「不登校」のキミへ… 小中学時代に絶望した「世界的ロボット開発者」のメッセージ “好きなこと“が必ずキミを救う

シリーズ「不登校のキミとその親へ」#2‐1 分身ロボット開発者・吉藤オリィ氏~子どもたちへ~

ロボットコミュニケーター:吉藤 オリィ

吉藤オリィ氏(左)が開発した分身ロボットOriHime D(右)。東京・日本橋の「分身ロボットカフェ DAWN ver.β」ほか、期間限定キャラバンなどで実際に触れ合える。  写真:日下部真紀

小中高校生の不登校児数は約30万人(2021年度文科省調べ)と過去最多。もはや社会問題とされている不登校。

世界的な賞を多数受賞してきた分身ロボット開発者・吉藤オリィさんも、かつて不登校で苦しみぬいた一人。当時は「消えてしまいたい」と心底願うほどつらい日々だったと言います。

不登校に迷う子どもたちへ。オリィさんからのメッセージを聞いてみよう。

※1回目(全4回)

吉藤 オリィPROFILE
1987年奈良県生まれ。株式会社オリィ研究所共同創設者代表取締役 所長。ロボットコミュニケーター。分身ロボット開発者。小学5年から中学2年まで不登校。2022年、コンピューター界のアカデミー賞と言われる世界的な賞「アルスエレクトロニカ ゴールデンニカ」ほか、受賞多数。「孤独の解消」を人生のテーマに、分身ロボット「OriHime」を開発・普及に務める。趣味は折り紙。

あのころの自分はミライに絶望していた でも

小学校5年から中学校2年まで不登校だった。いくつかの原因が重なって学校に行けなくなって、毎日部屋の天井ばっかり見ていた。あのころの苦しさは、言葉では言い表せない。もう二度と経験したくない。

私は今、仲間と開発した分身ロボット「OriHime(オリヒメ)」を広げる活動をしている。目的はひとことで言うと、すべての人の「孤独」を解消することだ。

障害や病気、介護などで行きたいところに行けない人にとって、「OriHime」はもうひとつの身体になってくれる。仲間と同じ時間を過ごせるし、仕事やコミュニケーションを通じて誰かの役に立つこともできる。

天井ばっかり見ていたころの自分は、自分にミライはないと思っていた。勉強もどんどん遅れていくし、同級生たちができていることができない自分を責め続けた。

最初のうちは、親も「学校に行かなくて将来はどうするんだ」なんて言ってくる。心配してくれているのはよくわかるけど、「将来」の話を持ち出されるのはつらかった。

自分を救ってくれたのは、小さいころから大好きだった折り紙だ。一日15時間ぐらい折り続けていた。

中学1年生のときに母親が、「折り紙が好きなら、ロボットも作れるだろう」と考えて、「虫型ロボット競技大会」というコンテストに応募して「出てみれば」と言ってくれた。その大会で優勝したことが、今の「OriHime」につながっている。

どんなことでもいい。好きなもの、夢中になれるものは、必ずキミの力になる。逆に言うと、嫌いなことを我慢してややっても得意な人には叶わない。今はそういう時代。

人それぞれで自分は自分なんだから、無理してまわりに合わせなくてもいい。それは自分自身を追い詰めるだけだ。

ミライに絶望していた私だけど、それなりに楽しいミライが訪れている。そのころに自分が想像していたことなんて、何ひとつ当たっていない。世の中の「常識」とされていることも、どんどん変わった。

ほんの10年前まで、とくに仕事の場面では「不登校だったことは隠しておいたほうがいい」と言われた。今はこうして、積極的に話している。

迫害の対象だったオタクは今やホメ言葉だし、発達障害だって才能だと言われる時代に変化した。

自分も変わるし、世の中も変わる。「好きなこと」からつながっていく経験や出会いが、想像を超えたミライを連れてきてくれるはずだ。

キミのそのミライは、間違いなく楽しい。


取材・文/石原壮一郎

サステナブル(続ける)をテーマに、オリィさんの開発した「OriHime」、魚を逃がす漁師、しあわせを運ぶチョコレートなど、ノンフィクションストーリー3本を記した『世界でいちばん優しいロボット』(岩貞るみこ/講談社)
オリィさんの大人気講義「これからの時代に知っておくべき考え方」を書籍化した『ミライの武器 「夢中になれる」を見つける授業』(吉藤オリィ/サンクチュアリ出版)

★京都に期間限定で分身ロボットカフェが登場!【2023年12/6(水)〜】

「OriHime」と実際に触れ合える「分身ロボットカフェDAWN ver.β 」が、京都・河原町御池に期間限定(2023年12/6水〜20水)でオープン。リアルで「OriHime」を見て触れてみるチャンスだ!
詳細はこちら

【関連サイト】
オリィ研究所公式HP
分身ロボットカフェ「DAWN」Ver.β公式HP
・X(旧Twitter)オリィ研究所@人類の孤独を解消する 
@OryLaboratory
・X(旧Twitter) 分身ロボットカフェ『DAWNver.β』 
@DAWNcafe2021
・X(旧Twitter) 吉藤オリィ@分身ロボット 
@origamicat

よしふじ おりぃ

吉藤 オリィ

Ory Yoshifuji
ロボットコミュニケーター

1987年奈良県生まれ。株式会社オリィ研究所共同創設者代表取締役 所長。ロボットコミュニケーター。分身ロボット開発者。 小学5年から中学2年まで不登校。高校時代に電動車椅子の新機構の発明に関わり、2004年の高校生科学技術チャレンジ(JSEC)で文部科学大臣賞を受賞。翌2005年にアメリカで開催されたインテル国際学生科学技術フェア(ISEF)に日本代表として出場し、グランドアワード3位受賞。2022年、コンピューター界のアカデミー賞と言われる世界的な賞「アルスエレクトロニカ ゴールデンニカ」ほか、受賞多数。 「孤独の解消」を人生のテーマと定め、高専で人工知能を学んだ後、早稲田大学にて自身の研究室を立ち上げる。その後、対孤独用分身コミュニケーションロボット「OriHime」を開発。株式会社オリィ研究所を設立し、「OriHime」のほか、ALS等の難病患者向け意思伝達装置「OriHime eye」、車椅子アプリ「WheeLog!」、分身ロボットカフェなどを開発提供。 2016年には「Forbes誌が選ぶアジアの30歳未満の30人」に選出。「第24回文化庁メディア芸術祭」エンターテインメント部門ソーシャルインパクト賞(2021)、「グッドデザイン賞2021」グッドデザイン大賞(2021)、「アルス・エレクトロニカフェスティバル」ゴールデン・ニカ賞(2022)などを受賞。趣味は折り紙。 著作に『「孤独」は消せる。』(サンマーク出版)、『サイボーグ時代』(きずな出版)、『ミライの武器 「夢中になれる」を見つける授業』(サンクチュアリ出版)など。 オリィ研究所公式HP  X(旧Twitter):吉藤オリィ@分身ロボット @origamicat

1987年奈良県生まれ。株式会社オリィ研究所共同創設者代表取締役 所長。ロボットコミュニケーター。分身ロボット開発者。 小学5年から中学2年まで不登校。高校時代に電動車椅子の新機構の発明に関わり、2004年の高校生科学技術チャレンジ(JSEC)で文部科学大臣賞を受賞。翌2005年にアメリカで開催されたインテル国際学生科学技術フェア(ISEF)に日本代表として出場し、グランドアワード3位受賞。2022年、コンピューター界のアカデミー賞と言われる世界的な賞「アルスエレクトロニカ ゴールデンニカ」ほか、受賞多数。 「孤独の解消」を人生のテーマと定め、高専で人工知能を学んだ後、早稲田大学にて自身の研究室を立ち上げる。その後、対孤独用分身コミュニケーションロボット「OriHime」を開発。株式会社オリィ研究所を設立し、「OriHime」のほか、ALS等の難病患者向け意思伝達装置「OriHime eye」、車椅子アプリ「WheeLog!」、分身ロボットカフェなどを開発提供。 2016年には「Forbes誌が選ぶアジアの30歳未満の30人」に選出。「第24回文化庁メディア芸術祭」エンターテインメント部門ソーシャルインパクト賞(2021)、「グッドデザイン賞2021」グッドデザイン大賞(2021)、「アルス・エレクトロニカフェスティバル」ゴールデン・ニカ賞(2022)などを受賞。趣味は折り紙。 著作に『「孤独」は消せる。』(サンマーク出版)、『サイボーグ時代』(きずな出版)、『ミライの武器 「夢中になれる」を見つける授業』(サンクチュアリ出版)など。 オリィ研究所公式HP  X(旧Twitter):吉藤オリィ@分身ロボット @origamicat

いしはら そういちろう

石原 壮一郎

コラムニスト

コラムニスト。1963年三重県生まれ。月刊誌の編集者を経て、1993年に『大人養成講座』でデビュー。以来、数多くの著作や各種メディアでの発信を通して、大人としてのコミュニケーションのあり方や、その重要性と素晴らしさと実践的な知恵を日本に根付かせている。女児(2019年生まれ)の現役ジイジ。 おもな著書に『大人力検定』『コミュマスター養成ドリル』『大人の超ネットマナー講座』『昭和だョ!全員集合』『大人の言葉の選び方』など。故郷の名物を応援する「伊勢うどん大使」「松阪市ブランド大使」も務める。ホンネをやわらげる言い換えフレーズ652本を集めた『【超実用】好感度UPの言い方・伝え方』も大好評。 林家木久扇がバカの素晴らしさを伝える『バカのすすめ』(ダイヤモンド社)では構成を担当。2023年1月には、さまざまな角度のモヤモヤがスッとラクになる108もの提言を記した著書『無理をしない快感 「ラクにしてOK」のキーワード108』(KADOKAWA)が発売。 2023年5月発売の最新刊『失礼な一言』(新潮新書)では、日常会話からメール、LINE、SNSまで、さまざまな局面で知っておきたい言葉のレッドラインを石原壮一郎氏がレクチャー。 写真:いしはらなつか

コラムニスト。1963年三重県生まれ。月刊誌の編集者を経て、1993年に『大人養成講座』でデビュー。以来、数多くの著作や各種メディアでの発信を通して、大人としてのコミュニケーションのあり方や、その重要性と素晴らしさと実践的な知恵を日本に根付かせている。女児(2019年生まれ)の現役ジイジ。 おもな著書に『大人力検定』『コミュマスター養成ドリル』『大人の超ネットマナー講座』『昭和だョ!全員集合』『大人の言葉の選び方』など。故郷の名物を応援する「伊勢うどん大使」「松阪市ブランド大使」も務める。ホンネをやわらげる言い換えフレーズ652本を集めた『【超実用】好感度UPの言い方・伝え方』も大好評。 林家木久扇がバカの素晴らしさを伝える『バカのすすめ』(ダイヤモンド社)では構成を担当。2023年1月には、さまざまな角度のモヤモヤがスッとラクになる108もの提言を記した著書『無理をしない快感 「ラクにしてOK」のキーワード108』(KADOKAWA)が発売。 2023年5月発売の最新刊『失礼な一言』(新潮新書)では、日常会話からメール、LINE、SNSまで、さまざまな局面で知っておきたい言葉のレッドラインを石原壮一郎氏がレクチャー。 写真:いしはらなつか