実録・スクールカウンセラー相談 ママの相談内容・相談結果を公開

学校以外の第三者機関に相談したいママ 客観的にこたえてくれる窓口はどこ?

コクリコラボ

写真:アフロ

前回の記事では、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー(以下SC・SSWとします)の配置率や認知度は高いにもかかわらず、実際に利用した経験のあるママはわずか28%であるという調査結果をご紹介しました。今回の記事ではそんな状況のなか、SC・SSWを利用したことのあるママから貴重な体験談を聞きました。困りごとの相談先に悩んでいるママはぜひお読みください。

コクリコラボアンケート「AnyMaMa(エニママ)」登録者およびコクリコメルマガ会員を対象に2023年8月7日~2023年8月21日インターネット上で実施。有効回答数は83件。
※基本的にアンケート回答の原文をそのまま記載しています。ただし文字数の都合上、一部抜粋や主旨を損なわない範囲の要約・編集を行っている箇所があります。(明らかな誤字等は修正のうえ記載)

コクリコとAnyMaMa LIFESTYLE.Labが協働で、子育て課題解決×読書文化を目指すプロジェクト「コクリコラボ」。
ママの社会復帰を支援するサービス「AnyMaMa(エニママ)」で活躍するママたちのリアルな声を集めながら、新たなサービスや取り組み、ライフスタイルのアイデアを生み出していきます。

SCに何を相談した? ママの体験をレポート

コクリコラボでは実際にSC・SSWを利用したママに相談内容や感想、相談してどうなったかなどを聞きました。さっそくリアルな声を見ていきましょう。

・いじめられたあとの子どものフォロー。

いじめという重大問題。専門家であるSC・SSWにフォローしてもらえるのは心強いですね。

・保護者の心の荷が下りるような的確で客観的な助言がもらえた。

・娘の学校で利用した。話しやすい雰囲気なのと、心理の観点からの客観的なアドバイスを頂けたことで子どもとの関わりのヒントを得ることができた。

・長男の発達が心配で相談しました。何度か面談しましたが、とても丁寧に対応してくれ、私の気持ちに寄り添ってくれました。支援はいらないと判断されたため、その後は利用していません。


子ども本人ではなく、ママ自身が利用して適切なアドバイスをもらえたという声が多く聞かれました。担任の先生への相談での不満では「寄り添ってもらえていない感じ」という感想が多かったのと対照的に、SC・SSWを利用した感想では「寄り添ってもらえた」という感想が多かったのが印象的でした。

・長女が自分で先生に申し込んで相談しました。スクールカウンセラーが来校する日があらかじめお知らせされていたため、自分から仲間外れにされたことを相談してみたようです。すぐさま担任の先生に話がいき、話し合いの場を設けて解決(仲直り)をしました。その後もフォロー面談があったと聞いてます。

子ども自らがSCに相談し、仲間外れという問題が解決したという好事例です。SCを介して担任の先生に話がいったり、フォロー面談があったりという問題解決へのフローは理想的だと感じました。すべての学校で子どもが気軽にSC・SSWに相談できる体制を敷いてほしいと思います。

・子どもと同席した場合は、子どもの話を楽しそうに聴いてくれます。学校に行こうなど誘われることはなく、本人の考え方やタイプを観察してくださってるイメージです。保護者だけで面談する場合は、具体的な解決法というよりは、心がけられること、気持ちの持ち方などを話してくださったり、ひたすら世間話のような話をしながら子育てを共有したりしています。

不登校のように長期的な問題では、保護者の心の持ちようなどへのアドバイスもとても有益です。親子で気の合うSC・SSWと出会えたのだろうなという雰囲気がアンケートからも伝わってきました。

・息子が中学入学時に、発達面で心配があることを事前にお話しした。もし何かトラブルがあってから発達のことを落ち着いて話す自信がなかったので先にお伝えしたくて……と切り出したらとても丁寧に、成育歴や小学生時代に困っていたこと、中学校ではどんな支援が必要そうかなど、聞き取ってくださり、とても安心した。

小学校から中学校へ進級するときに、発達面での困りごとを相談した事例です。小学生ママにとって中学校生活がどんなものなのかは想像がつきません。いろいろな現場を知っているSC・SSWに相談できるのはとてもよい方法ですね。

ご紹介してきたように、SC・SSWを実際に利用したママたちの多くが、ポジティブな感想を持っていたものの、一部では不満の声も聞かれました。

・長男のいじめ問題で利用したことはあるが、こちらの話をおうむ返しするだけで何も解決に至らなかった。

現在のSC・SSWの実態からわかるように、SC・SSWに相談する時点で、ママたちはかなり切羽詰まっている状況がほとんどです。傾聴だけでなく、その先の具体的な解決策や対応方法を求めていることがうかがえます。

・カウンセラーには不安が強く癇癪が酷いときに相談したが、あまり改善できる有益な話はできなかった。ソーシャルワーカーには学校を抜け出したり、行方不明になったりすること、不登校気味などを相談。その時点で発達障害もわかっていたため放課後デイサービスなどの紹介や利用までの案内をしていただき、落ち着いてきている。

SCで解決しなかったので相談先をSSWに変えて解決したという好事例です。両方配置されているのかなどは地域差があるかもしれませんが、SCで解決しなかった場合、他の相談先がないかお住まいの自治体で調べてみる手もあるかもしれません。

座談会では、お子さんが不登校経験のあるママから次のような有益な情報も聞くことができました。

・子ども向けの教育相談窓口は全国にあると思うが、埼玉県では保護者向けの相談窓口があります。子どもへの対応で迷ったとき、より良い提案が欲しいときなどに客観的に答えてくれます。教員と揉めたときの相談部署もあります。(小4女の子、6歳男の子のママ)

お話をもとに調べたところ、埼玉県では「埼玉県立総合教育センター」があり、小中高生だけでなくその保護者からの電話やEメール、面接相談などを受け付けていることがわかりました。

埼玉県立総合教育センター

また埼玉県以外でも、文部科学省に「こどものSOSの相談窓口」があり、ホームページでは全国の都道府県別に保護者の相談先も検索することができます。

こどものSOSの相談窓口

こんな相談先が欲しい! モヤモヤを吹き飛ばせるのは?

最後にご紹介するのは、「学校で困りごとがあった場合、子どもや保護者にとってどんな相談先があったらいいと思いますか?」という設問への回答です。ママたちがモヤモヤを吹き飛ばせる、理想の相談先はどのようなものなのか見てみましょう。

・担任や顧問だけではなく、カウンセラーや第三者などの存在は大きいと思います。

・結局校長先生に言ってもあまり変わらないので、第三者の相談者がいると良い。

・完全に第三者機関だとわかる相談先があると、深刻なトラブルが発生したときに相談しやすい気がします。

ほとんどのママから寄せられた意見に共通したキーワードは「第三者」。保護者の意見を聞いたり、学校に対して対等な立場で話ができたりする第三者的な存在が求められています。

・学校からは独立した、学校関係の法律や子どもの心理の専門家のチームで構成された相談所。

・スクールカウンセラーがよいですが、週に1日しか来ていなかったり、月1回程度しかご相談日が取れなかったりする。本当は担任をもたない、学年全体を見てくださる先生が1人いたら一番相談しやすいと思います。

SC・SSWは第三者的な立場をとり、専門的な知識もあるので本来であれば理想的な相談先になるはず。ただ、実際は来る日が少なすぎて相談できない、内部事情をよく知らないなどで利用できずにいる深刻な状況がこのアンケートからも明らかになりました。

ママの困りごとや悩みの受け皿が充実する世の中を願って

SC・SSWの利用体験談を聞ける機会は普段ないため、今回の調査は2人の小学生を持つ筆者にとっても大変参考になりました。

しかしせっかく国が予算をかけて配置しているのに、相談したい需要を持っているママに届いていないという実態。このミスマッチを解消し、ママたちの学校への困りごとへのモヤモヤが解消されることを願います。

こくりこらぼ

コクリコラボ

コクリコとAnyMaMa LIFESTYLE.Labが協働で、子育て課題解決×読書文化を目指すプロジェクト「コクリコラボ」。 ママの社会復帰を支援するサービス「AnyMaMa(エニママ)」で活躍するママたちのリアルな声を集めながら、新たなサービスや取り組み、ライフスタイルのアイデアを生み出していきます。 (Any MaMaについてはこちら:anymama.jp Twitter: @AnyMaMaJP )​

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