いつも“お魚愛”たっぷりのトークで楽しませてくれるさかなクンの半生を描いた映画『さかなのこ』が、2022年9月1日に公開されます。
原作の自伝的エッセイ『さかなクンの一魚一会 ~まいにち夢中な人生!~』(講談社)をもとに、さかなクンの幼少期から現在までの道のりを、フィクションを織り交ぜながらユーモアたっぷりに表した物語です。
子ども時代、勉強は大の苦手だったさかなクンですが、現在は、東京海洋大学名誉博士・客員教授に就任。
ほかにも、日本ユネスコ国内委員会広報大使、農林水産省お魚大使、WWFジャパン親善大使、環境省地球いきもの応援団などの名誉ある肩書が多数で、その活躍ぶりは言わずもがな。
さかなクンが、そんな“スーパー出世魚”となった背景には、さかなクンの“お魚愛”を支えたお母さんの存在が大きかったようです。
第1回は、さかなクンの子ども時代を支えたお母さんの名言&名サポートを映画と原作本からピックアップ。子どもの“好き”をぐんぐん伸ばすヒントはどこにあるのか、4歳児のママライターが探ります。
子どもの“好き”に徹底的に寄り添う
映画『さかなのこ』は、さかなクンをモデルにしたミー坊の小学生時代から始まります。お魚が大好き、お魚の絵を描くことが大好きなミー坊(西村瑞季)。
お母さん(井川遥)は、そんなミー坊に魚の図鑑をプレゼントして、毎週末、水族館へ連れていってくれます。原作によると、閉館時間まで毎回ひとつひとつの水槽を1時間以上かけて(!)見て回ったというから驚きです。
お母さんは、ミー坊の隣で一緒に水槽を見つめます。
“タコって、よく見ると、けっこう可愛いね”
“また来週こよ”(『さかなのこ』より)
いくら子どもが夢中なことでも、ここまで親がどっぷり付き合うなんて、そう簡単にできるものじゃありません(……というか、私にはちょっとムリ!)。
自分の“好き”な気持ちを否定することなく、受け入れ、一緒に好きになってくれる。子どもにとって、どれほどうれしいことでしょう。
前に娘とふたりで水族館へ行ったとき、大好きなチンアナゴに見惚れて動かない娘に「そろそろ次に行こうよ~」と、つい急かしてしまったことを思い出しました。娘よ、ごめん!
ミー坊の“好き”に寄り添うお母さん、いつだってミー坊の味方です。
あるとき、タコが大好きなミー坊のため、毎日毎日味付けを変えていろいろなタコ料理を作ってくれました。お父さんやお兄ちゃんは、連日のタコ料理にいい加減ウンザリしているのに!(笑)
ミー坊が“ちょっと怪しい人物”として知られる、お魚好きのギョギョおじさん(さかなクン)の家に遊びに行きたいと言ったときもそうです。お父さん(三宅弘城)は「危ないからダメだ」と反対しますが、お母さんはミー坊に言うのです。
“ミー坊は、その人のこと好き?”
“じゃあ、行っていいよ”(『さかなのこ』より)
さかなクンは、原作でこう語っていました。
“(母の姿勢は)いつもどんなときでも変わりませんでした。その姿勢に、いつもいつも助けられていました。だって一度たりとも、お魚を見たい、飼いたい、描きたいといった自分の中からわき出てくる思いを、ガマンした記憶がないのですから”(『さかなクンの一魚一会』より)
いつだって、子どもファースト。子どもを信じ、子どもが夢中なことに全力で取り組めるようにサポートするお母さんの姿勢には、ただただ感服するばかり。お母さんと同じようにはいきませんが、私もちょっとずつ、できるところから見習っていきたいと思います。