発達が気になる子どもの「就学相談」ガイド 「支援級と通常級」判断に悩んだら よくある疑問を専門家が解説

ケース①最初は子どもの苦手さに直面して落ち込んだけれど……

(写真:アフロ)
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あるお母さんは、就学相談で自身が気づいていなかった我が子の苦手さに直面し、落ち込んでしまいました。

しかし担当者と話し合いを重ねる中で、「よりよい学びの場を考える」という視点に切り替わり、最終的に納得のいく選択ができたといいます。

「就学相談に複数回訪れる方は、実は珍しくありません。お子さんの様子を捉えたうえで、納得がいくまで話し合い、考えてほしいですね」(小関先生)

ケース②祖父母との意見のズレ……どうやって説得?

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「孫を支援級に行かせたくない」。頑なに主張する同居の祖父母を、就学相談を経て説得したケースもあります。

就学相談に参加していたのはお母さん。帰宅後、お父さんに話し合いの内容を伝えました。

するとお父さんが「通常級でついていけなくなるより、支援級で適切な教育を受けて、できることを増やしたほうがいい」と、祖父母を説得してくれたのだといいます。

家族全体が納得に向かい、万全の状態で小学校入学を迎えることができました。

ケース③どうしても通常級に行かせたい……保護者の決断は

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子どもの実態から特別支援学校や支援級を勧められても、保護者が通常級での学びを強く希望する場合もあります。

「あるケースでは、就学相談で通常級、支援級それぞれのメリット・デメリットを伝え、一緒に考えた結果、最終的に保護者が選んだのは通常級でした」と小関先生。

就学相談では、子どもの一番の理解者である保護者の意向も大切にしているのです。

ケース④子どもがベストな支援を受けられるのは?

通常級で入学したものの、入学後に子どもの困り感が大きくなり、支援級へ転籍するケースもあります。

一方、支援級から通常級へ転籍する場合もあります。

知的障害がなく、課題がコミュニケーションや行動面に限られている子どもの場合、支援級で細やかな指導を受けることで成長し、困り感の軽減につながることもあります。

結果として、中学校進学などの節目で通常級に移る場合もあるのです。

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このように、子どもの成長スピードや環境により、転籍もひとつの選択肢になります。

ただし、慎重な検討と相談が不可欠なのは言うまでもありません。

「支援級では、『個別の支援計画』に基づいてその子に合った教育が行われますが、通常級では『学習指導要領(※)』に合わせた教育がベース。それに、支援級と通常級では環境が異なるため、学習の集中度合いなどが変わってくる場合もあります」と小関先生。

(※学習指導要領:文部科学省が定めている教育課程(カリキュラム)の基準)

「また、学校にきちんと希望を伝えることで、より良い支援につながるケースもあります」(小関先生)

ある保護者は、就学相談を経て支援級を選択した際、入学前に学校とやり取りをする機会があり、控えめにではありますが、支援してほしいことを伝えていました。

そして迎えた入学式当日。希望していた支援内容がしっかりと反映され、座席の位置やその周辺の環境が、想像以上にきめ細かく配慮されていたことに、「これほどまで!」と感激したのだそうです。

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