2021.08.20

芦田愛菜主演『岬のマヨイガ』で大注目 柏葉幸子ファンタジーの世界

「日常」と「ふしぎ」の境目

『岬のマヨイガ』
(C)柏葉幸子・講談社/2021「岬のマヨイガ」製作委員会

「日常」と「ふしぎ」の境目をえがく名手として、40年以上にわたって、子どもたちに向けてファンタジー作品を発表してきた、児童文学作家の柏葉幸子さん。

講談社児童文学新人賞を受賞したデビュー作『霧のむこうのふしぎな町』(1975年)は、現在に至るまで版を重ねている大ベストセラーですが、宮崎駿監督のジブリ映画『千と千尋の神隠し』のモチーフとなったことでも知られています。

また、2019年には、『地下室からのふしぎな旅』(1981年)が、劇場版アニメとして公開されるなど(タイトルは『バースデー・ワンダーランド』)、〈柏葉ファンタジー〉は、子どもたちだけではなく、幅広い層から注目を集めています。

柏葉作品の魅力は、なんといっても「日常と非日常」がごく自然にまざりあう不思議さにあります。そして、主人公を異世界へといざなう、ちょっと変わった登場人物たちです。

さあ、あなたも不思議なものたちと一緒に、〈柏葉ファンタジー〉の世界に、足を踏み入れてみませんか?

『岬のマヨイガ』が芦田愛菜主演で映画化

映画『岬のマヨイガ』本予告映像/8月27日(金)公開

この夏、柏葉幸子さんが野間児童文芸賞を受賞した『岬のマヨイガ』という作品が、劇場版アニメとなって全国の映画館で公開されます。

劇場版アニメは、このような物語です。

ある事情で家を飛び出してきた17歳の少女・ユイと、事故で両親を亡くした8歳の少女・ひよりは、ともにたまたま「狐崎」という場所で大きな地震、それにともなう津波の被害にあいました。

避難所で、どこから来たのかを問われ困ってしまったユイに助け船を出したのは、背の低いおばあちゃん、キワさんでした。

キワさんに連れられてたどり着いたのは、岬に建っている古民家でした。しかし、どうにもふしぎなことばかりが起こります。

破いたはずの障子がいつの間にか直っていたり、のどが渇いたと言ったらコップに水が汲まれていたり……。
それもそのはず、ここは訪れた者をもてなすという伝説の家、「マヨイガ」だったのです。

ふしぎな力をもったキワさんといっしょに暮らすことになったユイとひよりは、マヨイガで、もっともっとふしぎなものたちと出あうことになるのです――。

このアニメは、東日本大震災の被災地を支援する、フジテレビの「ずっとおうえん。プロジェクト2011+10…」から生まれました。

17歳のユイを演じるのは、テレビ、映画、CMと引っ張りだこの芦田愛菜さん、キワさん役にはベテランの大竹しのぶさんと豪華な顔ぶれです。

本作にはマヨイガ以外にも座敷童子や天狗、動く狛犬など、ふしぎなものがたくさん登場しますが、河童役に選ばれたのはサンドウィッチマンのおふたりです。

劇場版の監督は『のんのんびより』『サクラダリセット』の川面真也氏、脚本は『けいおん!』『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の吉田玲子氏というタッグで、制作は『はたらく細胞!!』『ジョジョ』のdavid productionという安定感のある布陣です。

『岬のマヨイガ』は、劇場版アニメにさきがけ、舞台にもなりました。

こちらは、キワさん役に竹下景子さん、ユイ役に栗田桃子さん(文学座)、ひより役に井上向日葵さんがキャスティングされました。

『岬のマヨイガ』を書籍で楽しむ

『岬のマヨイガ』 
著:柏葉 幸子/絵:さいとう ゆきこ

『岬のマヨイガ』 
著:柏葉 幸子/絵:さいとう ゆきこ
あの日、両親を亡くした萌花は親戚にひきとられるために、そして、ゆりえは暴力をふるう夫から逃れるために、狐崎の駅に降り立った。
彼女たちの運命を変えたのは大震災、そして巨大な津波だった。命は助かったが、避難先で身元を問われて困惑するふたり。救いの手をさしのべたのは、山名キワという老婆だった。
その日から、ゆりえは「結(ゆい)」として、萌花は「ひより」として、キワと女三人、不思議な共同生活が始まった――。

『小説 劇場版アニメ 岬のマヨイガ』 
著:吉田 玲子/原作:柏葉 幸子/監修:「岬のマヨイガ」製作委員会

『小説 劇場版アニメ 岬のマヨイガ』 
著:吉田 玲子/原作:柏葉 幸子/監修:「岬のマヨイガ」製作委員会
脚本担当の吉田玲子(『けいおん!』『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』など)による完全ノベライズ。

『岬のマヨイガ 映画ノベライズ』 
文:森川 成美/原作:柏葉 幸子/脚本:吉田 玲子/監修:「岬のマヨイガ」製作委員会

『岬のマヨイガ 映画ノベライズ』 
文:森川 成美/原作:柏葉 幸子/脚本:吉田 玲子/監修:「岬のマヨイガ」製作委員会
スクリーンの感動を小学生読者にも届けるために児童文学作家・森川成美さんが青い鳥文庫版にノベライズ。

著者プロフィール

写真:大坪尚人

柏葉幸子(かしわば・さちこ)
1953年、岩手県生まれ。東北薬科大学卒業。『霧のむこうのふしぎな町』(講談社)で第15回講談社児童文学新人賞、第9回日本児童文学者協会新人賞を受賞。『ミラクル・ファミリー』(講談社)で第45回産経児童出版文化賞フジテレビ賞を受賞。『牡丹さんの不思議な毎日』(あかね書房)で第54回産経児童出版文化賞大賞を受賞。『つづきの図書館』(講談社)で第59回小学館児童出版文化賞を受賞。『岬のマヨイガ』(講談社)で第54回野間児童文芸賞受賞。ほかの著書に、『ぼくと母さんのキャラバン』(講談社)、「竜が呼んだ娘」シリーズ(朝日学生新聞社)など。

<関連記事>

柏葉幸子の本