子どもが自分で調べ、学ぶために大切な「楽しさ」

【スペシャル対談】ゆる言語学ラジオ✕川上徹也(後編)

水野さん:
たしかに、大人になるとなにか勉強したりするときに「これってなんの役に立つかなあ」みたいなことを考えちゃいますよね。でも、あんまりそういうことを考えない子どものときに、なにか熱中できることについて調べてまとめてみるっていう経験は大事なのかも。

堀元さん:
いや、じつは、いまって、「これ、将来の役に立つかなあ」って考えている子どもが多いですよ。僕、中学受験の指導をするバイトをしていて、小学生の子どもたちと話す機会がよくあったんですけど、10歳くらいの子どもが勉強したりするモチベーションを探ると、「将来の役に立ちそうか」っていうのを考えているんですよ。

川上さん:
え、ほんとうですか? それはなんでだろう?

堀元さん:
たぶん、社会というか、周りの大人がそういう行動原理で動いている人たちばかりだからじゃないですかね? 「勉強っていうのは、いい大学に入るとか、給料のいい仕事につくためとか、なにか目的を達成するためにやるものだ」っていう認識が刷り込まれている感じがします。そこを打開したいなあっていう気持ちはありますね。

撮影:講談社児童図書出版部

水野さん:
ええー、そうなんだ。自分はぜんぜん、そんなこと考えてなかったなあ。

堀元さん:
ああうん、水野さんはそうでしょう。でも、そういうことが許される環境があるっていうのが大事だと思う。たとえば、水野さんのご両親とかが「太貴、そんな何の役にも立たない難読漢字ばかりやってないで、学校の勉強をしなさい」みたいなことを言っていたら、たぶんいまの水野さんはないと思うんだよね。

水野さん:
たしかに、難読漢字を読めても成績は伸びないだろうからね。

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