170万部超「ケーキの切れない非行少年たち」シリーズ最新作 児童精神科医が明かす「歪んだ幸せを求める人たち」とは
子どものこころ専門医・宮口幸治氏のベストセラーシリーズ
2024.07.18
非行少年たちが抱える問題を明らかにし、ドラマ化や漫画化などメディアミックスでも注目を集めた『ケーキの切れない非行少年たち』。シリーズ累計170万部を突破したベストセラーの第3弾となる最新刊『歪んだ幸せを求める人たち─ケーキの切れない非行少年たち3─』が刊行されました(2024年7月18日発売)。
歪んだ幸せを求めてしまう人たち
著者の宮口幸治氏は、心の発達にくわしい「子どものこころ専門医」。児童精神科医として精神科病院や医療少年院等に勤務し、多くの非行少年たちと出会ってきました。その中で「反省以前の子ども」がたくさんいるという事実に気づいた経験から、〈困っている人たちを適切な支援につなげる〉ための知識とメソッドを、本シリーズで伝えています。
人口の十数%いるとされる「境界知能」や気づかれない軽度知的障害の人々に焦点を当てた『ケーキの切れない非行少年たち』。頑張り方がわからず、苦しんでいる人々の困難を解説した『どうしても頑張れない人たち─ケーキの切れない非行少年たち2─』。
この2作につづく第3作『歪んだ幸せを求める人たち─ケーキの切れない非行少年たち3─』では、歪んだ考え方に基づいて行動してしまう人々の問題を取り上げています。
おばあちゃんを悲しませたくないので……
本書で取り上げた臨床例のひとつに、将来を悲観して自殺しようと考えた少年のエピソードがあります。
「おばあちゃんを悲しませたくないので殺そうと思いました」──自分が自殺すると大好きな祖母が悲しむことになる。だから、孫の自殺を知って悲しまないよう、祖母を先に死なせてあげようと考えた、という驚きの内容です。
しかし、少年は極めて歪んだ考え方をしているものの、それでも「幸せになりたい」「誰かを幸せにすることで自分も幸せになりたい」という考え方は、一般的な人々と共通しています。問題はその「幸せ」を求める方法が極めて歪んでいること。そして、そのような歪んだ幸せを求めるのは、非行少年に限らないのです。
であれば、どのように「歪み」を解消していけばいいのか。本書では豊富な臨床例をもとに、歪みを生む原因として5つの理由を挙げ、歪みから脱却する方法を解説しています。
●著者プロフィール:宮口幸治(みやぐち・こうじ)立命館大学教授。(一社)日本COG‐TR学会代表理事。京都大学工学部を卒業し建設コンサルタント会社に勤務後、神戸大学医学部を卒業。児童精神科医として精神科病院や医療少年院等に勤務、2016年より現職。著書に『児童精神科医が教える こころが育つ! 子どもの食事』『ケーキの切れない非行少年たち』など。
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【「子どもの発達と食」をテーマに、児童精神科医の宮口幸治先生にお話を伺う連載(全3回)、第1回では「子どもの食との向き合い方・親のタイプ別対処法」を、第2回では「子どもの発達特性と食の関係」を、第3回では「子どもの食環境と5つのNG」についてお話を伺いました】
宮口 幸治
立命館大学大学院人間科学研究科教授。京都大学工学部を卒業し建設コンサルタント会社に勤務後、神戸大学医学部を卒業。児童精神科医として精神科病院や医療少年院等に勤務、2016年より現職。医学博士、子どものこころ専門医。一般社団法人日本COG-TR学会代表理事。 著書に『ケーキの切れない非行少年たち』『どうしても頑張れない人たち』(いずれも新潮新書)、『境界知能の子どもたち』(SB新書)、『児童精神科医が教える こころが育つ! 子どもの食事』(CCCメディアハウス)などがある。
立命館大学大学院人間科学研究科教授。京都大学工学部を卒業し建設コンサルタント会社に勤務後、神戸大学医学部を卒業。児童精神科医として精神科病院や医療少年院等に勤務、2016年より現職。医学博士、子どものこころ専門医。一般社団法人日本COG-TR学会代表理事。 著書に『ケーキの切れない非行少年たち』『どうしても頑張れない人たち』(いずれも新潮新書)、『境界知能の子どもたち』(SB新書)、『児童精神科医が教える こころが育つ! 子どもの食事』(CCCメディアハウス)などがある。