
【公民館がスゴいことになっていた!】沖縄「若狭公民館」子どもと大人たちが“アート“で生み出す新しい価値観とは?
シリーズ「地域をつなぐ みんなで育つ」#3‐3 「若狭公民館」【1/2】(沖縄県那覇市)
2025.04.07
ライター:太田 美由紀
クリエイティブな活動で人をつなぐ「アートな部活動」
若狭公民館の「アートな部活動」は、2020年夏にスタートした公民館主催の社会教育プログラム。アートによる地域コミュニティの再構築を目指した活動です。
人との接触がよくないこととされ、交流の場が激減していたコロナ禍に、それぞれが自分の好きなことに取り組み、一緒にワクワクすることで新しい関係性を生み出そうと模索が始まりました。現代アーティストの藤浩志(ふじ・ひろし)さんの「地域の部活動」という考え方を参考にしています。
スタートは「ダンボール部」「ポストポスト部」「ユーチュー部」の3つ。顧問は県内外のプロのアーティストです。子どもから大人まで幅広い世代の参加者が集まりました。
「ユーチュー部」の顧問は美術家で映画監督の藤井光(ふじい・ひかる)さん。在留外国人を含む地域の人たちが一緒に映像制作を学びながら、生活目線で撮影した街をYouTubeで発信しています。
若狭公民館の近隣は日本語学校に通う外国人留学生も多く住んでいて、一緒に活動することでお互いを知り、困ったときには助け合える関係性が生まれています(トップの写真参照)。
「ポストポスト部」の顧問は、インスタレーションやパフォーマンス、演劇などを中心に活動している平良亜弥(たいら・あや)さん。
公民館に設置したオリジナルのポストに投函されたもの(手紙での意見やアイデア、作品など)に対して、どんな変化が生み出せるかを部員で話し合います。
創意工夫を凝らして返事を考え、公民館の掲示板やウェブサイトで公開。高齢者をはじめインターネットでつながることが難しい人とも、アナログでつながることができました。

「ダンボール部」では、ダンボールを使ったステーショナリーブランド「rubodan(ルボダーン)」代表の儀間朝龍(ぎま・ともたつ)さんが顧問となり、地域の商店から廃ダンボールを集め、分解し、ノートやレターセット、ステッカーなどをつくります。
部員は創作活動や販売を通してサスティナブルな地域社会のあり方について考えています。

また、2021年には、美術批評家の土屋誠一さんが顧問となり、「アート同好会」も立ち上がりました。
学校の美術や図工は苦手でも、アートに興味があれば大丈夫。小学校5年生以上を対象に、ポップカルチャーから現代アートの世界的な動向まで幅広くアートを読み解いています。