入園・入学後に増える発達の不安「猫背」や「内股」が原因かも? 理学療法士が教える身体のサインとは[専門家が監修]

理学療法士・池上悠さんインタビュー#1「子どもの言動を身体から見直す」 (3/3) 1ページ目に戻る

理学療法士・アスレティックトレーナー:池上 悠

困りごとの多い子どもたちには、【背中が丸まって首が前に突き出ている猫背】【内股やガニ股といった足のねじれ】など、「姿勢のクセ」がよく見られると池上さんはいいます。

「気になる言動や困りごとというと、性格や特性、あるいは関わり方の問題としてとらえられがちですが、実は“身体の土台”も関係しています。

まず子どもの身体そのものを見ていくと、姿勢のクセがある子は、体幹や足腰がうまく使えていないことが多いです。座りながらアゴに手をついたり、ヒジで身体を支えながら食事や作業をする様子が見られたら要注意ですね」(池上さん)

池上さんによると、体幹は身体を支えるだけでなく、手足を動かす際の“支点”としての役割も担っています。体幹が不安定になると支点が崩れ、手足の連動にも影響が及びます。

その結果、動きがぎこちなくなり、転びやすさや運動への苦手意識につながります。すると活動量も減り、身体を使う経験そのものが少なくなっていく──。池上さんは、こうした“負の連鎖”が積み重なることを懸念しています。

困りごとのある子どもに見られる「姿勢のクセ」。身体の軸が不安定で偏りが強くある状態を指す。  出典:『子どもの気になる言動が改善する からだの使い方』
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身体を整えて困りごとを改善する

では逆に、姿勢や体幹が整うと、どのような変化が起きるのでしょうか。池上さんは、まず「身体の使いやすさ」が変わると話します。

「体幹が安定すると動きのぎこちなさがやわらぎ、転びやすさや疲れやすさが改善しやすくなります。走る・止まるといった基本動作も安定し、ケガもしにくくなります」(池上さん)

さらにその変化は、集中のしやすさや情緒面など、子どもの言動にも表れます。

「ポイントになるのは、呼吸や血流、神経の働きです。体幹が安定してよい姿勢を保ちやすくなると、胸が開き、呼吸も深くなります。

それにともなって体内の血液やリンパの巡りがスムーズになり、脳にも必要なエネルギーが届きやすくなる。その結果、集中力や情緒の安定といった面にも変化が表れてくると考えています」(池上さん)

姿勢が整うと呼吸が深くなる、血液やリンパの流れが良くなる、神経の伝達がスムーズになるなど身体全体のパフォーマンスが上がる。  出典:『子どもの気になる言動が改善する からだの使い方』

池上さんは、体幹や姿勢の改善を土台としながら、困りごとに応じた運動を組み合わせ、子どもが過ごしやすい状態を目指しています。

例えば、注意の切り替えや言葉の発達に課題があった子どもでは、言葉を使いながら身体を動かす運動や、集中力を使うバランス運動を続ける中で、集中しやすさや落ち着きに変化が見られました。

「走る運動で体力や自信も育ち、自分から話す場面が増えました。本人も『前は力がマイナスだったけど、今は300%くらい出せる!』と、心と身体の変化を自ら言葉にできるようになりました」(池上さん)

足元を見ながらバランスをとって進むことで、「今」に意識を向ける力や、身体の軸を育てる「ステップバランス」。  写真提供:池上悠

これは特別なケースではなく、どの子どもも日々の小さな積み重ねの中で少しずつ変化していくと池上さんは話します。

なかでも印象的だったのが、幼児期から長く関わってきたある親子のケースです。子どもの身体の使い方だけでなく、保護者の関わり方も変わっていくことで、成長に大きな変化が生まれたといいます。

次回は、この親子の歩みをもとに、「身体の使い方」が子どもの言動や成長にどうつながっていったのか、その過程を詳しく伺います。

取材・文/稲葉美映子

全3回の1回目
2回目を読む※2026年7月4日公開
3回目を読む※2026年7月5日公開

池上 悠さんの本

医療資格(理学療法士)と運動資格(アスレティックトレーナー)を併せ持つ池上悠氏の著書『子どもの気になる言動が改善する からだの使い方』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)。子どもの気になる言動の根本的な改善を目指す新しいメソッドを提唱。

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池上 悠
いけがみ ゆう

池上 悠

YU IKEGAMI
理学療法士・アスレティックトレーナー

北里大学卒業後、整形外科クリニックにて幼児から高齢者までの治療・リハビリテーションを経験。並行して、大手フィットネスジムでのパーソナルトレーニング指導や、スポーツチームでのリハビリテーションサポートを行う。2020年、医療知識とスポーツ知識を活かした整体×パーソナルトレーニングの店舗を渋谷区に開業。 都内保育園にて、ケガ予防や身体の土台作りの運動指導レッスンを実施。現在は、発達障害の診断がある、または発達が気になる子どもや、スポーツに励む学生にパーソナルレッスンを行っている。0歳から高齢者まで、累計5000人以上、延べ3万件を超える発育・運動サポート実績がある。 著書に『子どもの気になる言動が改善する からだの使い方』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)。 https://amzn.to/4dIZQb3 【Official Site】 https://yu-ikegami.com/

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北里大学卒業後、整形外科クリニックにて幼児から高齢者までの治療・リハビリテーションを経験。並行して、大手フィットネスジムでのパーソナルトレーニング指導や、スポーツチームでのリハビリテーションサポートを行う。2020年、医療知識とスポーツ知識を活かした整体×パーソナルトレーニングの店舗を渋谷区に開業。 都内保育園にて、ケガ予防や身体の土台作りの運動指導レッスンを実施。現在は、発達障害の診断がある、または発達が気になる子どもや、スポーツに励む学生にパーソナルレッスンを行っている。0歳から高齢者まで、累計5000人以上、延べ3万件を超える発育・運動サポート実績がある。 著書に『子どもの気になる言動が改善する からだの使い方』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)。 https://amzn.to/4dIZQb3 【Official Site】 https://yu-ikegami.com/

稲葉 美映子
いなば みおこ

稲葉 美映子

ライター

フリーランスの編集者・ライターとして旅、働き方、ライフスタイル、育児ものを中心に、書籍、雑誌、WEBで活動中。保育園児の5歳・1歳の息子あり。趣味は、どこでも一人旅。ポルトガルとインドが好き。息子たちとバックパックを背負って旅することが今の夢。

フリーランスの編集者・ライターとして旅、働き方、ライフスタイル、育児ものを中心に、書籍、雑誌、WEBで活動中。保育園児の5歳・1歳の息子あり。趣味は、どこでも一人旅。ポルトガルとインドが好き。息子たちとバックパックを背負って旅することが今の夢。