金田一先生が断言! 子どもが本好きに育てる「親の言葉磨き」とは?
国語の神様・金田一秀穂先生に聞く「国語力を養う親子の時間」#3〜子どもを本好きにするには編〜
2021.12.24
日本語学者:金田一 秀穂
日本語学者の金田一秀穂先生は、子どもの語彙が増えると、物事を正しく認識して考えることができ、自分の気持ちや物事をより正確に伝えられるようになるといいます。
そのためには、親自身が普段から言葉を正確に、表現豊かに使うこと、語彙力に自信がなければ子どもと一緒に絵本を読めばいいと前回(#2)教えてくれました。
子どもと読書を楽しむために、子どもを本好きにするために、親ができることは何でしょうか。金田一先生に伺いました。(全4回。#1、#2を読む)
親が本を“楽しそうに”読んでいるかが大事
子どもは親の影響を受ける生き物です。
ですから、親が楽しそうに本を読んでいれば、子どもも本好きになるケースが多い。
他方、親がゲームばかりしていたらゲーム好きに、親が四六時中スマートフォンの画面を操作していたら、子どももスマートフォンをいじるようになりがち。「それはおもしろいんだな」とインプットされるわけです。
実際、僕は物心ついた頃から自然と本を読むようになりましたが、それは家の中が本だらけで本に触れる機会が多かっただけでなく、本を楽しそうに読む大人が身近に多かったからだと思います。
本を読むのって楽しいんだろうなと真似をしたら、本当におもしろかった。それだけです。
僕の祖父は言語学者の金田一京介、父は国語学者の金田一春彦で、祖父の代から国語辞典を編纂したりしていて出版社との付き合いは深かった。
ですから仕事の関係で、祖父の家には毎月、未就学児向けの「めばえ」から「小学六年生」(ともに小学館)などの学習雑誌がどっさり送られてきました。それをおもしろがって読んでいたんです。
僕の家には図鑑や百科事典もたくさんあって、4~5歳から読み始めていたと思います。楽しかったなあ。百科事典を読んでいると本当に変なことがいっぱい書いてあるんです。
今でも覚えているのは、百科事典に猿の写真が載っていて、親と一緒に「この猿、おばあちゃんに似ているね」「そうだね、似ているね」と会話していたこと。その後、父や母がいない時も、一生懸命その本を見て、今度は祖父に似た猿を探すんです。発見するとうれしくて、父が帰ってくるや否や「おとうちゃん、発見した! これだよ!」と報告。父は、「お~」と感心してくれました。
僕の場合、こうして一緒になって楽しんでくれる大人がいたから、ますます本が好きになっていったんだと思います。
したがって、親は、ただポンと本を与えればいいわけではなく、その本を自ら読んで楽しむこと。おもしろがること。そして何より、一緒になって楽しむこと。その積み重ねで、子どもにも本のおもしろさを伝えていけるんじゃないかなあ。