絵本作家が一押し 「あっこれ知ってる!」を我が子とシェアできる絵本3冊
きいてみよう! ただいま絶賛子育て中 絵本作家のえほんばこ〜おおで ゆかこさん〜
2021.07.01
絵本作家 イラストレーター:おおで ゆかこ
素敵な絵本を生み出している絵本作家さんたちは、絵本を通して子供たちとどのような時間を育んでいるのでしょう? その素敵な“物語”をご紹介します!
今回はおおでゆかこさんの登場です。
「たのしい幼稚園」8月号(2021年7月1日発売)掲載より
2歳7か月になる娘は最近、実際に経験したことを絵本の中であらためて見つけるのが楽しくてたまらないようです。
絵本の世界と実体験が 結びつき始めた娘
我が家は私の部屋に本棚が2つあって、1つは私用、1つは娘の絵本用になっています。2歳7か月になる娘は、最近絵本の世界と実体験が結びつき始めたようで、自分の実体験に近い物語を選んで持ってくるようになりました。
中でも最近のお気に入りは『おべんとばこさん こんにちは!』。ページを開くといろんなお弁当の中身が出てくる絵本なのですが、ちょうど今、娘はお店屋さんごっこにハマっていて、お弁当屋さんごっこもよくするんです。
お弁当箱に小さなオモチャの食べ物を入れて、「どうぞ」と売ってくれるんですが、コンビニなどに行ったときの私と店員さんのやり取りをよく見ているようで、「お預かりしますね」なんて言っています(笑)。
おおでゆかこさんのおすすめ絵本❶ 『おべんとばこさん こんにちは!』
ピクニックをした後に読むとさらに楽しい!
ピクニックへ行った森の子どもたち。お弁当箱を開けると素敵な中身が次々登場。ところがブタくんのお弁当は、ねずみの坊やに食べられていた! そこでねずみが作ってくれたお弁当は?
「最近家族でピクニックをしたので、お弁当箱を開ける楽しさが分かるようで、この絵本をよく持ってきます」(おおでさん)
とにかく今は、自分が見たもの、経験したものを、絵本の中でも見つけるのが楽しいみたいで。
『まどから おくりもの』は、サンタさんがプレゼントを配っていくしかけ絵本なのですが、サンタさんが訪れる部屋の中には、やかんやローソク、輪投げなどいろいろなモノが描かれているんです。
自分が知っているモノを探しては、「ここに〇〇があるね!」「かわいいね」などと会話するのが楽しいようで、クリスマスに関係なく「読んで」と持ってきます。
おおでゆかこさんのおすすめ絵本❷ 『まどから おくりもの』
クリスマスに関係なく読みたくなる1冊
ねずみさんやねこさん、うさぎのきょうだいや男の子の部屋に、窓から贈り物を投げ込んでいくサンタさん。でもページをめくってみると、窓から見えていたのはちょっと違う景色だったようで……。
「窓の部分が穴になっていて、次のページの絵が少しだけ見えるのですが、めくったときの意外性が楽しいみたいです」(おおでさん)
初めて絵本を作ったのは 5歳くらいのとき
娘は私の幼い頃とよく似ていて、初志貫徹なところがあります。
私は小さい頃、絵画教室に通っていたのですが、ある日コラージュの材料を家に忘れてきてしまって。先生が別の材料を用意してくれたのですが、それがどうしても気に入らなくて、大号泣して結局家に取りに戻ったことがありました。
今思うと恐ろしく頑固な子供ですよね。娘はそこまでではありませんが、こうと決めたら曲げないところは私と一緒だなと感じます。
私はとにかく絵本が好きな子供で、5歳くらいからは自分でしかけ絵本を作るようになっていました。
紙でバネを作って、開くと飛び出すという簡単なものですが、母がいつもとても楽しそうに読んでくれて。それがきっかけだったのかは分かりませんが、7歳のときにはもう「絵本作家になりたい」と思うようになっていました。
母も「あなたは絵の世界にいったらいいと思う」と応援してくれたので、高校、大学と、芸術コースに進んだんです。
卒業後、友人と何度か展示会を開きました。その時に作った、本の虫のシロクマのお父さんを描いた絵本を偕成社さんに持ち込んだところ、「この作品をベースに絵本を作りませんか?」と言って頂いて。それで初めて出版したのが『シロクマくつや』でした。
娘の能力を見極め サポートしてあげたい
絵本作りの魅力は、ゼロから始まる可能性を秘めていることです。現実にはない世界も絵と文章で表現できる。そしてそんな絵本を通じて、子供たちは想像力を養っていっていると思うんです。
だから私は子供の頃、ドキドキワクワクするような冒険記が大好きでした。中でも、ちょっと怖いけれど色鮮やかな世界が魅惑的で何度も読んでいたのが『巨人に きをつけろ!』。これは娘にも読んであげているのですが、娘は好奇心旺盛なので、「わー、こわい!」「逃げて!」などと物語の世界に入り込んで楽しんでいます。
娘には、やりたいと思ったことを大事にしてほしいと思っているので、絵本を通して“興味”を学んでくれたらと思っています。そして、やると決めたらやり通してほしい。人生を通してやりたいことが見つかると自分への自信につながるし、人生を大事に生きるようになる気がするんです。
だから娘にはたくさんの選択肢を提示しつつ、娘にプラスになると思ったことは私から伝えていきたいとも思っています。「この子はこれをやったら伸びるだろうな」ということって、親から見るとよく分かったりする。
母が、私の絵に対する興味を見極めてくれたように、私も娘が本当に好きなことを見極めてサポートしてあげたいと思っています。
おおでゆかこさんのおすすめ絵本❸ 『巨人に きをつけろ!』
鮮やかで大胆な色遣いに惹かれます
ジャイアントの世界に入り込んだ2人の子どもは、ジャイアントに捕まり食べられそうに。逃げても逃げても、そこにはジャイアントが……という不思議なしかけ絵本。
「冒険するドキドキ感だけでなく、エリック・カールの鮮やかで大胆な色遣いにも娘は惹かれるようです」(おおでさん)
おおでゆかこさんの新刊絵本『シロクマさんの アイスクリームやさんシールえほん』
アイスクリームショップやかき氷屋さんなど、いろんなお店でお買い物。絵本を読みながら、シールを貼って自分の好きな一品を作れる楽しい1冊です。「ラッピングするとき、シールやリボンでデコレーションするのが好きで。そこからインスピレーションを得て描きました!」(おおでさん)
取材・文/山本奈緒子
おおで ゆかこ
1986年生まれ、大阪府出身。京都精華大学カートゥーンコース卒業後、イラストレーターとして絵本や雑誌の挿絵を描く他、文房具や雑貨のイラスト、デザインなども手掛けるように。2014年にデビュー作となる絵本『シロクマくつや』(偕成社)を出版。他に、『すてきなおかし作り』『たのしいおりょうり』(河出書房新社)『いろいろクリスマスツリー』(アリス館)など多くの素敵な絵本がある。 Website https://www.yukakoohde.com instagram odeyu86 Twitter @Oderon86
1986年生まれ、大阪府出身。京都精華大学カートゥーンコース卒業後、イラストレーターとして絵本や雑誌の挿絵を描く他、文房具や雑貨のイラスト、デザインなども手掛けるように。2014年にデビュー作となる絵本『シロクマくつや』(偕成社)を出版。他に、『すてきなおかし作り』『たのしいおりょうり』(河出書房新社)『いろいろクリスマスツリー』(アリス館)など多くの素敵な絵本がある。 Website https://www.yukakoohde.com instagram odeyu86 Twitter @Oderon86