子どもの脳を育てる6つのコツ 小児脳科学者による育児法「ペアレンティング・トレーニング」のポイント

6つのコツで子どもがみるみる変わる! ペアレンティング・トレーニング#2

よい脳を育てるペアレンティング・トレーニングは正しい生活習慣が基本です。写真:アフロ
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子育てをしていると、子どもの成長に感心したり、頼もしさを感じたりすることがあります。我が子が順調に育っていることを実感して、うれしくないパパママはいません。

子どもの育ちを紐解くと、それは同時に脳が育っていることにほかなりません。小児科医であり、小児脳科学者の成田奈緒子先生は、この関係を見出して脳科学の観点から新しい育児法を確立し、それを使った子育て支援をしています。

子育てに疲れた、あるいは行き詰まったパパママを救っているというメソッドを引き続き教えていただきます(全3回の2回目。#1を読む)。

よい脳を育てるペアレンティング・トレーニングには6つのポイントがある

子育てに自信をなくしたパパママを救い、子どもの育ちを脳から応援するペアレンティング・トレーニングは、生活習慣の立て直しからスタートします(#1を読む)。

しかし、これだけがポイントではありません。前シリーズで紹介した『からだの脳』、『おりこうさんの脳』、『こころの脳』を順番にバランスよく育てるには、実は全部で6つの重要項目があります。今回はそれらについて解説していきましょう。

子どもの脳を育てるペアレンティング・トレーニングの6つのポイント

① ブレない生活習慣を確立する
② 調和の取れたスムーズなコミュニケーションを心がける
③ 親子がお互いを尊重して、協力しあう生活を行う
④ 怒りやストレスに対する、適切な対処法を共有する
⑤ 親子が楽しめるポジティブな家庭の雰囲気を作る
⑥ 親がブレない軸を持つ

① ブレない生活習慣を確立する

生活習慣を整えることの重要性は前回も触れていますが、どうしてこの項目がペアレンティング・トレーニングで最も大切なのか、さらに説明します。

「からだの脳」は最も原始的な部分を司っていて生命維持装置です。この土台の脳をしっかり固めないと、これから経験していく学習やスポーツ(=おりこうさんの脳)、そして人を思いやる気持ちや論理的思考をすること(=こころの脳)も満足のいく成長を遂げられません。ですから、親御さんがまず行うことは毎日、一定で安定した生活環境を子どもに与えることなんです。

成長段階の子どもには年齢ごとに必要な睡眠時間というものがあります。
・7歳→10時間30分
・9歳→10時間
・11歳→9時間30分
・13歳→9時間15分

睡眠は脳をつくる大切な時間であり、その後の「おりこうさんの脳」と「こころの脳」を育てる基本になっていきます。

「からだの脳」は五感(視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚)から脳に入る刺激を繰り返し受けることで育ちます。これを踏まえると「太陽のリズム」に沿う生活は、自然に刺激を繰り返し与えられる環境になるのです。

子どもはどの子も必ず育ちます。それもいい刺激を繰り返し与えると、脳も必ずいい育ちをします。

小学生になると「宿題や勉強なら、寝る時間が遅くなってもしかたない」と思う親御さんは多いものですが、重要なのは何歳になっても睡眠時間が生活の軸であることです。その残りが食事や遊び、お風呂や勉強の時間です。

子どもの宿題が終わっていなくても、決めた時間には就寝しましょう。小学生の場合、理想の睡眠時間は10時間前後ですが、日本の小学生の睡眠時間が8時間30分程度であることを踏まえると9時間が許容範囲です。

帰宅後に勉強や宿題ができていないなら、夜9時に寝て、朝6時に起きて勉強するのがおすすめです。夜の寝る時間を守る、これがペアレンティング・トレーニングの基本的な考えです。

② 調和の取れたスムーズなコミュニケーションを心がける

生活習慣が整い始めたら、次の段階に進みます。次は「おりこうさんの脳」を育てていきます。

調和の取れたスムーズなコミュニケーションとは、親と子どもが生活の中で一方的ではなく、双方向の会話を確立していくことです。毎日、家庭で繰り返される親子の会話は子どもの脳育てには大きな影響がありますから、親は子どもに伝わる表現を心がけましょう。例えば、親御さんは次のことに注意しながら話してみてください。

■あいまいな言葉はできるだけ使わない
「もう少しで出かけるから準備して」なんて声をかけていないでしょうか。これでは子どもは正しい反応ができません。

「短い針が11で長い針が12のところにきたら出かけるよ」「○時○分の電車に乗るから、△時△分には家を出るよ」など、子どもの年齢に合わせて具体的に表現してあげましょう。

■いった、いわないを減らす会話にする
親:「今日は学校から帰ってきたら、すぐに○○に行くっていったじゃない! どうして帰ってくるのが遅いのよ!」
子:「え、そんなの聞いてないも~ん」
親:「学校に出かけるときに伝えました!」

以上のような、〈いった、いわない〉会話も親子間ではよく起こります。こういう場合は意識がほかに向いているときではなく、子どもが親の話をしっかりと聞ける環境で、「今日は△△ちゃんが学校から帰ってきたら、一緒に○○に行きます。できれば○時には帰ってきてね」と具体的に用件を伝えることが大切です。

子どもにはシンプルに、わかりやすい言葉で、脳に入りやすい環境に整えてから伝えることが大切です。これを繰り返していくことで子どもは親の伝え方をまねて的確な表現をするようになり、「おりこうさんの脳」も育っていきます。

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