心まであたたまる、「毛糸」と「手仕事」が主人公のほっこり絵本3冊

こどもの本のコーディネーターが絶賛!【さちこ&くみこの空想書店#03】

子どもの本コーディネーター:沢田 幸子

さちこ&くみこは、大のなかよし。子どもと、子どもの本が大好きです。こんな本屋さんがあったらいいなと二人で話しているうちに、できてしまいました--それが、「さちこ&くみこの空想書店」! 今回は、「さちこ」こと沢田幸子さんがあったか絵本をご紹介します。
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・空想だから、いまは買えなくなってしまった本もときどき登場します。(図書館や古本やさん、おじいちゃん、おばあちゃんの家でさがしてみてね)

・空想だから、二人のほんとうのお気に入りだけを置いてあります。


・空想だから、いつでもオープンしています。
 
手作り大好きなさちこさん。ティーポットカバー(ティーコージ)もささっと編んでしまいました!
――今回は、絵本を探しまわるのが大好きな、元幼稚園の先生、そしていまは、こどもの本のコーディネーターとして活躍しているさちこさんから、これからの季節にぴったりの絵本3冊をご紹介します。

さちこ「ふんわりあたたかい毛糸、大好きです。冬の冷たい北風が吹いても、マフラーや手袋、帽子、そしてセーターは、やさしく暖かく、私たちの体を守ってくれますよね。おかげで元気に外を歩いたり遊ぶこともできます。

それでも外に出るのもつらいような寒い日には、おうちで温かいミルクティーでも飲んで、ゆっくり絵本のページをめくるのも素敵です。そんな日に読むのに、ぴったりの3冊をご紹介しますね」

やさしい絵であたたかな手仕事が描かれています

『ねこのニャンルー』
作:どいかや 偕成社
ていねいに描きこまれた絵にうっとり。
『ねこのニャンルー』より
――「チリとチリリ」シリーズで、大人気のどいかやさんの絵本ですね。

さちこ「自然の中での手作りな暮らしは、読んでいて楽しく、心がほっこりします。

おじいさんの古いセーターが、ふんわり毛糸に生まれかわる、ていねいな手仕事が描かれてます。

編み物が得意なおばあちゃんが、孫のニャンルーにやさしくひとつずつゆっくり教えます。ニャンルーは少しずつ編み続けて、長~~い ”?” を完成します。それがなにかは、読んだときのお楽しみです。

ねこたちの服やインテリアも可愛くて、ニコニコしちゃいます。家族全員のごはんもおいしそうなのです」

――せっかくだから、表紙を見せて置いておきたいですね!

さちこ「あったかい雰囲気にしたかったので、絵本の下にフェルトを丸く切って敷きました。本についていた、ピンク色の紙の帯も、切っていっしょに飾ってみました」

――こんな風に飾ってあったら、子どもも手にとって読みたくなりますね!
 

毛糸のあたたかさを描いた、おすすめ絵本

――編み物、毛糸が大好きなさちこさんが大好きという2冊がこちら。

さちこ
「どちらも少し大人っぽい絵本です。でも、小学校高学年くらいからなら、楽しんでもらえるのではないかしら。
この季節に、是非出会ってほしい絵本です」
『ふゆねこ』
文:かんのゆうこ 絵:こみねゆら  講談社
*現在は電子書籍でのみ入手可能
お母さんを亡したばかりのちさとのもとに、ある日、ももいろのマフラーをした猫がやってきて……。
『ふゆねこ』より
さちこ「お母さんと女の子の絆が、手編みの手袋でやさしく甦る物語です。

絆を紡いでくれるのは、ミステリアスな白い猫。編み物上手な猫なんです。

ラストは、心暖まる ”かわいい” が登場します。お楽しみに!」

――ひとりでそっと読みたいような絵本ですね。

さちこ「こみねゆらさんの絵は、小さな映画館で、静かな映画を見ているよう。

かなしみも、さびしさも、暖かい手ざわりの毛糸がそっと包みこんで、乗り越える力もプレゼントしてくれます」
『セーターになりたかった毛糸玉』
作・絵:津田直美 ブロンズ新社

セーターになることを夢見ていた赤い毛糸玉はなかなか編み物に使ってもらえず、悩んでいました。やがて、セーターではないけれど、とてもかわいい手袋になることができ、幸せに暮らしていたのですが……。
かわいい手袋になった毛糸玉にたいへんなことがおこりました!
『セーターになりたかった毛糸玉』より
――こちらは人気の絵本の復刻版ですね。

さちこ「毛糸玉にも、それぞれ夢みる人生があったという設定に心がつかまれました。もちろん、夢はセーターになること。

この絵本は、あこがれのセーターにはなれなかった、余り毛糸玉の波乱万丈な人生が描かれています。辛いことやハラハラすることもあります」

――毛糸玉のお話なのに、ドキドキしますよね!

さちこ「最後に、猫のお母さんとの出会いが、毛糸玉の人生を大きく変えます。

あこがれていたものになれなくても、こんなに暖かい幸福もあるんだ、と勇気づけられる絵本です」

――あまった毛糸玉のことが気になってきました。

さちこ「そうしたら、この季節にぴったりの簡単な手作りをご紹介しますね」

あまり毛糸でアクセサリーを作ってみましょう
 
アームアクセサリー(写真中央)
材料:編み棒2本、好きな色の毛糸少しずつ
作り方:初めに20目作り、それを土台にメリアス編みを7cmくらい編んで長方形を作ります。それを筒型になるように両端を縫い合わせます。写真のように途中で毛糸の色を変えてもいいですね。手首につけてね。

ボンボンつなげてネックレス
作り方:まずボンボン作ります。指2本に毛糸を30回くらい巻き、そっと指から外して中央をギュッと毛糸できつく結びます。まわりを切って球のようにきれいに丸く切り揃え、テグス(透明な糸です。ビーズ売り場などにあります)を針に通して球の真ん中を通します。両端にリボンをつけて完成。

三つ編みカチューシャ
材料:3色の毛糸各60cm 結ぶための毛糸5cm×2本
作り方:1色2本ずつで三つ編みします。編みはじめる前に、6本をまとめてギュッと5cmの毛糸で結びます。最後まで編んだら、5cmの毛糸でしっかり結びます。
短く作って、リボン結びをして安全ピンをつけたら、ブローチにも!
――前回、「どういう絵本が好きですか」と、くみこさんから質問がありましたね。

さちこ「私は、絵本の中の子どもたちや動物たちの表情や仕草に、ちょっぴりユーモアがあって、一所懸命な姿を見ると抱きしめたくなります。

主役だけでなく脇役も画面の中の小物まで見入って、いろいろ発見するのがすごーく楽しくて、『かわいい!』と叫んでしまいます」
――次回は、くみこさんですね。
さちこさん、なにかメッセージのこしておいてください。

くみこさん、教えて!

クリスマスの思い出を教えてください。小さなことでも大きなことでも……。

さちこより

 
次回は、書店で長い間児童書の担当をされていた、くみこさんのおすすめをご紹介します。
おたのしみに!
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さわだ さちこ

沢田 幸子

Sachiko Sawada
子どもの本コーディネーター

幼稚園教諭、書店勤務を経て、出版社に勤める。書店の児童書コーナーを飾りつけを20年間続け、全国をまわる。 フリーになった後、カフェや小さな書店、ショッピングモールなどで絵本のイベントや作家と音楽のコラボなどの企画を続けながら、学校の図書館を楽しいスペースに変身させるため、司書や司書ボランティアに向けて、身近にある材料でディスプレイするワークショップを続けている。 猫が好き。著者に『猫を愛する人のための猫絵本ガイド』(講談社)などがある。               

幼稚園教諭、書店勤務を経て、出版社に勤める。書店の児童書コーナーを飾りつけを20年間続け、全国をまわる。 フリーになった後、カフェや小さな書店、ショッピングモールなどで絵本のイベントや作家と音楽のコラボなどの企画を続けながら、学校の図書館を楽しいスペースに変身させるため、司書や司書ボランティアに向けて、身近にある材料でディスプレイするワークショップを続けている。 猫が好き。著者に『猫を愛する人のための猫絵本ガイド』(講談社)などがある。