ペットが子どもの豊かな感情を育む 飼う前に知っておきたい大切なこと

獣医師・西井丈博先生に聞く「子どもとペットのいい関係」#1

星野 早百合

ペットの存在が家族の暮らしを豊かにしてくれる

――ペットを迎える前の注意点として、親としては、子どものアレルギーも気になるところです。

西井先生「アレルギーのおもな症状は、鼻水やくしゃみ、目の充血などですが、たしかに重度のアレルギーが原因でペットを飼えない人もいます。アレルギーが気になるようでしたら、ペットを迎える前にアレルギー検査をおすすめします。

ただ、不思議なもので、患者さんのお子さんでも、生まれる前から飼っていた猫は平気なのに、ほかの猫に触れたらアレルギー症状が出た……という話をときどき聞きます。もしかすると、生まれたときから一緒にいる猫には免疫がついても、初めて触れ合う別の猫には反応してしまうことがあるのかもしれません。

それまでペットを飼っていても、新たに別のペットを迎えるときは注意したほうがいいですね」

――子どものためにも、ペットのためにも、事前にきちんと考えておくべきことがたくさんあるということですね。

西井先生「その通りだと思います。でも、時間的な制約があることも、経済的な負担があることも、私はペットを飼うことの“デメリット”だとは決して思いません。子どもが生まれたのと同じ、扶養家族が増えたのですから、当然ですよね。

ごはんをあげる時間や、散歩する時間が決まっていると、一日のリズムの中でメリハリがつきます。家族みんながペットのことを気にかけていれば、『今日は誰がごはんあげる?』『一緒に散歩いかない?』など、自然と会話も増えて、ペットという家族が加わった、新たな世界が広がります。

覚悟はもちろん必要ですが、思いやりや仲間意識、創造力、感受性の育みなど、ペットが子どもや家族にもたらすいい影響はとても多いのです。そちらに目を向けてもらえるといいのかなと思います」


第2回は、初めて飼うおすすめのペットとその理由を伺います。

西井先生が院長を務める『阿佐ヶ谷動物病院』は、JR阿佐ヶ谷駅、高円寺駅からそれぞれ徒歩15分。地域に愛される総合診療科の動物病院だ。   写真:村田克己
とてもわかりやすく教えてくださった西井丈博先生。   写真:村田克己

PROFILE
西井丈博

にしいたけひろ 獣医師、阿佐ヶ谷動物病院院長。麻布大学獣医学科を卒業後、神奈川県や東京都内の動物病院で経験を積み、2002年、東京都・杉並区に『阿佐ヶ谷動物病院』を開業。その後、現在の場所へと移転し、犬や猫をはじめとする動物の診療にあたる。NPO法人ワンコレクションの活動に賛同し、都内の小学校等で子どもたちに動物の接し方や命の大切さを教える“動物の授業”を行っている。

●阿佐ヶ谷動物病院 
https://www.asagaya-ah.com/
●NPO法人ワンコレクション 
http://www.onecollection.org/

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ほしの さゆり

星野 早百合

ライター

編集プロダクション勤務を経て、フリーランス・ライターとして活動。雑誌やWEBメディア、オウンドメディアなどで、ライフスタイル取材や著名人のインタビュー原稿を中心に執筆。 保育園児の娘、夫、シニアの黒パグと暮らす。

編集プロダクション勤務を経て、フリーランス・ライターとして活動。雑誌やWEBメディア、オウンドメディアなどで、ライフスタイル取材や著名人のインタビュー原稿を中心に執筆。 保育園児の娘、夫、シニアの黒パグと暮らす。