子どもの「ゼロ・ウェイスト」 「ごみを減らせる大人」が育つ相乗効果が素敵!
~シンプルで快適な暮らしと子育てへの相乗効果~#2子どもと一緒にゼロ・ウェイスト
2022.09.23
ゴミや無駄のない生活や社会を目指す「ゼロ・ウェイスト」
ベストセラー『ゼロ・ウェイスト・ホーム』(ベア・ジョンソン著)を翻訳し、自著『サステイナブルに暮らしたい』では、日々試行錯誤してゼロ・ウェイストな生活を実践する様子を伝えている翻訳者の服部雄一郎さん。
#1では服部さんがゼロ・ウェイストと出会ったエピソードをお聞きしましたが、#2では、普段、家で実践している工夫や、子育てをするなかで「子どもにゼロ・ウェイストをどう教えているのか」などをうかがいました。
※全3回の2回目
子どもに「ゼロ・ウェイスト」はできるのか?
──子どもが保育園や学校から持ち帰るモノや膨大なおもちゃなどがありすぎて、子どものゼロ・ウェイストは気が遠くなります。子育てにゼロ・ウェイストを取り入れることで効果はありましたか?
服部雄一郎さん(以下、服部さん):子どものゴミって、本当に厄介ですよね。常にごちゃごちゃしてプラスチックも多くて。
おっしゃるとおり、子どものゴミや持ち物がゼロ・ウェイストの障壁になると思うと息苦しくなってしまうので、子どもとのゼロ・ウェイストの場合は、長期スパンで見て、子どもが将来「ゴミを減らすことのできる大人」に育てることを目標にすると、肩の力が抜けますよ。
とはいえ、今できる工夫としてはまず、モノ全体の量を減らすこと。
これは、ゼロ・ウェイストのパイオニア、ベア・ジョンソンも「おもちゃを子どもから奪うのではなく、気に入っていないおもちゃを手放して、大好きなおもちゃを見つけやすくしてあげる」と言っています。
モノの数が少ないと一つひとつのモノがよく見えて、子どもも大切にします。ゴミもプラスチックも減り、部屋もスッキリし、整理整頓も楽になり、子どもは親から片付けなさいと言われなくなりますし、親も言わないで済みます(笑)。
我が家も新しいモノは滅多に買わず、おもちゃは、基本はいただきものだけ。本は図書館で借りています。そうすることでたまに買うモノの価値も上がります。
一方で、モノを買うときは、プラスチックの害やエコロジーについての情報を伝えたうえで選択肢を示し、子どもたち本人に好きなほうを選んでもらうようにしています。
例えば、上履きなら、天然ゴム製とプラスチック製、リュックならパタゴニアと安売りのリュック、リコーダーなら木製とプラスチック製、といった具合です。
友達と一緒のモノや欲しい色など、子どもにも都合があるので、プラスチック製を選ぶことも多いですが、単に好き勝手に選ばせたり、そのまま買い与えるのとはちがうので、「意識的に買い物をする経験」を与えられているとは思います。
ゼロ・ウェイストと子育ての相乗効果は、結果が表れるのは10年後、20年後なので、正直子どもがどんな大人になるのかはわかりません。また親が言いすぎると暑苦しいかなと思うので、「ゼロ・ウェイストとはね」とか「お父さんとお母さんがこういう生活をしている理由はね」という形で子どもに話すことはしていません。
ところが、仕事でラベルシールを何枚も印刷していたときに、子どものほうから「本当はこのシールの台紙もゴミにならないといいのにね」と声をかけられたことが!
この発言を聞いて、「ゼロ・ウェイストやプラスチック・フリーを自然に理解してくれているな」とうれしくなったことがありました。
経験する中で学べることはあるのか?
──子どもと一緒に楽しめるゼロ・ウェイストはありますか?
服部さん:ありますよ! 例えば、手作りは子どもと一緒に楽しむのにぴったりです。
先ほど話に出てきたココナッツオイルと重曹、ハッカオイルで作る歯磨き粉も一緒に作ることができますし、以前、家に入ってきたアリを忌避する「アリコロリ」を子どもと一緒に作って観察して、アリ退治を娯楽にして一緒に楽しみました。
それから焼酎にドクダミを浸して作り、蚊除け効果のある「ドクダミチンキ」を一番下の子が作ったときは、家族みんなに喜ばれて下の子も鼻高々で喜んでいました。
なんでもWEBで作り方を調べられるのも現代の魅力ですよね。単に市販の製品を買うのではなく、失敗も含めて一緒に作るプロセスを思いっきり楽しめばゼロ・ウェイストは大成功です。