子どものピアノ 「3歳から習うメリット」や教室選び・家族のサポート方法を解説

ピアノレッスン:個人とグループのメリット/デメリットなどを詳しく

写真:アフロ

「子どもにピアノを習わせたい」。けれども何歳から弾けるのか、平均して何歳から習い始めるのだろうと悩む親御さんも多いのではないでしょうか。

ピアノは、幼少期から習うことで脳の発達に良い影響を与えるなど、得られるメリットがあるといいます。この記事では、3歳のピアノレッスンや習うメリット、教室を選ぶポイント、ご家庭でのサポートについて解説します。

子どもの成長や個性はそれぞれです。「正解」はお子さんの数だけあります。パパママの子育てのヒントとしてお役立てください。

3歳のピアノレッスンは何をする?

ピアノレッスンには、個人とグループで行われるタイプがあります。

▲ピアノレッスン:個人とグループのメリット/デメリット

全国展開型の大手音楽教室では、教室により異なりますが、4歳~5歳を対象とした幼児科(グループレッスン)がピアノレッスンの始まりです。そのため、3歳前後から習わせたい場合は、個人のピアノ教室をおすすめします。

3歳のピアノレッスンは何をするの?

ピアノを弾くというよりは、ピアノに触れて楽しさを知ることから始めるのが一般的です。また、レッスン開始当初は親御さんの付き添いが必要になります。

次に、ピアノレッスンの一例を挙げます。

●先生と歌う:先生の弾くピアノに合わせて、一緒に歌う
 ・楽器を鳴らしながら歌う

●リズム練習:四分音符や四分休符の数を両手や楽器で打つ
 ・単語や擬音を使って、音符のイメージをつかむ

●ピアノを弾く:グーやパー、指を使って、音を出す

●片手での演奏:音の名前や音符の長さを学びながら簡単なメロディーへ
 ・右手で親指から順に、ドレミファソ
 ・左手で親指から順に、ドシラソ(小指を使うかは先生の方針により異なります)

●両手での演奏:ドからソまでで弾ける曲に単音または2音の和音で演奏

3歳は手指の力が弱く、特に小指は形が崩れがちなので、様子を見て使うようにします。また、鍵盤を5本の指を使って弾けるようになると、進み具合が速くなり、童謡といった聞き馴染みのある曲を両手で演奏するのが基本的な流れです。

3歳からピアノを始めるメリットとは

3歳からピアノを始めると、「ピアノが弾けるようになる」以外にも、いくつか嬉しい効果があります。早い段階で身につけると、ピアノだけではなく勉強にも役立つでしょう。

3歳からピアノを始める主なメリットは、以下の3つです。
 1.脳の発達に良い影響を与える
 2.音感が身につく
 3.集中力が高まる

1.脳の発達に良い影響を与える

脳の発達に良い影響を与える!と聞くと、これからピアノを習わせたいと考えている親御さんにすると、気になるポイントでしょう。

脳科学者の澤口俊之先生によると、ピアノを習う子どもには、以下のような効果が認められています。
 ●ピアノを習う子どもは、HQ(人間性知能)が突出して高い
 ●問題解決能力(HQの主要要素)を向上させる
 ●HQが高まることで、IQ(一般知能)も向上させる


HQ(Humanity Quotient)とは、脳の前頭連合野が担う知能で、問題解決能力、社会性、創造性などの「人間らしさ」を指します。「社会を生き抜く力」とも表現され、さまざまな幼児教育で注目されている知能です。

ピアノのどのような点が、脳に良いのか?

ピアノを弾く際には、両手、足(ペダリング)で異なる動きをします。さらに、目で楽譜を追い、耳で音を聴くことを同時に行うのが、特徴です。

中でも、澤口先生が特に良いとする点を2つ挙げています。
 1.ピアノは両手で微妙に違う指の動きができる 
 2.譜面を先読みして覚えて、後追いしながら弾く

HQが育まれることは、ピアノを習う大きなメリットといえるでしょう。

【参照元】今こそ音楽を!第3章脳科学観点から~澤口俊之先生インタビューから|一般社団法人 全日本ピアノ指導者協会(ピティナ)

2.音感が身につく

ピアノを習うと、音感が身につくのもメリットです。レッスンでは、音をキャッチするための耳づくりとして、歌をうたい、先生の弾く音を聴き取ったりしています。

音感とは、どのようなものでしょうか。音感とは、文字どおり「音に対する感覚」のことです。
 ●音の高さ
 ●音の長さ
 ●音の強さ


歌の音程をピッタリと合わせたり、初めて聴いた曲を覚えたりができるようになります。耳コピでの演奏も夢ではありません。

【音感の種類】相対音感と絶対音感

音感は、音の違いをどのように認識するかで2種類に分けられます。

▲相対音感と絶対音感

相対音感は、ピアノレッスンを続けているうちに、ほとんどの子どもが身につけられます。

絶対音感は、耳の発達がピークを迎える3~5歳までにトレーニングを受ける必要があり、幼児期にピアノを習うと身につく可能性は高いです。

絶対音感がないとピアノは上達しない?

ピアノの上達には、音階を正しく理解する力が必要になります。ただ、絶対音感がなければ上達しないのかというとそうではありません。絶対音感がないまま音楽家になった人は、精度の高い相対音感の持ち主です。

【参照元】プログラムについて|一般社団法人 日本こども音楽教育協会

3.集中力が高まる

ピアノは、集中力を高める効果があります。発表会やコンクールといった大きな舞台では、真剣な様子からも集中度の高さが分かるでしょう。

レッスンでは、考えながら楽譜を読み、両指を別々に動かすため、はじめのうちは苦戦しても、少しずつ集中して取り組めるようになります。

指先をコントロールする練習として、音を鳴らさないように鍵盤をグッと押さえる場合にも、指先に意識を集め、呼吸も止めるほどです。また、3歳であれば、ピアノの椅子に座っているだけでも集中力が鍛えられるでしょう。

3歳の子どもに合ったピアノ教室を選ぶポイント

写真:アフロ

3歳の子どもにピアノを習わせる際には、長く続けられる教室を選びたいものです。初めが肝心なので、教室選びのポイントをしっかり理解しておきましょう。

3歳の子どもに合ったピアノ教室の選ぶポイントは、以下のとおりです。
 1.無理なく通える距離にあるか
 2.月謝の他に必要な費用がいくらかかるか
 3.教室や先生の指導方針を確認する
 4.発表会が開催されるか
 5.体験レッスンで先生との相性を見極める

1.無理なく通える距離にあるか

ピアノ教室へは自宅や園から向かうので、それぞれのルートを検討し、通いやすさで選ぶようにします。

以下の2つをチェックして判断しましょう。

 ●送迎が負担にならないか
 ●小学生以上など大きくなったら1人で通えるか


毎週のレッスンに、教室まで時間がかかりすぎると親子ともにストレスになるかもしれません。そのため、距離や所要時間から無理なく通える教室を選ぶ視点が重要です。

2.月謝の他に必要な費用がいくらかかるか

月謝は、ピアノ教室ごとに年齢やレベル、レッスン回数によって料金設定が異なります。

ピアノ教室では、月謝の他に必要になる諸費用があります。
 ●入会金
 ●教材費
 ●施設管理費(光熱費)
 ●発表会やコンクールの参加費
 ●グレード受験費用(ピアノの検定試験)


家計に優しい費用が、長く通い続ける条件の1つです。予算を立てて検討してみてください。

3.教室や先生の指導方針を確認する

教室や先生の指導方針を確認し、ピアノを習う目的と照らし合わせましょう。

 ●楽しく続けてほしい
 ●ピアノが向いているのか試してみたい
 ●音大や留学も視野に入れたレッスンを受けさせたい
 ●特技として身につけさせたい


先生がレッスンをする上で重視している考えに共感でき、お子さんがどんな姿に成長していくのか、将来が描ける教室が良いです。

入会後に「こんなはずではなかった」と行き違いがないように、指導方針をしっかり確認するようにしましょう。

4.発表会が開催されるか

大手の音楽教室では発表会が開催されていますが、個人のピアノ教室では、発表会がないケースがあります。また、開催されている場合でも1年に1回、多い場合は2回、もしくは間隔をあけて2年に1回など、それぞれです。

日頃の成果を発表する機会なので、ステージで演奏する姿を観るのは嬉しいものです。子どもも目標をもってレッスンや自宅での練習に励んで取り組めます。発表会開催の有無と時期を確認しましょう。

5.体験レッスンで先生との相性を見極める

ピアノ教室は、レッスンを始める前に、体験レッスンを行います。コミュニケーションがスムーズにとれるか、どの程度の時間ならピアノの前に座っていられるかなど、レッスンの進め方を検討する上で、先生にとっても重要な時間です。

子どもに寄り添って、様子を見ながらレッスンをしてくれる先生かどうかを見極めましょう。また、先生と子どもの相性だけでなく、親御さんとも良好な関係を築けるかも教室選びには重要なポイントです。

3歳からピアノを始めるには家庭でのサポートが大切

ピアノの上達には、自宅練習が必須です。とはいえ3歳であれば、自主的に1人で練習するのは難しいため、家庭でのサポートが大切です。実際にどのようにすると良いのか分からない親御さんも多いでしょう。

ここでは、家庭でのサポートについて解説します。

練習できる環境を整える

楽しく、なおかつ集中して練習できる環境を整えましょう。静かであることはもちろん、スペースを確保し、教材を所定の場所に置いておくといった配慮が必要です。

また、ピアノの購入を考える場合、3歳の子どもは手指の力が弱いため、アコースティックピアノより電子ピアノのほうが負担が少なくなります。

初めから完璧にしなくても良いので、練習しやすい環境をできる限り整えましょう。

子どもと一緒に練習する

子どもと一緒に楽しむというスタンスで、練習するようにしましょう。習い始めてすぐの教材は、ピアノ経験のない親御さんでも難しくはありません。率先して弾けば、興味を示して弾こうとするのが3歳の子どもの特徴でもあります。

また、教材から離れて、好きな歌をうたったり、踊ったりするのも音感を育てることにつながります。ぜひ、楽しい時間を子どもと一緒に過ごしましょう。

練習を促して見守る

ピアノの上達は、10分程度であっても毎日の積み重ねが近道です。練習を促して、1人で弾きたそうにしていれば、子どものやる気を応援しましょう。

その際には、頑張った様子を大きく取り上げて、「ここまでできたね」「上手に弾けたね」と褒めてあげると子どもも喜びます。

3歳の子どもは、褒められたい気持ちに加えて、弾いている姿を見ていてほしいと感じています。練習の間は、近くで笑顔で見守っているだけでも頑張れるでしょう。

最後に

この記事では、3歳のピアノレッスン内容のほか、習うメリットや教室を選ぶポイント、ご家庭でのサポートについて解説しました。

3歳のピアノレッスンは、本格的なレッスンの導入として行われ、音楽の楽しさや演奏する喜びが感じられるように進められます。楽しいレッスンだからこそ、脳に良い影響を与え、音感や集中力が育まれるのです。

そのためには、子どもが長く通い続けられる教室選びが重要です。同時に家庭でのサポートも3歳の子どもの大きな支えとなるでしょう。