レ・ロマネスクTOBI「人生全てをエンタメに」子育ても楽しもう!
レ・ロマネスクTOBIさんインタビュー#4~子ども向けの仕事編~
2021.11.04
レ・ロマネスクのTOBIさんは、2013年に放送開始の教育番組『お伝と伝じろう』のほか、子ども向けコンテンツに多数出演。また『おかあさんといっしょ』の2021年10月の月歌『なんなん、とかとか、なーるなる』の作詞・作曲、振付も担当しています。
多数の子ども向けコンテンツに携わった経験から気づいた、子育てが楽しくなるマインドを教えてくれました。
人気の理由は大人目線で押しつけない
TOBIさんとMIYAさんからなる音楽ユニット「レ・ロマネスク」は、ライブや音楽フェスでのパフォーマンスが本業です。
さらにTOBIさんは、小説『七面鳥 山、父、子、山』(リトルモア刊)で2021年3月に作家デビューを果たし、『仮面ライダーセイバー』(テレビ朝日系列)や、ブロードウェイ・ミュージカル『ウエスト・サイド・ストーリー』への出演など、俳優としても活躍しています。
2013年から2014年にかけて放送された『お伝と伝じろう』(NHK Eテレ)は、「ためになる」「楽しい」といった意見が多く、毎年、再放送されています。TOBIさんはパリから転校してきた怪しげな小学生役として出演しています。
番組のコンセプトは「コミュニケーション」で、小学校のとあるクラスでの1日を舞台に、子どもたちに「人の話しを聞く」「自分の意見を伝える」「発表する」といったことの大切さを紹介。
TOBIさんは出演者、そして2児の父として、この番組のいいところは「押しつけないところ」だといいます。
番組は学校の教室から始まるものの、主人公のサトルくんがコミュニケーションの問題にぶつかると、舞台はTOBIさん演じる伝じろうの心の中へ。そこは富士山が描かれた壁や和傘など和のモチーフがありながら、色鮮やかでド派手な世界。視聴者にインパクトを与えます。
「『何だこれ?』なビジュアルと不思議な世界観ですよね。そもそも教室のシーンでも、転校生の伝じろうは金髪のカツラにヒゲ。ほとんどTOBIのままだから違和感がすごい(笑)。
でもそうした大げさな部分があると、子どもたちはツッコミながら楽しんで見てくれるんです」
TOBIさんによれば、子どもたちに『よくわからなかったけどおもしろい』と感じてもらうのが、制作側の狙いとのことです。
番組で説くコミュニケーションへの意識やコツが具体的には理解できなくても、そのエッセンスを感じて、自然と身につくように作られているそうです。
フランスで大切にされるアサーティブコミュニケーション
『お伝と伝じろう』の出演者として、TOBIさんの印象に残った回は、第3回の『意見を言おう』だといいます。
クラスの学級目標を考える授業が行われており、目標は「ケンカをしないクラス」で決定目前。サトルくんは別の意見を持っていましたが、それを発表できずにいると、舞台は伝じろうの心の中へ移ります。考えを整理するコツや、主張する大切さを学べるエピソードです。
考えを整理できたサトルくんはケンカをしないクラスではなく、ケンカをしても仲直りができる家族みたいなクラスにしたいという、自分の意見に気づきます。
「フランスでは子どもの頃から、相手を尊重しながら適切な方法で自己表現する『アサーティブコミュニケーション』を学びます。
相手を論破するのが目的ではなく、例えば信仰が異なる人たちを理解するための意見交換。日本にはまだあまり浸透していない考え方だと思います」
日本の企業では、立場による上下関係で意見の強さが違っていて、平等には意見を出せない傾向があります。TOBIさんによると、フランスはそれがあまりなく、初日から堂々としている人や『それは違うと思う!』といった意見する人がいるそうです。
それは親子関係も然り。そういう面で『お伝と伝じろう』は、いろんな意見を尊重する大切さも学べるいい番組だと、TOBIさんは考えます。
「それにフランスの人は、話していく中で意見を変えることがよくあります。日本では一貫性があるのがよしとされるムードがありますが、意見というのはどんどん変わっていいはず。
自分とは違う意見を聞いて調整していくべきなのに、日本だと最初に決めた意見は最後まで一貫していないと負けみたいな。子どもたちには、番組を通してそういうことも学んでほしいですね」