「トモエ学園とママの子育て」にはモンテッソーリ教育との共通点〔専門家が解説〕

映画『マリア・モンテッソーリ 愛と創造のメソッド』がもっとおもしろくなる!②

ライター:高木 香織

「過去の作品で共同脚本を担当していたときに、モンテッソーリ教育について詳しく調べる機会がありました。その後、彼女に関する本を読み、彼女が自分の教育方針を貫くために女性の尊厳や女性の解放を訴え男性優位社会と闘っていた、その生き様を描きたいと思ったのです」

現代では神格化されているマリア・モンテッソーリを、ひとりの女性として描くために作り出されたのが、彼女とは違う方法で自立した女性リリ・ダレンジでした。

リリの職業は、主に王侯貴族を相手にするクルチザンヌ(高級娼婦)。高収入を得て、パリで自立した華やかな生活を送る彼女でしたが、母親が亡くなったことで困った状況に陥ります。

実はリリには、母親に預けっぱなしにしていた障がいを持つ子ども・ティナがいました。母親の死でしかたなくティナを引き取りましたが、子どもの存在が周囲に知れ渡って仕事を失うことを恐れたリリは、愛人を頼ってパリからローマへと移り、そこでマリアと出会ったのでした。

こうして、立場も生き方もまったく違う2人の女性が、社会で自分たちの居場所を勝ち取り、歴史に名を残すため互いに助け合うという物語ができたと監督はいいます。

映画『マリア・モンテッソーリ 愛と創造のメソッド』より。 © Geko Films – Tempesta‐2023
リリはティナを「存在を隠すべき子ども」だと思っていた。しかしマリアの元で成長する姿を見て、少しずつ考えを変えていく。映画『マリア・モンテッソーリ 愛と創造のメソッド』より。 © Geko Films – Tempesta‐2023
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リリの子育ての悩みは、現代に通じるものがたくさんあります。劇中では、子どもに対して対照的な接し方をするマリアとリリの姿を通して、子どもにとって最適な環境とはなにかを考えさせられるのも興味深いところです。

「この映画では、子どもは母親1人でを育てるものではなく、たくさんの人といっしょに育てるものだということを示したかったのです。

リリも施設に子どもを預けようとしますし、マリアも里親に息子を預けて、仕事に集中できる生活を送っています。 要は子育ては母親1人が全責任を負うっていうものではなく、あらゆる人が親である性質を持って協力して育てるんだということを示したかったのです。それが私が思う、理想の社会です」

映画『マリア・モンテッソーリ 愛と創造のメソッド』チラシ © Geko Films – Tempesta‐2023
映画『マリア・モンテッソーリ 愛と創造のメソッド』チラシ © Geko Films – Tempesta‐2023

『マリア・モンテッソーリ 愛と創造のメソッド』
公開:2025年3月28日(金)より
劇場:シネスイッチ銀座、シネ・リーブル池袋、UPRINK吉祥寺 他 全国順次ロードショー

ストーリー
時は1900年。マリア・モンテッソーリ(ジャスミン・トリンカ)は、フランスの有名なクルチザンヌ(高級娼婦)である、リリ・ダレンジ(レイラ・ベクティ)と出会う。リリには、学習障がいを持つ娘ティナがおり、その存在が明るみに出そうになり、自分の名声を守るためにパリから逃亡してきたのだ。
この時期、マリアはすでに画期的な新しい教育法の基礎を築いていた。特別なケアが必要な娘の養育に手を持て余していたリリだったが、マリアとの出会いにより、娘がただ障がいのある女の子ではなく、強い意志と才能を持った人として、ありのままの娘を知るようになっていく。
そしてマリアに共鳴したリリは、男性中心社会の中でもがくマリアの野望の実現に手を貸す。


監督・脚本:レア・トドロフ
脚本:カトリーヌ・バイエ
出演:ジャスミン・トリンカ、レイラ・ベクティ、ラファエル・ソンヌヴィル=キャビー、ラファエレ・エスポジト、ピエトロ・ラグーザ、アガト・ボニゼール、セバスティアン・プドゥル、ラウラ・ボレッリ、ナンシー・ヒューストン
2023年/フランス・イタリア/イタリア語・フランス語/99分/1:1.85/5.1ch/字幕:杉本あり/
原題:Maria Montessori (La Nouvelle Femme)/ © Geko  Films – Tempesta - 2023
配給:オンリー・ハーツ
協力:国際モンテッソーリ協会(AMI)
後援:在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ/イタリア大使館/イタリア文化会館

© Geko Films – Tempesta - 2023

映画を観ると『窓ぎわのトットちゃん』の読み方が変わる!? この機会に再読も

書影『窓ぎわのトットちゃん』(文:黒柳徹子 絵:いわさきちひろ)
『窓ぎわのトットちゃん』(文:黒柳徹子 絵:いわさきちひろ)
黒柳徹子さんの小学校時代を描いた自伝的小説。いまでも発売当時のままの形で売られている、戦後最大のベストセラー。

もっと「モンテッソーリ教育」を知りたいあなたへ

書影『モンテッソーリで解決! 子育ての悩みに今すぐ役立つQ&A68』(著:田中昌子)
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書影『親子で楽しんで、驚くほど身につく! こどもせいかつ百科』(監修:田中昌子)
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たなか まさこ

田中 昌子

Masako Tanaka
モンテッソーリで子育て支援 エンジェルズハウス研究所所長

モンテッソーリで子育て支援 エンジェルズハウス研究所所長。国際モンテッソーリ協会(AMI)公認モンテッソーリ教師。上智大学文学部卒。日本航空株式会社勤務後、モンテッソーリ教師ディプロマ取得。2003年よりIT勉強会「てんしのおうち」主宰。著書に『モンテッソーリで解決!子育ての悩みに今すぐ役立つQ&A68』(講談社)、モンテッソーリ教育の第一人者、相良敦子氏との共著に『お母さんの工夫 モンテッソーリ教育を手がかりとして』(文藝春秋)など多数。監修に『親子で楽しんで、驚くほど身につく!こどもせいかつ百科』(講談社)ほか。

モンテッソーリで子育て支援 エンジェルズハウス研究所所長。国際モンテッソーリ協会(AMI)公認モンテッソーリ教師。上智大学文学部卒。日本航空株式会社勤務後、モンテッソーリ教師ディプロマ取得。2003年よりIT勉強会「てんしのおうち」主宰。著書に『モンテッソーリで解決!子育ての悩みに今すぐ役立つQ&A68』(講談社)、モンテッソーリ教育の第一人者、相良敦子氏との共著に『お母さんの工夫 モンテッソーリ教育を手がかりとして』(文藝春秋)など多数。監修に『親子で楽しんで、驚くほど身につく!こどもせいかつ百科』(講談社)ほか。

たかぎ かおり

高木 香織

Kaori Takagi
編集者・文筆業

出版社勤務を経て編集・文筆業。2人の娘を持つ。子育て・児童書・健康・医療の本を多く手掛ける。編集・編集協力に『美智子さま マナーとお言葉の流儀』『子どもの「学習脳」を育てる法則』(ともにこう書房)、『部活やめてもいいですか。』『頭のよい子の家にある「もの」』『モンテッソーリで解決! 子育ての悩みに今すぐ役立つQ&A68』『かみさまのおはなし』『エトワール! バレエ事典』(すべて講談社)など多数。著書に『後期高齢者医療がよくわかる』(リヨン社)、『ママが守る! 家庭の新型インフルエンザ対策』(講談社)がある。

出版社勤務を経て編集・文筆業。2人の娘を持つ。子育て・児童書・健康・医療の本を多く手掛ける。編集・編集協力に『美智子さま マナーとお言葉の流儀』『子どもの「学習脳」を育てる法則』(ともにこう書房)、『部活やめてもいいですか。』『頭のよい子の家にある「もの」』『モンテッソーリで解決! 子育ての悩みに今すぐ役立つQ&A68』『かみさまのおはなし』『エトワール! バレエ事典』(すべて講談社)など多数。著書に『後期高齢者医療がよくわかる』(リヨン社)、『ママが守る! 家庭の新型インフルエンザ対策』(講談社)がある。