「スマホを3時間以上使う子ども」成績は平均以下? スマホ利用が学力に与える悪影響を脳科学者が解説
子育て中の家庭が知っておきたい「スマホ利用のリスクとメリット」 #1 ~東北大学助教・榊󠄀浩平先生に聞く、スマホ利用が成績に与える影響編~
2024.12.12
東北大学 応用認知神経科学センター助教:榊󠄀 浩平
3時間以上使う子は成績が平均に届かない!?
──スマホの利用時間が伸びることで、単純に勉強時間が減っているということではないのですか?
榊󠄀先生:私たちもその可能性を考えました。また、スマホなどを使うことで、睡眠時間が削られている可能性もありますよね。記憶は寝ている間に整理されて定着するので、睡眠不足は学力低下につながることがわかっています。
そこで翌年2018年に、先ほどと同じ調査に、勉強時間と睡眠時間に関する聞き取りを加え、さらに解析を行いました。すると結果は下のグラフのようになりました。
榊󠄀先生:スマホなどの利用が1時間未満のグループ(上のグラフ)は、睡眠時間と勉強時間が長いほど偏差値が高い子が多いのがわかります。
ところが3時間以上使っているグループ(下のグラフ)は、いくら睡眠をとっても勉強しても、成績が平均に届いていないことがわかったのです。もちろん3時間以上スマホなどを利用しているグループだけが極端に成績が悪いのではなく、利用時間が長くなるほど徐々に成績が低くなっていました。
この調査により、スマホなどの利用が、直接子どもの学力に影響を与えていることが明らかになったのです。
──スマホと言っても、動画、ゲーム、SNS、音楽、検索などさまざまな機能がありますが、アプリやコンテンツによる違いもあるのではないでしょうか?
榊󠄀先生:個別に切り分けることは実験として難しいのですが、調べものなど能動的な使い方をしている場合は、学力への影響が比較的小さいことが私たちの最新の調査でわかってきました。
ただ、どんな目的でも使用時間が長いほど学力が低くなるという傾向は変わりません。スマホなどが学力に与えている影響を示す、もうひとつショッキングな調査結果もあります。