支援からこぼれがちで、自らも助けを求められない
発達障害を持つ母親の多くは、特性を抱えながらもなんとか社会生活を営んでいる方が多いため、見た目では発達障害であることが分かりにくく、サポートを受けづらい。
だからこそ自分から助けを求める必要があるわけですが、それができない人が多いのも現状です。
理由は人それぞれですが、一つは、他人に自分の困りごとを伝えたい、分かってほしいという気持ちが少ない。言われたらできるけれど、自分から能動的に発信していくことが苦手という特性があります。
そんなに困っているなら「助けて」と言えばいい──。
周りから見ればそう思いますよね? ところが、SOSを発信すること自体思いつかない、あるいは、助けてもらわないといけないと思いつつ、いつ誰にどのタイミングで言えばいいのか分からない、ずっと待っていて何もできない、というケースもあるんです。
コミュニケーションの発信、自分から自分の考えを伝えていくことに慣れていないんですよね。
仮にポロッと先輩ママや自分の母親などに愚痴をこぼしても、「そのうち何とかなるわよ」と励まされたら、ASDタイプはさらに不安が強まります。
「そのうちって、いつ? 具体的に教えて」と。先の見通しを持てないことに大きなストレスを感じる人が多いからです。
またASDの人の中には、相手に自分の意見を言える人もいますが、相手に合わせよう、言われたとおりにしないといけないという気持ちが強い、「過剰適応」状態になりやすい人も。
後者の場合は要注意です。どんなに苦痛でも「女性だから」「妻だから」「母親なんだから」と言われたら耐え続けてしまい、それが積み重なってうつ状態が現れることも。さらにうつ病になり長期化する人もいます。
ではどうすればいいのでしょうか。
次回(#2)は、こうしたさまざまな困りごとにどう向き合っていったらよいか、お話しします。
取材・文/桜田容子
取材・文/桜田容子
桜田 容子
ライター。主に女性誌やウェブメディアで、女性の生き方、子育て、マネー分野などの取材・執筆を行う。2014年生まれの男児のママ。息子に揚げ足を取られてばかりの日々で、子育て・仕事・家事と、力戦奮闘している。
ライター。主に女性誌やウェブメディアで、女性の生き方、子育て、マネー分野などの取材・執筆を行う。2014年生まれの男児のママ。息子に揚げ足を取られてばかりの日々で、子育て・仕事・家事と、力戦奮闘している。
司馬 理英子
精神科医。司馬クリニック院長。医学博士。岡山大学医学部、同大学院卒業。1983年渡米し、アメリカで4人の子どもを育てる傍ら、ADHDについて研鑽を深める。 97年、ADHDをなじみ深いキャラクターになぞらえて解説した『のび太・ジャイアン症候群』(主婦の友社)を出版し、話題に。同年、東京都武蔵野市に発達障害専門のクリニック「司馬クリニック」を開院。中学生までの男女と、大人の女性の治療を行っている。 『ママのピンチを救う本 わが家やみんなADHD!?』(主婦の友社)、『女性の発達障害 困りごとにどう向き合うか』(講談社)など著書多数。
精神科医。司馬クリニック院長。医学博士。岡山大学医学部、同大学院卒業。1983年渡米し、アメリカで4人の子どもを育てる傍ら、ADHDについて研鑽を深める。 97年、ADHDをなじみ深いキャラクターになぞらえて解説した『のび太・ジャイアン症候群』(主婦の友社)を出版し、話題に。同年、東京都武蔵野市に発達障害専門のクリニック「司馬クリニック」を開院。中学生までの男女と、大人の女性の治療を行っている。 『ママのピンチを救う本 わが家やみんなADHD!?』(主婦の友社)、『女性の発達障害 困りごとにどう向き合うか』(講談社)など著書多数。