子どもの「勉強への姿勢が変わった!」 学校教師が驚いた「Feel度Walk」の効果
【今こそ学力観のアップデートをするとき】親子で探究実践#4「学校にも広がるFeel度Walk」
2023.08.25
「どんなことでもおもしろがれる好奇心」を活性化していく「Feel度Walk」の活動。
これを続けていくと、探究学習だけでなく「子どもたちの勉強全般に対する姿勢が変わる」と市川力さんは話します。
「Feel度Walk」は、こうした効果を感じた学校の先生からも注目を集め、授業や行事などで導入されるケースも増えています。
学校での実践例、子どもたちの変化などについてお話をうかがいました。
※全5回の第4回
◆市川 力(イチカワ チカラ)
一般社団法人みつかる+わかる代表理事/慶應義塾大学SFC研究所上席所員
東京コミュニティスクールの初代校長として、長年、小学生を対象に探究力を育む学びを研究・実践。現在は、全国各地の小・中・高校に赴き探究学習の支援をするとともに、地域の多様な人たちがともに好奇心を発揮できるような、学び場づくりを行っている。
発見の感度が上がれば勉強への姿勢も変わる!
「Feel度Walk」を繰り返し行って習慣化していくと、子どもたちの勉強への姿勢も変わってくる、と市川さんは話します。
「#1でも触れましたが、『Feel度Walk』を続けることで感性や感度が研ぎ澄まされていくと、それまでだったら見逃していたこと、気づきもしなかったことを発見するようになるんです。それで、『もしかしたら、今日見つけたことと今やってるこれは、つながっているのかも……』という直感のような感覚が芽生えていきます。
こういう経験をすれば、『○○には興味があるからやりたいけど、××はやりたくない』という、子どもが言いがちなセリフは出てこなくなります。どこで何がつながっているかわからないんだから、自分で勝手に『これは関係ない』と判断しちゃダメなんだ……とわかってくるんですよ。
算数が嫌いな子だって、自分が本当に知りたいと思っていることにつながっていると感じたら、『よし、やってみるか!』となるわけです。
結局、『Feel度Walk』で感度が上がると、何でもおもしろがれるようになっちゃうんです! だから、学校の勉強への向き合い方も変わってきます。たとえこれまでどおりの授業でも、興味を持てるようになるんです」(市川さん)
市川さんの元には、こうした効果を実感した学校の先生から、「Feel度Walkを取り入れたいので協力してほしい」といった依頼が多く寄せられています。
「小学校に加えて、中学、高校からも問い合わせをいただいて、いろいろな学校で『Feel度Walk』をしています。最初は僕が行って一緒にやりますが、一度経験したら自分たちだけでできるから、取り入れやすい面もあるんじゃないでしょうか。
それに、『Feel度Walk』は必ずしも授業で行う必要はありません。先生たちは、ただでさえ忙しい中で、新しい考え方や授業方法を次々に取り入れなくてはいけない状況にあります。だから、授業で取り入れるとなると、「どこで時間を捻出するのか」など、考えることが増えてしまうんです。
『Feel度Walk』は学級活動でやってもいいし、子どもたちの自主学習として、放課後に各自でやってもらってもいいんですよ。そこで『こんなの見つけた』という内容が、探究の授業だけでなく、理科や社会にも生きてくることがあるわけです。
実際に、コロナ禍の休校中の課題として『Feel度Walk』を各自で行ってもらい、スケッチした絵を共有する、といった取り組みを行った先生もいました。家の近所を歩くだけでいいので、ステイホーム中でもできましたし、子どもたちのユニークな発見がたくさん集まったと聞いています。
みんなおもしろがって取り組んで、お互いの発見を愛で合い、認め合う仲間意識を育てるので、この先生はその後も授業や行事の中で、積極的に『Feel度Walk』を取り入れています」(市川さん)
さらに、子どもたちの変化について、次のような報告も受けています。
「これまであまりしゃべらなかった子が描いた絵を見て、『こんなに丁寧にものを見ているんだ』と先生もクラスメイトも驚いたり、いつもやんちゃで少し乱暴な男の子がきれいな花の絵を描いて、周りの子に『かわいい』と言われて喜んだり、といった話も聞いています。
『知図』は言葉を使わないので、コミュニケーションが苦手な子でも、自分の感じたことを表現できるんです。だから、いつもはなかなか見られない、子どもの新たな面が自然と引き出されます。
いわゆる、普段からよく発言してテストの点が良い、一部の子どもだけが目立つような活動、学びではなく、すべての子が自分らしさを発揮しながら、いろいろなことに前向きに取り組めるようになる。そんなところも、たくさんの学校や先生に取り入れてもらっている理由なのかな、と思っています」(市川さん)