「ワンオペ育児」家事の男女格差が埋まらない! 乗り越える4つの方法とは?
「ワンオペ育児」の実態・原因・乗り越える方法とは?
2023.07.26
共働き世帯の増加に伴い、家事や育児の負担が偏る「ワンオペ育児」に悩む母親が増えています。この記事では、ワンオペ育児とはどういった状況のことを指し、なぜいま問題になっているのか。
また、まさにワンオペ育児に悩んでいる方のために、状況を改善するためのヒントをお伝えします。各家庭における「正解」があるわけではありませんが、ひとつのヒントとしてお考えいただければさいわいです。
なぜいまワンオペ育児が問題なのか
2022年9月に厚生労働省が発表した調査によると、子育てをしながら働いている母親の割合は75.9%で、1986年の調査開始以降、過去最高の割合となりました。
働く母親が増加しているにもかかわらず、夫婦の育児分担は依然として「仕事をしている母親が、家事・育児を1人で(ワンオペで)担っている」という家庭が少なくありません。なぜ「ワンオペ育児」が注目を集め、何が問題なのか。ここでは、その経緯と現状を解説します。
「ワンオペ育児」という言葉の誕生
メディアやSNSなどで、「ワンオペ育児」という言葉を聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。2017年にはユーキャン新語・流行語大賞にノミネートされており、共働き家庭が増えた現在でも、家事・育児をひとりでこなす女性が、いまだ多いことを象徴する言葉です。
ワンオペとは「ワンオペレーション」を省略した表現で、本来はコンビニや飲食店で従業員が1人で店舗を営業することを表す言葉です。そこから転じて夫婦どちらか、または、ひとり親家庭が家事や育児を1人でこなすことを「ワンオペ育児」と呼ぶようになりました。
なかなか埋まらない家事育児の男女格差
総務省が発表した2021年度「社会生活基本調査」の結果によると、6歳未満の子どもがいる世帯で、週全体の男性の家事関連時間は1時間54分。5年前の調査結果と比べて31分増えており、1976年の調査開始以来、もっとも長くなったことが分かりました。しかし、女性の家事関連時間は7時間28分となり、5年前の調査結果と比べて6分減ったものの、男性のおよそ4倍にも上ります。
家事関連時間には、家事や育児のほか、介護や看護、買い物なども含まれています。育児に限ってみると、6歳未満の子どもがいる世帯で、週全体の男性の育児時間は16分増えて1時間5分となり、はじめて1時間を超えました。一方、女性の育児時間は9分増えて、3時間54分になっています。
男性は仕事、女性は家庭という「男性中心型社会」からの脱却が求められていますが、調査結果をみると、家事・育児に対する女性の負担が大きいことが分かります。
男性も家事・育児を行うことは、子どもにも良い影響をあたえるとして、育児休業を取得したいと考えている男性は増えつつあります。しかし、日本は諸外国に比べ、育児に参加する時間がまだまだ短いのが現状です。
ワンオペ育児がもたらす心身のストレス
ワンオペ育児は、体力的・精神的なストレスを抱えている人が多い傾向にあります。
●自分の時間がない
●身体の疲れや睡眠不足がある
●孤独感
365日休めない子どもの世話で自分の時間がなく、夜泣き対応や夜間授乳で睡眠不足となり疲労が溜まっているのです。
特に専業主婦は、子育てに余裕ができるころに就労できるかどうかに不安を感じている人が多くなっています。子どもと過ごす時間が長いことから、孤独感を感じやすいのではないかと考えられています。
なぜ夫は育児に参加できないのか
ワンオペ育児はどのような家庭で生まれやすいと言えるでしょうか。
夫が育児に参加できない・しない主な理由としては、仕事などで時間が取られてしまい育児の時間がなかなか確保できないという外的要因と、そもそも育児に非協力的な考え方をもっているという内的な要因が考えられます。
1.仕事で育児の時間が確保できない
夫がある程度責任あるポジションに就いている場合、労働時間が長くなる傾向があることは否めません。早く帰宅して育児に協力したくても、立場によっては難しいことも。その場合、育児がもっとも忙しい夕方から夜にかけて、母親がワンオペ状態になってしまいます。
2.夫が育児に非協力的である
夫が育児に協力できる環境があっても、子育てに非協力的であるというケースもあります。
・夫は休みの日も予定を詰め込んで家庭を顧みない
・簡単な家事をたまにやっているだけ
・男は仕事、女は家庭という昔の考えがある
このような理由で協力を得られないとなると、母親は家のことや子育てに追われて自分の時間を作ることもできず、不満も溜まってしまいます。
ワンオペ育児を乗り越える方法
ワンオペ育児の状態が続くと「どうして私だけがこんなに大変なの?」とつらい気持ちになってしまうかもしれません。少しでも状況を改善していくために、ここからは、ワンオペ育児を乗り越える方法をご紹介します。
ワンオペ育児を乗り越える主な方法は、以下のとおりです。
1.まずはパートナーと話し合う
2.ベビーシッターや便利家電を利用する
3.息抜きする時間を決める
4.完璧主義な考え方をやめる
1.まずはパートナーと話し合う
夫婦でも言葉にしないと伝わらないことがあります。思っていることや、具体的にどうして欲しいのか、パートナーと話し合う機会を作りましょう。「言わなくても察してくれるだろう」と思っていると、お互いに不満をため込んでしまい、悪循環です。
2.ベビーシッターや便利家電を利用する
大変なときは、ベビーシッターなど育児の手助けとなるサービスを利用しましょう。ベビーシッターにお願いしている間に、家事を済ませるのも良いかもしれません。
また、家事が時短できる便利な家電が数多く販売されています。例えば、お掃除ロボットや食器洗い乾燥機など、おまかせするだけの家電があると便利です。家計と相談しながら上手に活用してみましょう。
3.息抜きする時間を決める
毎日頑張りすぎていると、心身ともに疲れが溜まってしまいます。たまには子どもを預けて、自分のためだけに時間を使ってみてください。
短い時間でも好きなことをして過ごすとリフレッシュになりますよ!また笑顔で家事・育児を頑張ろう!という気持ちになれば、何の問題もありません。
4.完璧主義な考え方をやめる
家事育児は、完璧にやろうと思い込まないこともポイントです。少しくらい部屋が散らかっていたって、手抜きごはんだっていい!くらいの気持ちで大丈夫。余裕のない日は家事は後回しにしても◎。
パートナーに協力してもらうための具体的な方法
パートナーに協力してもらえないことは、ワンオペ育児になっている大きな原因のひとつ。ここからは、一番近くにいるパートナーに焦点を当てて、協力してもらうための方法をご紹介します。
パートナーに協力してもらうための具体的な方法は、以下のとおりです。
1.困っていることをストレートに伝える
2.日常的なコミュニケーション量を増やす
3.1つのカテゴリーを任せる
4.お互いに感謝する気持ちを忘れない
1.困っていることをストレートに伝える
何に困っているかが分からず、パパが家事・育児に協力できないケースも。パパの仕事の大変さが分かるから、頑張ってしまうママも多いはず。困っていることは相談して擦り合わせるのが大切です。
例えば、「お迎えしてから買い物もするのは大変なの、帰りに買い物をしてくれる日があると助かる」と、ママの気持ち&こうして欲しいを伝えるようにしましょう。
2.日常的なコミュニケーション量を増やす
夫婦間のすれ違いは、コミュニケーション不足が原因のひとつになっています。しっかりとコミュニケーションを取ることがとても大切です。
パパからすると、ママは育児・家事を上手く回しているように見えて、実はママが大変だと気づいていないことも。パパが帰宅するまでの出来事の共有も、大変さを分かってもらうために有効です。できるだけコミュニケーションを増やして、居心地のいい関係を保つようにしましょう。
3.1つのカテゴリーを任せる
パパにもっと協力的になってもらうためには、家事のうち1つのカテゴリーを任せてしまうのもおすすめの方法です。
パパに得意な家事があれば、不満を抱くことも少ないでしょう。得意な家事がなくても、お風呂掃除といった力仕事などできそうな家事からお任せしてみてはいかがでしょうか。
また、一度任せたらパパのやり方を尊重する姿勢が大切です。家事のやり方や仕上がりに不満をもつかもしれません。どうするのか聞かれたら一緒に考えるくらいのスタンスで、気楽にお任せしましょう。
4.お互いに感謝する気持ちを忘れない
お互いに感謝する気持ちを忘れないことも重要なポイントです。ママにとってちょっとしたことでも、感謝を伝える習慣を作りましょう。思っているだけでは伝わらないのと同じで、「ありがとう」や「お疲れ様」と言葉に出して伝えたり、態度で示してみたりと分かりやすく伝えてみてください。
最後に
ワンオペ育児、とても大変ですよね……。ぜひ毎日頑張っている自分をたくさん褒めてあげてください! 育児は何年も続くからこそ、この記事でご紹介した方法を参考に、適度に手を抜いたり、1人で抱え込まずに、夫婦で協力しながら取り組んでくださいね。