
発達が気になる子どもの「就学相談」ガイド 「支援級と通常級」判断に悩んだら よくある疑問を専門家が解説
2025.05.26
就学相談に行くべき? 「3つのポイント」を確認
子どもの気になる行動の要因はさまざま。小関先生の編著『園生活での子どものストレス対処法 子どもと一緒に取り組む』では、子どものストレスサインや困りごとの解決方法が事例と共に紹介されています。
「家ではスムーズに過ごせているのに、集団生活になるとルールが守れない」など、家庭と園での姿が異なる場合もあります。
「判断が難しいときは、保育園や幼稚園の先生に子どもの様子を聞いてみましょう」と小関先生。運動会やお遊戯会、参観日など集団活動への参加の仕方もヒントになるといいます。
「子どもの様子が気になる。就学相談を受けてみようかな」そう思ったなら、以下の項目をチェックしてみましょう。
【1】基本的な生活スキル
着替え、食事、トイレを改めてチェックしてみましょう。
大人の手を借りずに一人でできるでしょうか。周囲の友達と大きくペースが違っていませんか。
【2】言語面での発達
「食器をキッチンに持っていって」「脱いだ洋服をたたんで」など、簡単な指示を聞いて行動にうつせているでしょうか。
また、日常的な会話を理解したり、自分の意思を言葉で伝えたりできていますか。困ったとき、大人へ「手伝って」と言えることも大事です。
【3】行動面での発達
普段の生活の様子を振り返ってみましょう。
「朝の支度や寝る前の準備など、ルーティンとなっているはずの行動の手順が覚えられない」「10分以上座っていられない」などの、気になる点はないでしょうか。
また、「ちょっとしたことでカッとなり、衝動的に手が出てしまう」「いつもと違う状況や環境に置かれたり、急なスケジュールの変更等があったりすると落ち着かなくなる」などがある場合、就学相談で相談してみると良いでしょう。
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こうした視点をもとに、「就学相談」では具体的に何が話し合われるのでしょうか?
「就学相談」について、小関俊祐先生(桜美林大学リベラルアーツ学群准教授)にお話を伺う連載は前後編。
次回の後編では、就学相談に臨む段取りを詳しく説明します。
●小関俊祐(こせき・しゅんすけ)
公認心理師/臨床心理士/専門行動療法士/指導健康心理士
認知行動療法スーパーバイザー、日本ストレスマネジメント学会認定ストレスマネジメント®実践士。
日本認知・行動療法学会理事および企画委員長、一般社団法人公認心理師の会理事および教育・特別支援部会長、日本ストレスマネジメント学会常任理事および研究委員長、アース・キッズ株式会社/スタジオそら/発達障害療育研究所の顧問等を務める。
近著に「園生活での子どものストレス対処法 子どもと一緒に取り組む」(中央法規)、「事例で学ぶ教育・特別支援のエビデンスベイスト・プラクティス」(金剛出版)など。
(取材・文/中村藍)
【参考】
文部科学省「通級による指導の概要について」
文部科学省「共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育の推進(報告) 概要」
スタジオそら
小関俊祐先生の本

子どもの特性に寄り添う児童文学
発達や特性は人によってそれぞれ違い、1人として同じ子どもはいません。多感な時期の子どもに寄り添う、児童文学作品を紹介します。

みんな、「困った子」なんかじゃない。「困っている子ども」なんだ。それぞれの生きづらさを抱える子どもたちが、自らの個性とともに生きる楽しさに気づいていく物語。

長年、特別支援学校で教師をつとめる著者が描く、優しい物語。重度の知的障がいのある小五の女の子・すずと、お兄ちゃん、同級生、先生、保護者たちなど周りの人をめぐるストーリー。第60回野間児童文芸賞受賞作品。

色覚障がいが発覚し苦しむ信太朗。眼科の先生は個性のひとつと言ってくれるけれど、まわりがそうはとらえてくれない。しかし、教師との関係の変化で、信太朗は自分の気持ちがすこしずつ変わっていくことに気が付いて…。
第71回青少年読書感想文全国コンクール課題図書(小学校高学年の部)選定作品。
特別支援学校の入試問題に採用された本

琴の浦高等特別支援学校(鳥取県)、大垣特別支援学校(岐阜県)の入試問題(2025年度)に採用されました

琴の浦高等特別支援学校(鳥取県)の入試問題(2025年度)に採用されました

中村 藍
1978年宮城県出身。小学校(通常の学級/特別支援学級)・特別支援学校(小学部・高等部)の教員として20年以上にわたり教育経験を積む。退職後、教育関連のWebメディアや雑誌への寄稿・監修、書籍執筆を行う。発達支援や教育DX、不登校、受験などの分野において、教育現場や官公庁、当事者への取材多数。 【URL】 ポートフォリオサイト https://ainakamura.edire.co/ ブログ「てとて~みんなの発達支援相談室」 https://tetote-tama.com 著書『発達障害&グレーゾーンの子 小学校生活の困りごと解決Book 学校の先生が教える!発達が気になる子のための困りごとヒント1』 https://amzn.to/3GVGKii
1978年宮城県出身。小学校(通常の学級/特別支援学級)・特別支援学校(小学部・高等部)の教員として20年以上にわたり教育経験を積む。退職後、教育関連のWebメディアや雑誌への寄稿・監修、書籍執筆を行う。発達支援や教育DX、不登校、受験などの分野において、教育現場や官公庁、当事者への取材多数。 【URL】 ポートフォリオサイト https://ainakamura.edire.co/ ブログ「てとて~みんなの発達支援相談室」 https://tetote-tama.com 著書『発達障害&グレーゾーンの子 小学校生活の困りごと解決Book 学校の先生が教える!発達が気になる子のための困りごとヒント1』 https://amzn.to/3GVGKii
小関 俊祐
公認心理師 / 臨床心理士 / 専門行動療法士 / 指導健康心理士 認知行動療法スーパーバイザー、日本ストレスマネジメント学会認定ストレスマネジメント(R)実践士。 日本認知・行動療法学会理事および企画委員長、一般社団法人公認心理師の会理事および教育・特別支援部会長、日本ストレスマネジメント学会常任理事および研究委員長、アース・キッズ株式会社/スタジオそら/発達障害療育研究所の顧問等を務める。 近著に「子どもと一緒に取り組む園生活での子どものストレス対処法」(中央法規)、「事例で学ぶ教育・特別支援のエビデンスベイスト・プラクティス」(金剛出版)など。
公認心理師 / 臨床心理士 / 専門行動療法士 / 指導健康心理士 認知行動療法スーパーバイザー、日本ストレスマネジメント学会認定ストレスマネジメント(R)実践士。 日本認知・行動療法学会理事および企画委員長、一般社団法人公認心理師の会理事および教育・特別支援部会長、日本ストレスマネジメント学会常任理事および研究委員長、アース・キッズ株式会社/スタジオそら/発達障害療育研究所の顧問等を務める。 近著に「子どもと一緒に取り組む園生活での子どものストレス対処法」(中央法規)、「事例で学ぶ教育・特別支援のエビデンスベイスト・プラクティス」(金剛出版)など。