性器を触る 人の裸に興味… 子どもの“性の困った”に助産師・思春期保健相談士が回答

助産師・思春期保健相談士の田中まゆ氏に聞く「子どもの性の困った!」#3〜お悩みQ&A〜

助産師・思春期保健相談士:田中 まゆ

講演会等でパパママからよく相談を受けるという田中さん。子どもの行動に関する悩みに回答してもらいました。

Q1:子どもがおまたやちんちんをやたらと触っています。止めさせるべき?

A1:結論から言うと、やめさせなくても大丈夫です。プライベートゾーンは「その人の体の大事なところで、本人の許可なく人が見たり触ったりしてはいけない」場所です。

その概念からすると、自分の性器を触るのは問題ありません。ただし、性器がかゆかったり、痛かったりして触っている可能性もあるため、まずは「どうしたの?かゆいのかな?」と聞いてみましょう。

お子さんの体に異常がなければ、触ること自体は悪くないことを話します。その上で「性器はプライベートゾーンであり、触るのはとてもプライベートな行為だから、一人になれる場所で触ること(人前で触らない)」「清潔な手で触ること」「優しく触ること」を伝えてください。

お子さんが性器触っているのを見て、親御さんが嫌な気持ちになったら「パパ(ママ)は見たくないよ」と話してもいいですね。

このときに気をつけたいのが、「そんなところを触ったら汚いから、早く手を洗いなさい!」と性器を汚いものとして扱うことです。「大事なところだから優しく触ろうね」「バイ菌が入らないように、きれいな手で触ろうね」と伝えください。

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第1回で田中さんから教えてもらった「性教育の3つのポイント」が、今回のQ&Aにも生かされています。 Zoom取材にて。

「子どもから聞かれたことにのみ答える」を意識

性に関する質問の中でも、子どもから聞かれて身構えてしまいそうなのが、妊娠・出産に関するもの。田中さんに答え方のコツを伝授してもらい、来るべきときに備えたいところです。

Q2:子どもから「赤ちゃんはどうやってできて、どこから生まれるの?」と聞かれたら、どう答えればいい?

A2:「赤ちゃんはどうやってできるの?」と「どこから生まれるの?」にわけて説明します。まず「赤ちゃんはどうやってできるの?」に対しては、「女の人が持っている赤ちゃんのもとと、男の人が持っている赤ちゃんのもとが合わさるとできるよ」とシンプルに答えるといいでしょう。

子どもへの性教育は、「質問に対してのみ答える」がポイントなので、子どもが納得すれば、この時点でセックスについて説明する必要はありません。子どもの理解が進み、「女の人と男の人の赤ちゃんのもとは離れているのに、どうやってくっつくの?」と聞かれたら、セックスについて説明する段階になったということです。

たとえば、「赤ちゃんは女の人のお腹の中で育つから、男の人の赤ちゃんのもとを女の人のお腹に届けるんだよ。おちんちんを女の人の腟の中に入れると男の人の赤ちゃんのもとが泳いで行って、女の人の赤ちゃんのもととくっつくよ」と物理的な事実として話すといいですね。

次に、「どこから生まれるの?」について。トイレトレーニングが完了し、自分でおしっこをしたり、お尻を拭けるようになったりするお子さんであれば、うんちやおしっこがどこから出るかわかっています。

その場合、「体には、おしっこが出る穴と、うんちが出る穴があるよね。女の人には、その2つの穴の間に赤ちゃんが出てくる穴があるよ」と答えるといいです。

一度に多くのことを説明しすぎてしまうと子どもは理解できないため、この時点で帝王切開には触れず、まずは体の構造を知ってもらうために「赤ちゃんが腟から生まれること」だけを伝えるのがポイントです。

家庭での性教育には、繰り返し伝えられる良さがあります。話していくうちに子どもの理解が深まったら、「赤ちゃんが産まれるときには、帝王切開という方法もあるよ」と段階的に教えることが望ましいです。

人形遊びにも応用したいプライベートゾーンの知識

続いては、子どもの人形遊びに関する悩みです。田中さんは、どのように答えてくれるのでしょうか。

Q3:子どもが人形を裸や下着姿にして、うれしそうに遊んでいるのを止めさせるべき?

A3:無理に止めさせるというよりは、お子さんがすでにプライベートゾーンの概念がわかっていれば、「◯◯(人形の名前)のプライベートゾーンが見えているよ。自分もされたら嫌でしょう?」と、さらりと伝えるくらいでいいと思います。

この場合は人形ですが、「プライベートゾーンは、その人自身の大事なところで、誰かが勝手に見たり、触ったりしてはいけない」ことを踏まえた声かけを意識してもらうといいですね。

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