【参加者からの「良かったよ!」に喜び】宮城・岩沼 小6の震災語り部がすべての人に伝えたい想いと母が「子どもを見守って良かった」と語る理由

大震災後に生まれた私が「震災語り部」になったワケ #2 (3/3) 1ページ目に戻る

参加者を先導する心彩さん。  写真:いわぬま震災語り部の会
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ガイド中は心臓がバクバク!

「私はもともと人見知りで、人前で話すのが苦手なので、ガイド中は心臓がバクバク。でも、語り部の先輩方にいろいろとフォローしてもらって、最終的にはいろんな方に『良かったよ!』といってもらえて、すごくうれしかったし、安心しました」(心彩さん)

「僕はデビューして数日経ってから、学校で教頭先生や学年主任の先生、他の先生たちからも声をかけられて……。その上、新聞のコピーが教室に貼り出されました(照笑)」(大遥さん)

はにかみながら当時のことを振り返るふたりは、学校が休みの日や空いている時間しか参加はできないけれど、これからも震災語り部としての活動を続けていきたいと言い切ります。

千年希望の丘という施設を無駄にしたくないですし、つらいことや悲しいことをごまかしちゃう人もいるんですけれど、やっぱり震災があったことを忘れないでほしいです。

そこを素直に率直に伝えることで、私より下の世代でも、聞いた人の中に何かしら新しい考えが生まれるんじゃないかなと思っています
」(心彩さん)

れからは、震災を経験してない世代が徐々に増えていくわけです。その世代にも想像しやすく、さらに考えさせるような語り部ができたらと思っています」(大遥さん)

これからは防災テクニックも覚えたい

2011年3月11日15時56分「県南浄化センター」の津波の様子。県南浄化センターは、岩沼市の「千年希望の丘」に隣接するエリアにある。  写真:いわぬま震災語り部の会
2011年3月15日14時11分「相野釜地区」の様子。両側に見えているのは橋。橋の上には津波で流されてきた家屋、橋下には泥やがれきなどが流れ込んでいる。  写真:いわぬま震災語り部の会

また、これからは語り部として話すだけでなく防災ワークショップでも活躍したいことを母親の明子さんと話し、新しい挑戦にも意気込んでいます。

「娘は語り部の基本原稿は覚えましたが、会で開催しているワークショップのほうは、知識がないので今は担当できていません。娘とは今後、緊急で使えるような風呂敷で作る袋とか、ロープワークを勉強して披露したいね、と話しました」(明子さん)

「いわぬま震災語り部の会」では震災を伝えるだけでなく、拠点である「千年希望の丘」の施設名から発して、「未来に通じる教訓=防災」についても、デモンストレーションなどをしながら伝えています。

鈴木家は心彩さんを中心に新たな課題に家族で取り組んで、「いわぬま震災語り部の会」の一員だからこそ未来を見据えて伝えるべきこと、自分ができることにさらに邁進していくに違いありません。

「見守って良かった」子どもは親が思っている以上に柔軟

「第8回東日本大震災伝承シンポジウムin仙台 伝承の思いとチカラを未来へ 東日本大震災から15年/これまで・いま・これから」で、〈伝承活動のこれまでの歩みを振り返る〉に登壇し、活動について発表する心彩さん。「自分ができること」にとても積極的。  写真:コクリコ編集部

春になると心彩さんは中学校に、大遥さんは高校に進学し、生活リズムが変わります。

これから震災語り部として活動していく中では、時間の制限などが発生して難しくなる面もありますが、それでも「忘れてはいけない」「命を守るために、次に伝えたいことがある」という想いを原動力に、休日には震災伝承シンポジウムへの参加など、できることに取り組んでいます。

また、母親の明子さんは、「震災語り部をやる! となったとき、漢字も読めなくて大丈夫かなと心配したんですけど、今ではふたりとも立派に役目を務めています。子どものやることに大人が手出し口出しをせず、我慢して見守って良かった」と話します。

経験していないことやつらいことを子どもと共有するにあたって、大人は消極的になりがちですが、子どもは親が思っている以上に柔軟です。

知らないことだからこそ大胆に挑戦して経験を積み重ね、自分なりに物事を消化して考えを育てていくことができます。

子どもは視野が広く、対応力も備わっているので、大人は何事も怖がらずに、子どもの体験をあと押ししてあげることが重要だといえるのではないでしょうか。

取材・文/梶原知恵

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◆鈴木心彩(すずき ここあ)
2013年4月3日生まれ。父・浩也(ひろや)さん、母・明子(あきこ)さん、兄・大遥(たいよう)さんの4人家族。震災伝承や防災啓発を行う「いわぬま震災語り部の会」に、小学6年生時の2025年8月に入会。その後、同年9月27日に震災語り部としてデビューした。

【大震災後に生まれた私が「震災語り部」になったワケ】の連載は、全2回。
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梶原 知恵
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梶原 知恵

KAJIWARA CHIE
企画・編集・ライター

大学で児童文学を学ぶ。出版・広告・WEB制作の総合編集プロダクション、金融経済メディア、外資系IT企業のパートナー会社勤務を経て現在に。そのなかで書籍、雑誌、企業誌、フリーペーパー、Webコンテンツといった、さまざまな媒体を経験する。 現在は育児・教育からエンタメ、医療、料理、冠婚葬祭、金融、ITシステム情報まで、各媒体の企画・編集・執筆をワンストップで手がけている。趣味は観劇。特技は長唄。着付け師でもある。

大学で児童文学を学ぶ。出版・広告・WEB制作の総合編集プロダクション、金融経済メディア、外資系IT企業のパートナー会社勤務を経て現在に。そのなかで書籍、雑誌、企業誌、フリーペーパー、Webコンテンツといった、さまざまな媒体を経験する。 現在は育児・教育からエンタメ、医療、料理、冠婚葬祭、金融、ITシステム情報まで、各媒体の企画・編集・執筆をワンストップで手がけている。趣味は観劇。特技は長唄。着付け師でもある。