4人家族で1LDKもある【都心部住宅事情】 それでも思春期の子どもに「1人空間が必要」な理由〔一級建築士が解説〕

「家が狭い!」ファミリーを救う“間取り改造”計画【1/3】~パーソナルスペースの必要性~

一級建築士、模様替えアドバイザー:しかま のりこ

思春期には最低1m×2mのパーソナルスペースが必須

未就学児や小学校低学年など子どもがまだ小さいうちはともかく、子どもが小学校高学年、遅くとも本格的な思春期に突入する中学生になったら、絶対にパーソナルスペースを作る必要があると、しかまさんは強調します。

「私が見てきた中では、家の中で一人になれる空間が全くない状態より、シングルベッド分のわずかな空間でもパーソナルスペースがあるほうが、何かあったとき気持ちの整理をしやすい印象があります。

最低でもシングルベッドのサイズ、つまり自分が寝るスペースの1m×2m程度は確保してあげたい。オープンな空間で始終顔を合わせるよりは、あまり見られないようにベッドの配置を工夫したり、カーテンや間仕切りを駆使して家族の視線を感じないようにしてあげることが大事です」

2段ベッドにもカーテンを付けて、周りの目を気にせず、一人になれる空間を作ってあげよう。  ※画像提供:COLLINO一級建築士事務所
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パーソナルスペースの場所は、2段ベッドの上下どちらかでもいいと、しかまさんは話します。

「あるご家庭では、2段ベッドの上段を大学生の長男、下段を高校生の長女というように、上下で空間を分けていました。どちらのお子さんも精神的に安定し、しっかりしているように見受けられました」

それでは、パーソナルスペースはどう作ったらよいのでしょうか? 次回の「見直し編」では、リフォームと模様替えの予算、狭小住宅におすすめの家具や、逆に買ってはいけない家具など、パーソナルスペース作りで見直すべきことを教えてもらいます。

●しかまのりこPROFILE
COLLINO一級建築士事務所主宰。一級建築士、模様替えアドバイザー、建築基準適合判定資格者、耐震診断士。ゼネコン建築設計部等で設計・検査・審査など携わった住戸数はのべ5000件以上。独自のメソッドで、500件の問題を解決してきた。

取材・文/桜田容子

しかまさんがさまざまな家族構成と間取りの実例を紹介し役立つヒント満載の『狭い家でも子どもと快適に暮らすための 部屋作りのルール』(彩図社)

【参照】
国土交通省「令和6年度 住宅経済関連データ」
令和3年3月更新(一部)「東京の住宅事情」

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しかま のりこ

Noriko Shikama
一級建築士、模様替えアドバイザー

COLLINO(コリーノ)一級建築士事務所主宰。一級建築士、模様替えアドバイザー、建築基準適合判定資格者、耐震診断士。 ゼネコン建築設計部等で設計・検査・審査に携わった住戸数はのべ5000件以上にのぼる。現在は独立し、機能的でおしゃれな部屋作りを専門に行うCOLLINO一級建築士事務所を設立。部屋を「空間分け」「動線」「収納」の観点でつくる独自のメソッドで、500件の問題を解決してきた。 近著に『狭い家でも子どもと快適に暮らすための 部屋作りのルール』(彩図社)がある。 ●COLLINO一級建築士事務所HP

COLLINO(コリーノ)一級建築士事務所主宰。一級建築士、模様替えアドバイザー、建築基準適合判定資格者、耐震診断士。 ゼネコン建築設計部等で設計・検査・審査に携わった住戸数はのべ5000件以上にのぼる。現在は独立し、機能的でおしゃれな部屋作りを専門に行うCOLLINO一級建築士事務所を設立。部屋を「空間分け」「動線」「収納」の観点でつくる独自のメソッドで、500件の問題を解決してきた。 近著に『狭い家でも子どもと快適に暮らすための 部屋作りのルール』(彩図社)がある。 ●COLLINO一級建築士事務所HP

さくらだ ようこ

桜田 容子

ライター

ライター。主に女性誌やウェブメディアで、女性の生き方、子育て、マネー分野などの取材・執筆を行う。2014年生まれの男児のママ。息子に揚げ足を取られてばかりの日々で、子育て・仕事・家事と、力戦奮闘している。

ライター。主に女性誌やウェブメディアで、女性の生き方、子育て、マネー分野などの取材・執筆を行う。2014年生まれの男児のママ。息子に揚げ足を取られてばかりの日々で、子育て・仕事・家事と、力戦奮闘している。