【中学受験】子どもの学力・体力がアップ! 受験食事マイスターが教える「ベストな食事」「すすめない食材」

【子どもの学力を伸ばしたければ子どもに料理をさせなさい #2】子どものイライラは食事が原因!?

朝ごはんを毎日食べる子どもは、食べない子よりも学力と体力が優れているという事実

朝ごはんを毎日食べる習慣のある子どもは、食べる習慣のない子どもよりも学力が高く、体力のあることがわかっています(文部科学省「平成29年度全国学力・学習状況調査」/スポーツ庁「平成28年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査」)。

脳は寝ている間もエネルギーを消費していて、起床時はエネルギー不足です。朝ごはんを食べなければ脳は低血糖の状態で、集中力はなくなり思考力も低下。イライラしやすく、やる気も出ません。脳を働かすエネルギー源になるブドウ糖は長く貯めておくことができないため、定期的な補給が必要です。

三食をバランスよくとることで、規則正しい生活のサイクルができます。その要が、一日のスタートを左右する朝ごはんなのです。

「小さなころから食育がされている子どもは、高学年になると自分で食事をコントロールして体調管理をするようになります。

『風邪気味だから味噌汁を一杯飲んでおけば、体が温まってこれ以上ひどくならないな』とか『お腹の調子が悪いからお味噌汁を作ってほしい』など、子どものほうから言ってきます」(表さん)

体調の変化を自分で感じ取り、先を予測して対策するのは、大人でもなかなかできることではありません。

もし、親御さんが食事制限をするダイエットで体重管理をしていたら、子どもはそれが当たり前のこととしてとらえます。まねをすれば成長期に必要な栄養が摂れず、子どもの健康を脅かします。

その点、食事がしっかりしていれば、太ったり痩せすぎたりすることもないでしょう。子どもが体型を気にし始めたら、バランスよく食べたほうが健康できれいになれると親は教えたいものです。

栄養バランスの良い食事とは

食事をバランス良く食べるためには、次の5色の食材を使ったメニューを取り入れるのが目安です。

『中学受験は食事が9割』(光文社)より引用

東京の大手進学塾で食育を行っていた経験を持つ表さんのところには、医療従事者や栄養士をしている親御さんも相談に来ます。

「実は、体や食を扱う専門職の人は栄養についての理論を知っていても、実際に再現できているかといえば自信がないことも。忙しくて家庭ではうまく実践できなかったり、子どもが親の思いどおりには食べなかったりして、専門職でない親御さんと同じように悩んでいます。

指導を受けると、どんな組み合わせがいいのか、何をいつ摂るといいのか手軽で実用的な方法がわかるため、親子で食に対する意識が変わります。

親がガミガミ言わなくても子どもは変なものを食べなくなるし、つい食べてしまって調子が悪くなっても、食べた自分の責任だと納得するようになります」(表さん)

その一方で、子ども時代に厳格に食を管理されると大きくなってから反動もあると、表さんはある家庭のエピソードを紹介してくれます。

「これは笑い話でもありますが、『今までママの言うとおり、一生分の玄米と味噌汁を食べてきたから、もう私の自由に食べたい』と、医学部に入った娘さんが市販のお惣菜で、お手軽な食事を楽しんでいるという話もあるんですよ」(表さん)

食の管理があまりに厳しすぎてもギスギスしますが、食材選びの重要さを知っていれば、食生活を子どもの自由にさせても羽目を外しすぎず、自分で調整することでしょう。

表さんの家庭でも、食べ物は手作りばかりではありません。

「チョコレートやスナック菓子も食べるし、外食もするし、『おまけ』目当てのハンバーガーもお楽しみの一つとして食べています。

ただ、それらがいつもというわけではありません。自宅ではごはんと味噌汁を基本に、余計なものを排泄できる体作りと味覚の教育をしながら効率よく栄養が摂れるようにしています。平均よりも小さめで生まれた我が家の娘は、幼少期からの食育の積み重ねが功を奏して、小学1年生の現在は高身長で強い体に育ち、新型コロナやインフルエンザとは無縁の生活を送ることができています」(表さん)

食事面からの心身作りは「継続」が要。無理が生じて挫折することのないよう、ストイックになりすぎず、うまくバランスをとることが大切です。


次回は、食卓を通して身につけてほしい食事作法についてお話をうかがいます。

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◆表 洋子(おもて ようこ)
料理家。受験食事マイスター。「賢母の食卓」主宰。

医師である父から食の大切さの教えを受けて育つ。大学卒業後にフランスでの料理研修を経て帰国し、行政や企業で料理講師、食育講座を行う。2012年より名門幼稚園から難関大学まで毎年多数の合格者を送り出している、東京都内の大手進学塾で食育担当として働く。メニュー開発、生徒への料理教室、保護者への食育アドバイスなどを行い、のべ1万人の受験生を食事面からサポートする。その経験をもとに、2019年に受験生の親のための料理教室「賢母の食卓」を開講。現在は講座を行いながら、SNSやメディアを通して心身ともに健康になる食のメソッドを発信している。

著書に『おにぎりと味噌汁だけ ─ほぼ10分で完成! 食べて健康になる朝食献立─』(ワニブックス)、『中学受験は食事が9割 子どもの学力を伸ばしたければ、食事をこう変えなさい』(光文社)がある。

『おにぎりと味噌汁だけ ─ほぼ10分で完成! 食べて健康になる朝食献立─』
ワニブックス

『中学受験は食事が9割 子どもの学力を伸ばしたければ、食事をこう変えなさい』
光文社

取材・文/石牟礼ともよ

『子どもの学力を伸ばしたければ、子どもに料理をさせなさい』の連載は、全3回。
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