【中学受験】子どもの学力・体力がアップ! 受験食事マイスターが教える「ベストな食事」「すすめない食材」
【子どもの学力を伸ばしたければ子どもに料理をさせなさい #2】子どものイライラは食事が原因!?
2024.08.28
お通じに悩む子どもに食べさせたい食事とは
現代は、便秘や軟便で悩む子どもも増えています。
原因の一つは、腸内環境の悪さです。これは、食物繊維の不足や肉食の増加、運動不足、偏食などで、食事のバランスがとれていないために生じます。腸内環境が悪くなるとイライラやかんしゃくを起こしやすく、緊張しやすい、やる気がなくなる……などの精神的な不安定さを招くことにもなるでしょう。
つい医療に頼りがちなこれらの不調は、意外にも食事での改善が可能であり、腸内環境を改善するためにまず控えたいのが、糖質の過剰摂取です。
糖質の摂取で特に注意が必要なのは、精製された白砂糖を使った食品です。もし、朝ごはんに菓子パンなどの白砂糖がたくさん使われた食事をすれば、食後に血糖値が一気に上がり、そのあと一気に下がります。血糖値の乱高下が繰り返されると、イライラ感や眠気、無気力感を引き起こすことになるのです。
次の表は、GI値(グリセミック・インデックス)といって、食品ごとの血糖値の上昇度合いを示したものです。一度に摂る食品の組み合わせも配慮すると、血糖値の乱高下をコントロールすることができます。
血糖値の乱高下を抑える組み合わせの一例は、GI値の高い白米にGI値の低いきのこ類を合わせるメニューです。さらに味噌汁で野菜をたっぷり摂れば、栄養バランスも良くなります。
また、GI値の低い食品に入っている牛乳・ヨーグルトなどに含まれるカルシウムは、骨や歯を形成するだけでなく、神経の高ぶりを鎮めて精神安定にも効果が期待できます。
表さんの指導で偏食と便秘が同時に改善された例には、白米をGI値の低い玄米に変えたケースがあります。玄米のなかでも無農薬で育てた「ミルキークイーン」は、もち米のようにモチモチっとしていて柔らかく子どもでも食べやすい品種です。
「私がおいしく炊くコツとともに指導すると、そのご家庭では子どもがとても気に入ってくれて、『毎日、出してほしい』というようになったそうですよ。だしや味噌についても無農薬・食品添加物不使用のものに変えると、本来の味覚を取り戻して食べられるものが少しずつ増え、偏食と便秘がなくなったとも親御さんが話してくださいました」(表さん)
食材選びはもちろんのこと、食事の摂り方がいかに子どもに影響があるか、おわかりいただけたのではないでしょうか。
パフォーマンスを上げる味噌の選び方
シリーズ第1回(#1を読む)で紹介したように、子どもの体調を整えるために朝ごはんに取り入れてほしいのが「味噌汁」です。善玉菌を増やし、お通じを良くする味噌選びには、ポイントが二つあると表さんはいいます。
「まず一つ目は、パッケージに『生』と書かれているものを選ぶことです。麴菌による発酵を止めていない生の味噌なら、買ってきたあとも発酵し続けるため栄養価も高まり、色や香り、風味も深まります。
二つ目のポイントは、原材料に『酒精』と書かれていないものを選ぶことです。米味噌の場合は大豆と塩と米麴で作られ、時間の経過とともに発酵が進みます。
また、酒精はアルコールです。もし、味噌に使われていれば、子どもはほのかに香るアルコール臭や刺激を敏感にとらえ、飲むのを嫌がることがあるでしょう。酒精は味噌に入れることで品質を均一に保ってくれる面があるものの、添加物であり、同時に発酵を止めてしまう作用を併せ持っています。
どちらのポイントも、発酵を止めていないことが『ミソ』です。味噌は地域や家庭により好まれる味が違うので、ぜひご家庭に合う味噌を探してみてください」(表さん)
表さんの家庭では子どもへの食育を兼ねて、毎年、湿度の少ない大寒(1月20日ごろ)の時期に大豆に塩と米麴を仕込んで発酵させ、自家製味噌を作っています。
味噌作りについては、東京男子御三家の麻布中学の入試でも出題されました。化学反応が起こって発酵・熟成していくので、一緒にやると子どもも興味を持ってくれるのではないでしょうか。