内容総点検!「改正育児介護休業法」でパパの育児休業取得率13%は増える?

改正育児・介護休業法4月開始! 子育て世代が知っておくべき基礎知識#1〜育児休業法・改正内容編〜

社会保険労務士:石井 愛

今回の育児・介護休業法の改正は、パパの育休推進が大きな目標とされ、政府は2025年までに3割に引き上げたいとしている。 写真:アフロ
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2022年4月より、「改正育児・介護休業法」がスタートしました。今回の改正は、子育て世代やプレ子育て世代の暮らしにどのような変化をもたらすのでしょうか。

主な改正点と、とくに知っておきたいポイントについて、社会保険労務士の石井愛さん(よこはまみなと社会保険労務士事務所・所長)に聞きました。

お話を伺った社会保険労務士の石井愛さん(よこはまみなと社会保険労務士事務所・所長)。 Zoom取材にて

男性の育児休業取得率はたったの1割強

2021年6月に改正された「育児・介護休業法」が、2022年4月から段階的に施行されます。育児・介護休業法は仕事と育児、仕事と介護を両立できる社会を実現するための法律です。

これまでも、育児介護休業法によって、性別にかかわらず、子どもが1歳に達する日まで育児休業が取得可能。保育園に入所できないなどの事情がある場合は、最長2年まで延長できました。

しかし、育児休業の取得率を見ると、女性の育児休業取得率が8割台なのに対して、男性はわずか1割強にとどまっていました(厚生労働省「雇用均等基本調査」より)。

育児休業取得率は、女性は8割台だが、男性は上昇傾向にあるものの2020年で約13%(12.65%)と低い。引用:厚生労働省「雇用均等基本調査」

三菱UFリサーチ&コンサルティグの調査報告(※1)によると、男性正社員のうち、「出産・育児のために何らかの休暇・休業を希望」して、実際に利用した割合は19.9%。「希望していたけれど、利用しなかった人は37.5%にものぼることがわかっています。
※1=「仕事と育児等の両立に関する実態把握のための調査研究事業報告書」(平成30年度)

今回の改正では、出産・育児による離職を防ぎ、男女ともに仕事と育児を両立できるよう、男性の育休取得を促進することが、最大の狙いだとされています。

従業員が「知らないから休めなかった」は雇用側の管理が問題

【2022(令和4)年4月1日から施行】
●育児休業を取得しやすい雇用環境の整備(研修の実施や相談窓口の設置等)

●妊娠・出産の申出をした労働者(本人または配偶者)に対して、個別に制度の周知・意向の確認が義務化

●有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和

「ここで注目したいのは、個別に制度の周知・意向の確認が義務化されたことです。事業主は従業員から『(本人または配偶者の)妊娠・出産』の申し出があった場合、育児休業の内容や申し出先、育児休業給付、育児休業期間中の社会保険料などについてしっかりと説明する必要があります。

さらに、「制度を利用したいかどうか」の意向も個別に確認することが求められます。“制度を知らずに活用できないのは従業員の問題”なのではなく、雇う側からアプローチすることを義務化することで、誰もが育休を取得しやすい環境づくりにつなげようという狙いです」(石井愛さん・社会保険労務士)

【2022(令和4)年10月1日から施行】
●「産後パパ育休」(出生時育児休業)の創設
・対象期間:子の出生後8週間以内

・取得可能日数:4週間まで取得可能

・申し出期限:原則休業の2週間前まで(※2)

・分割取得:分割して2回取得可能(※3)

・休業中の就業:労使協定を締結している場合、合意のうえ可能

※2 雇用環境の整備等、今回の改正で義務付けられる内容を上回る取り組みを労使協定で定めていれば1ヵ月までとすることができる
※3 初めにまとめて申し出ることが必要

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