
「保育園のお昼寝で夜寝ない」はいつまで続く? 午睡見直しと園への伝え方[医師監修]
#1 医師・小児スリープコンサルタント もりたま先生に聞く「園児の睡眠」~お昼寝の悩み~ (3/3) 1ページ目に戻る
2025.12.23
医師・小児スリープコンサルタント:森田 麻里子
お昼寝の必要・不要はどう見極める?
──子どもは何歳くらいまでお昼寝が必要なのでしょうか。
森田先生:一般的には、4歳ごろから自然とお昼寝が不要になるケースが多いと考えられています。
アメリカで行われた研究では、2歳ごろまではほとんどの子どもがお昼寝をしていたものの、3歳ごろからお昼寝の頻度が減り、4歳では約74%の子はほとんどお昼寝をせず過ごすようになったデータがあります。
また、お昼寝時間も短くなり、未就学の3~6歳児では平均1.6時間程度です。さらに、年中~年長にあたる、5歳児の約85%、6歳児の約98%はお昼寝をしていませんでした。
──お昼寝を続けるべきか、やめるべきか、判断の目安はありますか?
森田先生:お昼寝が必要かどうかを見極めるサインとして、大きく2つのポイントがあります。
①お昼寝の寝つきが悪くなる(園でなかなか寝ない)
②夜の寝つきが悪くなる(夜9時ごろでも眠くならない)
このどちらかが見られる場合、その子にとって今のお昼寝時間は「長すぎる」あるいは「不要になっている」可能性が高いと思います。
最初はお昼寝を短く切り上げて、それでも改善しないようであれば1週間のうち何日かだけお昼寝をしない日を設けて、子どもの様子を見てみるとよいでしょう。一気にやめる必要はありません。無理なく、少しずつ調整していくのがおすすめです。
先生に言いづらい…を解決! 保育園への「お昼寝相談」のポイント
──保育園に「お昼寝をやめて」と言いづらいという声も聞きます。角を立てずに相談するコツはありますか?
森田先生:保育園に相談するときには、いくつか押さえておきたいポイントがあります。
①具体的な状況や困っている点を伝える
まずは、子どもがどのような状況で困っているのかを、具体的な事実として伝えることが大切です。先生に家での状況を理解してもらえるよう、ていねいに説明するとよいでしょう。
〈伝え方例〉
·「夜10時まで寝つけないことがあり、翌朝のぐずりにつながっています」
·「寝かしつけに毎晩2時間以上かかってしまって悩んでいます」
·「朝、なかなか起きられず、不機嫌で朝ごはんを食べられず困っています」
②家庭での工夫もあわせて伝え、お願いする
家庭での工夫や努力も伝えたうえで、具体的にどうしてほしいかを相談するとスムーズです。協力をあおぐかたちで話すこともポイントです。
〈伝え方例〉
·「夜は早めに就寝できるように工夫しているのですが、保育園でも少し早めに起こしていただくことは可能でしょうか?」
·「早寝早起きの習慣をつけられるように、30分ほど早めに起こしていただくことはできますか? 先生たちの可能な範囲で、ご協力をお願いします」
③一緒に取り組む姿勢を伝える
「子どもに合った方法を一緒に考えたい」という協力し合う姿勢を伝えると、保育園と相談がしやすくなります。さらに、先生にアドバイスを求めてみることも、良好な関係を築くポイントです。
〈伝え方例〉
·「最近体力があり余っているようで、夜寝なくて。同じような悩みのお子さんはいますか? 何かいいアドバイスなどありますでしょうか?」
·「家庭で夜早く寝つけるよう工夫をしているのですが、それでもうまくいかなくて。先生はどのような方法がよいと思われますか?」
④保育園で調整してもらったあとは、状況をフィードバックする
お昼寝時間を調整してもらった場合には、その後、「夜の就寝時間がどう変わったか」「朝スムーズに起きられるようになったか」など、子どもの様子を先生に共有しましょう。一緒に状況を確認しながら進めるように意識してみてください。
森田先生:お昼寝は、からだの回復や休息として必要な子どももいます。夕方になると機嫌が悪くなったり、体力がもたなかったりする場合には、まだお昼寝の時間が必要なのかもしれません。
しかし、「夜になかなか寝つけない」「生活リズムが乱れてしまう」といったサインが見られる場合は、すでにお昼寝を見直すタイミングにきている可能性もあります。日々の様子をていねいに観察しながら、その子にとって最適な睡眠環境を整えていってくださいね。
───◆─────◆───
年中~年長になると、お昼寝の必要性や量に悩むご家庭も少なくありませんが、子どもに合った見極め方や、保育園と相談するときのポイントが見えてきました。
夜の睡眠リズムや生活全体の様子を意識しながら、園と連携したり、ご家庭で寝かしつけの工夫を取り入れたりすることで、よりすこやかな睡眠リズムを整えていきましょう。
取材・文/牧野未衣菜
全2回の1回目
※2025年12月24日よりリンク有効
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牧野 未衣菜
1992年生まれ、千葉県出身。子育てや教育関係を中心に、フリーランスライターとして活動中。 また、教育NPOでユーススタッフとして子どもの支援活動にも携わる。現在は二児(姉妹)の母として、育児にも奮闘中。
1992年生まれ、千葉県出身。子育てや教育関係を中心に、フリーランスライターとして活動中。 また、教育NPOでユーススタッフとして子どもの支援活動にも携わる。現在は二児(姉妹)の母として、育児にも奮闘中。



































森田 麻里子
Child Health Laboratory代表。1987年、東京都生まれ。東京大学医学部医学科卒業。2017年に長男、2020年に次男を出産。長男の夜泣きに悩んだことから、睡眠についての医学研究を徹底的に調査。赤ちゃんの睡眠と健康をサポートする「Child Health Laboratory」を設立。最新著書『子育てで眠れないあなたに 夜泣きドクターと睡眠専門ドクターが教える細切れ睡眠対策』(共著:伊田瞳/KADOKAWA)のほか、『医者が教える赤ちゃん快眠メソッド』(ダイヤモンド社)、『東大医学部卒ママ医師が伝える科学的に正しい子育て』(光文社新書)が発売中。 「Child Health Laboratory」 https://child.healthlabs.jp/
Child Health Laboratory代表。1987年、東京都生まれ。東京大学医学部医学科卒業。2017年に長男、2020年に次男を出産。長男の夜泣きに悩んだことから、睡眠についての医学研究を徹底的に調査。赤ちゃんの睡眠と健康をサポートする「Child Health Laboratory」を設立。最新著書『子育てで眠れないあなたに 夜泣きドクターと睡眠専門ドクターが教える細切れ睡眠対策』(共著:伊田瞳/KADOKAWA)のほか、『医者が教える赤ちゃん快眠メソッド』(ダイヤモンド社)、『東大医学部卒ママ医師が伝える科学的に正しい子育て』(光文社新書)が発売中。 「Child Health Laboratory」 https://child.healthlabs.jp/