば問題ありません。祖父母は子育て経験者ですから、これから方針が変わったとしても柔軟に受け入れてくれるはずです。
さらに夫婦で決めかねていることがあるなら、祖父母に弱音を吐いてもいいでしょう。喜んで相談に乗ってくれますし、孫はもちろん、ますますパパとママの力になってくれます」(ぼうだ先生)
ぼうだ先生と交流のあるママの中には、祖父母にいっさい弱いところを見せられず、苦しい思いをした人がいたそう。しかし、いったん自分のダメな部分やできない部分を見せたことで気持ちも子育ても楽になった方がいたといいます。祖父母に頼るのも上手くやっていくコツです。
祖父母と子どもの時間は限られていることも心に留めておいてほしい
子どもが小さいうちは祖父母もまだまだ若く、体力もあります。今は元気にお世話ができていますが、年を経るにつれて祖父母と子どもの関係は変わってきます。
「子育ては子どもの年齢が上がるにつれて楽になっていきます。しかし、祖父母にとってはそれが逆に働いていきます。子どもの運動能力が上がって動くスピードが速くなったり、行動範囲も広くなると徐々についていけなくなるのです。
子どもは口も達者になってきますし、どんどん新しい技術も吸収していくので、思考力も習得力も祖父母は及ばなくなってきます。また、リタイア後ともなれば、経済的にもしんどさを感じる方も出てくるでしょう。
そして、思春期が近づいてくると子どもは友達と一緒にいることのほうが楽しかったり、塾や習い事などで忙しく、祖父母の元から離れていきます。お正月やお盆に久しぶりに会っても、お小遣いだけが目当てだったりしてショックを受けることもあります。
祖父母にとってはとても寂しい状況が待ち構えていることを、パパママには知っておいてほしいのです。もし祖父母が寂しがっていたら、それは子どもに社会性が育って、順調に成長をしている証拠だと伝えてあげましょう。
それでも我が子と祖父母の関係が気がかりなら、電話やビデオ通話で交流を持つのも手です」(ぼうだ先生)
子どものためにも、パパママ自身のためにも、祖父母とはコミュニケーションが重要です。言いにくい事柄もありますが、言葉で伝えなければすれ違いは起こったままになりますし、情報共有をしないばかりに溝が深まる可能性もあります。ぼうだ先生からアドバイスいただいたコツは、今後の家族関係を深める際に役立つはずです。
3回目は、祖父母とのコミュニケーションを後押しする便利ツールを紹介します。
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ぼうだ あきこ
NPO法人孫育て・ニッポン理事長。NPO法人ファザーリング・ジャパン理事。一般社団法人 産前産後ケア推進協会幹事。育児雑誌や医療系媒体の編集、育児サイトの立ち上げを行う運営・企画会社などに転職する。企画会社での新規部門立ち上げを経て、独立。現在は赤ちゃんを迎える家族が、祖父母を含めより良い関係を築き、子どもたちが健やかに育つ社会を目指すべく、祖父母及び子育て現役世代に向けて講演や執筆活動等をしている。
【主な著書や監修書】
『新米祖父母の教科書 孫育て一年生』(KADOKAWA)
『ママとパパも喜ぶ いまどきの幸せ孫育て』(家の光協会)
『祖父母に孫をあずける賢い100の方法 祖父母も孫もママもみんなハッピー』(岩崎書店)
『新米祖父母の教科書 孫育て一年生』(KADOKAWA)
『ママとパパも喜ぶ いまどきの幸せ孫育て』(家の光協会)
『祖父母に孫をあずける賢い100の方法 祖父母も孫もママもみんなハッピー』(岩崎書店)
取材・文/梶原知恵
梶原 知恵
大学で児童文学を学ぶ。出版・広告・WEB制作の総合編集プロダクション、金融経済メディア、外資系IT企業のパートナー会社勤務を経て現在に。そのなかで書籍、雑誌、企業誌、フリーペーパー、Webコンテンツといった、さまざまな媒体を経験する。 現在は育児・教育からエンタメ、医療、料理、冠婚葬祭、金融、ITシステム情報まで、各媒体の企画・編集・執筆をワンストップで手がけている。趣味は観劇。特技は長唄。着付け師でもある。
大学で児童文学を学ぶ。出版・広告・WEB制作の総合編集プロダクション、金融経済メディア、外資系IT企業のパートナー会社勤務を経て現在に。そのなかで書籍、雑誌、企業誌、フリーペーパー、Webコンテンツといった、さまざまな媒体を経験する。 現在は育児・教育からエンタメ、医療、料理、冠婚葬祭、金融、ITシステム情報まで、各媒体の企画・編集・執筆をワンストップで手がけている。趣味は観劇。特技は長唄。着付け師でもある。