男の子の子育て【年齢別】傾向と対策 子育て専門家が解説

男の子の子育てココが知りたい#3「年齢に応じた育て方」

大阪教育大学教育学部教授:小崎 恭弘

7歳〜9歳(低学年〜中学年)/自立をしていく時期

「小学校に入学すると、幼児期とは異なり規律が求められます。授業は時間割に沿って行われ、授業中は座っていなければなりません。また、自分のことは自分でやらなければなりません。つまり子どもは自立をしはじめるのです」(小崎先生)

就学前は親が側にいた時間が多く、親を頼ったり、親側がやってあげることも多かったはずです。しかし、小学校に入ると親の目から離れることが多くなり、自立をサポートする対応が必要になってきます。

小学生になると、集団生活で規律が求められ、子どもは自立をしはじめます。  写真:アフロ

「小学校低学年の頃は特に、事故や怪我が多い時期です。親と離れる時間が多くなって注意を促せない分、約束ごとは何度も教える必要があります。

ルールを子どもに伝えるには、横断歩道を渡る前は必ず止まって左右を確認するなど、習慣づけることが大切です」(小崎先生)

小学生に入ると、子どもの行動範囲は広がります。また、親の目が届かないこともあるので、交通ルールなどは習慣づけることが必要です。

また、男の子でいうなら依然として自分の世界を持っており、飛べる力があるなど万能感も持っています。現実の世界で無茶をすることもあるので、危険なことに関しては約束ごとをしっかり教えることが重要です。

10歳〜12歳(中学年〜高学年)/前思春期に入る時期

次第に大人びた発言をしはじめ、親に口ごたえする子も出てきます。本格的な思春期を間近に控えた時期はどのような成長段階で、親はどのような対応をしていけばいいのでしょうか。

「10歳〜12歳は、個人差はありますが思春期の前の段階である『前思春期』に入ります。これ以前の子どもの世界観は親や家族が中心でしたが、それがすべてではないと気づいたり、自我がさらに発達して独自の思いや意見にも幅が出てきます。

また、秘密も持つようになりますね。親は子どものすべてを知りたいけれど、秘密を許さないという態度は子どもの隠し事を後押しします。

ですから、危険やトラブル以外の小さな秘密はそっとしておき、子ども専用の箱や場所を用意してあげて、子どもが大切な物をしまっておけるように、安心して秘密を持てる環境を作ってあげてほしいです」(小崎先生)

友達との仲間意識が強くなるギャングエイジ

「かつては自分も男の子でした。3人の息子のことも踏まえて10歳〜12歳の男の子のことをお話しすると、とにかく友達との仲間意識が強くなります。いわゆるギャングエイジです。

集団での行動に楽しさを覚えて、友達と自分たちだけのルールや秘密を共有する子が多いですね。秘密基地を作ったりするのもこの頃でしょう」(小崎先生)

前思春期は、ますます親から手が離れていき、友達との関係や『個』が強くなってきます。同時に、子どもは身体的にも精神的にも変化を遂げていきますが、親のほうがそれについていけないことがあると小崎先生は話します。

「子どもの新しい姿に親は不安を覚えるけれど、子どもにとってあるべき成長の過程なので、受け止めてあげてほしいですね」(小崎先生)。

子どもの成長のスピードに時に親は戸惑ったり、理解が追いつかずに悩んだりしますが、変化を楽しむこと、わからないから楽しいと思うことが男の子の子育てのコツです。

どんなときもそのときの我が子を受け入れつつ、成長をサポートしていきたいものです。

第4回は、小崎先生がおすすめする、困ったときに試してほしい「男の子の子育て、とっておきのワザ」を紹介します。


取材・文/梶原知恵

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こざき やすひろ

小崎 恭弘

大阪教育大学教育学部教授

大阪教育大学教育学部教授。兵庫県西宮市初の男性保育士として保育所などに12年勤務した経験を持つ。3人の男の子の父親でもあり、それぞれで育児休暇を取得。それらの体験をもって「父親の育児支援」研究を始める。NPO法人ファザーリング・ジャパンの顧問。2022年4月より大阪教育大学附属天王寺小学校の校長を兼任。 【主な著書や監修書】 『あ~、また言っちゃったがなくなる 男の子ママの言葉かけ便利帳』(総合法令出版) 『男の子の 本当に響く 叱り方ほめ方』(すばる舎)など

大阪教育大学教育学部教授。兵庫県西宮市初の男性保育士として保育所などに12年勤務した経験を持つ。3人の男の子の父親でもあり、それぞれで育児休暇を取得。それらの体験をもって「父親の育児支援」研究を始める。NPO法人ファザーリング・ジャパンの顧問。2022年4月より大阪教育大学附属天王寺小学校の校長を兼任。 【主な著書や監修書】 『あ~、また言っちゃったがなくなる 男の子ママの言葉かけ便利帳』(総合法令出版) 『男の子の 本当に響く 叱り方ほめ方』(すばる舎)など

かじわら ちえ

梶原 知恵

KAJIWARA CHIE
企画・編集・ライター

大学で児童文学を学ぶ。出版・広告・WEB制作の総合編集プロダクション、金融経済メディア、外資系IT企業のパートナー会社勤務を経て現在に。そのなかで書籍、雑誌、企業誌、フリーペーパー、Webコンテンツといった、さまざまな媒体を経験する。 現在は育児・教育からエンタメ、医療、料理、冠婚葬祭、金融、ITシステム情報まで、各媒体の企画・編集・執筆をワンストップで手がけている。趣味は観劇。特技は長唄。着付け師でもある。

大学で児童文学を学ぶ。出版・広告・WEB制作の総合編集プロダクション、金融経済メディア、外資系IT企業のパートナー会社勤務を経て現在に。そのなかで書籍、雑誌、企業誌、フリーペーパー、Webコンテンツといった、さまざまな媒体を経験する。 現在は育児・教育からエンタメ、医療、料理、冠婚葬祭、金融、ITシステム情報まで、各媒体の企画・編集・執筆をワンストップで手がけている。趣味は観劇。特技は長唄。着付け師でもある。