子どもの「ゼロ・ウェイスト」 「ごみを減らせる大人」が育つ相乗効果が素敵!

~シンプルで快適な暮らしと子育てへの相乗効果~#2子どもと一緒にゼロ・ウェイスト

子どもが欲しがるおもちゃやお菓子はどうするか?

──ゼロ・ウェイストは取り組みたいけれど、子どもと100円均一やファストフードに行くと必ずねだられます。手軽なのでつい買ってしまいますが、手軽なおもちゃや袋菓子のプラスチックゴミを減らすには何かいいアイデアはありませんか?

服部さん:
我が家の場合は、目に触れると欲しくなってしまうので、子どもがいない間にショッピングセンターに行って買い物を済ませるようにしています。

おやつは、手づくりのお菓子が準備できるときは準備しますし、スープやパン、おにぎりなどもいいですよね。でも、お小遣いで買う分には駄菓子や袋菓子も黙認していますよ。たまの楽しみもいいものです。

ファストフードは滅多に行きませんが、幼いころ私も好きだったこともあり、禁止するのも……と思って、どうせ行くなら最大級のイベントにしたいなと思っています。

例えば、ファストフードを扱ったドキュメンタリー映画をあらかじめ一緒に鑑賞してからファストフードを食べ、その後きちんと手作りしているハンバーガーショップをハシゴして、味比べをする。これは親子ともども、すごく楽しめました。

こんなふうに、なんでも禁止するのではなく、社会勉強と一緒にして楽しむのは手ごたえ十分でおすすめです。

その他、環境ドキュメンタリーなど、気づきを得られる映画を一緒に見て、一緒に驚き、「なんとかできるのかな? できないのかな?」と話すことだけでも充実感があります。

ゴミ問題を含む環境や社会課題のことは学校でも学びますが、親としてできる範囲で伝えていけば、コミュニケーションも深まります。

大活躍している鉛筆削りはオールステンレスのアメリカのロングセラー「X-ACTO」のもの。  写真提供:服部家
子どもにも好評だった紙の下敷きと、紙製の色鉛筆。この他、文具は、天然ゴムが原材料の消しゴムや間伐材を使った鉛筆なども使用。  写真提供:服部家

********

買い物ひとつにも工夫を忍ばせ、“意識的に”買い物をする経験を積ませ、モノを大切にする生活を基本とする……。

直接的な言葉でゼロ・ウェイストを子どもたちに説明せずとも、日常の中や遊びに組み込み、一緒に考えることを楽しみに変えてしまう服部さん。

#3では、今日から取り組めるゼロ・ウェイストや少し踏み込んだ取り組みなど、ゼロ・ウェイストの具体的な方法に迫る『「ゼロ・ウェイスト」はじめの一歩』をお届けします。

取材・文:佐藤良子

服部雄一郎
1976年生まれ。慶應義塾大学環境情報学部を経て東京大学総合文化研究修士課程修了(翻訳論)。20代の終わり、障害を持つ長男の誕生を機に六本木の高層オフィスから葉山町の役場に転職。ゴミ担当に配属され、ゼロ・ウェイスト政策に携わる機会を得る。フルブライト奨学金を得てUCバークレー公共政策大学院に子連れ留学。ゼロ・ウェイスト関連の国際NGOスタッフとして南インドに滞在。

2014年、高知に拠点を移し、よりサスティナブルで自由な生き方の実践をスタートする。主な訳書に『プラスチック・フリー生活』『土を育てる』(以上NHK出版)、自身の家づくりを記した夫婦共著の『サステイナブルに家を建てる』(アノニマスタジオ刊)などがある。

18 件