運動会の保護者参加競技でちょっとカッコ良く走るためのコツをスプリントコーチ・ 秋本真吾さんが伝授。前回(#1)は転ばないための練習方法を教わりましたが。
今回は、ストレッチは必要? どんなシューズを買えばいいの? 前日はお酒を飲んでも大丈夫?
などなど運動会に参加するための基本的な質問から、簡単に継続できる習慣までたっぷりと話を聞かせてもらいました。
デスクに座ったままできるお気軽ストレッチ
やはりケガ予防のため、特にストレッチは欠かせないものなのでしょうか。
「普段、デスクワークをしている方のほとんどは、きっと筋肉がカチカチに固まっている状態だと思います。筋肉が硬いというのは、言い換えればいつケガをしてもおかしくない状態。ですから伸ばさないといけません。デスクに座ったまま、簡単にできるものも多いですからぜひやってみて、できれば習慣にしちゃってください」 と秋本さんが紹介してくれました。
「ハムストリングス(主にももの裏)、前もも、ふくらはぎ、お尻。その4つさえ伸ばして柔軟性を保っていれば大きなケガにはつながりにくい」
特に下半身でいちばん大きな筋肉でもあるお尻については、「念入りにやると効果が高い」と秋本さん。デスクに座ったままで簡単にできるストレッチを続けるだけで、人によっては肩こりや腰痛も改善されたなんていうこともあるそうです。
「人の身体はいろいろなところでリンクしているので、腰痛の原因は実はももの裏が硬くなっていること、なんていうケースはよくあります。この姿勢でももの裏やお尻を意識しながらゆっくり前傾します」
「これはお尻からハムストリングス、ふくらはぎまで一気にストレッチをかけられます。ポイントはつま先を少しでいいので天井に向けることです。どれも時間は10〜20秒程度でいいので、秒数というより頻度が大切です。
1日5回でも6回でも、10回でもいいのでちょっと疲れたなという時にリフレッシュも兼ねて やってみると長続きします。最初は少し痛いかもしれませんが、慣れるとすぐに気持ちよくなりますよ」
話題のあのシューズは買ってはいけない!?
ほかにも具体的な準備としてはギア、運動会用のシューズがあげられます。最近、箱根駅伝や東京五輪でランナーやメダリストたちがこぞって履いていた厚底シューズが話題でしたが、秋本さんは「運動会に買ってはいけない」と警鐘を鳴らします。
「あの厚底シューズは確かにランニングシューズとしては素晴らしいギアですが、決して運動会用には適していません。あれはあくまで長距離を楽に走るためのシューズです。
小学校の校庭はR(トラックの半径の曲線)がきつくて、厚底のシューズではあのコーナーはスピードを出したまま曲がれないと思います。むしろ捻挫したりするリスクさえ生まれます。買うなら軽くて薄いシューズを買ってください」
さらに事前準備として「前日お酒を飲んでもOK?」と秋本さんにおそるおそる質問をしてみると、「いいんじゃないですか」と意外にも即答。
「もちろん、運動会でカッコ良く走りたい。と思っている親御さんですから、暴飲暴食するようなことはないとは思いますが」と釘を刺した上で自身の経験を語ってくれました。
「僕も現役引退してからいろいろ試したんです。例えば、走る予定の仕事の前日に、焼肉を食べてお酒を飲んで……みたいに。でも競技の時のようにコンマ何秒を争っているわけでもないですし、そんなに変わらないですよ」
同様に「当日の朝食はバナナだけにしたほうがいいの?」とか、「サラダチキンは毎日、食べたほうがいいですか?」という質問も受けるそうですが、秋本さんは 「食べすぎたりしなければそのあたりも、そこまで気を使う必要はありません」と笑います。むしろメンタル作りのほうが重要かもしれません、と秋本さんは続けます。
「変に気負って『明日は運動会だから』と緊張して慣れないことをするくらいなら、ちょっと乱暴な言い方になりますが『しょせん校庭を10数秒走るだけでしょ』とラクに考えていた方が、リラックスしてメンタル的には理想の状態に近いと思ってます。そういう意味では節制をするより、飲んで帰ってきてからでいいので、簡単なことをひとつだけしてほしいですね」