「指しゃぶり」は3歳までなら無理にやめさせなくてOK 小児歯科のポイント

小児歯科専門医・唐木先生ご夫妻インタビュー  #2 1歳半~3歳頃の歯のチェックポイント

乳歯の歯並びは「すきっ歯」が理想!

次に歯並びについて。乳歯にも理想的な歯並びがあると言います。隙間だらけの歯と、みっちりキレイに生え揃った歯、どちらがトラブル知らずなのでしょうか。

隆史先生「乳歯の歯並びは、隙間があるのが好ましいです。ぎゅうぎゅうに生えていると、永久歯が生えてくるときに邪魔してしまい、うまく生え変わらないことがあります。生え方に問題があることに気づかずに、幼稚園・保育園の歯科検診や就学時前健診で指摘され、ようやく診察に来る方もいます。
たとえ歯にトラブルがなかったとしても、せめて3歳までに一度は歯をチェックしてもらいましょう。早くから通われると、歯の治療や歯科医院に対しての恐怖心を和らげ、慣れさせるというメリットもありますよ」

指しゃぶり 3歳までは無理にやめさせなくてOK

また指しゃぶりについては、3歳頃までは無理にやめさせなくていいと隆史先生。

隆史先生「子どもの歯と口の保健ガイド(小児科と小児歯科の保険検討委員会)では、基本的には3歳頃まではそのままで問題ないと言われています。
第一の理由として、指しゃぶりが精神的な安定になることが挙げられますが、それ以外にも小さい頃には手や口に刺激を与えることが望ましく、指しゃぶりによって子どもの発達に必要な協調運動が育まれるといった利点もあります。
さらにコロナ禍ですし、玩具を噛んだりすると汚いからと嫌がられる親御さんもいらっしゃいますが、成長のためにはなるべくやりたいようにさせてあげたらいいと思います。また、歯の生え始めの時期に、親御さんの手で子どもの顔や口の中をよく触ってあげてくださいとお伝えしています。そのようにスキンシップを図り、感覚的刺激を養ってあげることがこの時期はとても大事になってきます。

歯並びへの影響については、3歳くらいで止めれば元に戻る事が多いとされています。
手遊びや外遊びの時間をしっかりとって、生活のリズムを整えることで、だんだんと指しゃぶりが減っていくと言われています。
他にも補助的に、指しゃぶりをやめることを促す絵本(『ゆびしゃぶりやめられるかな』『ゆびたこ』等)を読んであげたり、指人形をつけて指をしゃぶらないようにする方法や、バイターストップ(爪に苦みのあるコーティングを施す専用マニュキュア)を使う方もいらっしゃいます。
これら以外にも色んな方法があり、お子さんとの相性もありますので、色々試してみるのがいいかもしれませんね」

美弥先生「4歳を過ぎてくればお話がよく分かるようになってきますから、指しゃぶりをやめようという意識が働きます。
それでも寝付くときに、どうしても指しゃぶりしてしまう子もいますので、寝付くまでお子さんの手を握ってあげたり、寝付いた後にそっと外してあげてください」

第3回は、4歳~6歳までの歯の悩みについてお聞きします。

取材・文 有元えり

唐木隆史
からき たかし

日本小児歯科学会専門医、日本障害者歯科学会認定医。
鶴見大学歯学部卒業後、鶴見大学歯学部小児歯科学講座をはじめ都内・神奈川県の小児歯科、矯正歯科、大型医療法人などでさまざまな症例を経験。
2018年には、日本小児歯科学会で、小児歯科学雑誌優秀論文賞を受賞。
2020年7月に「等々力ぞうのはな小児・矯正歯科」の院長に就任。
専門的知識と技術をもとに、1人1人の子どもの成長に合わせた丁寧な治療で、東京・城南エリアの地域医療に貢献する。

唐木美弥
からき みや

日本小児歯科学会専門医。鶴見大学歯学部卒業。
鶴見大学歯学部小児歯科学講座に入局する傍らで、昭和大学歯学部スペシャルニーズ口腔医学講座口腔衛生学部門にて研修。
都内の小児歯科・矯正歯科で研鑽を積んだ後、夫の隆史氏とともに0歳から通える「等々力ぞうのはな小児・矯正歯科」を開院。
NPO日本食育インストラクターの資格も持ち、食育にも精通。歯についてはもちろん、食事に関する相談にも親身に応じてくれる。一児の母。

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