2021.08.04

「母乳・ミルク・混合」結局どれがいいの? 東大医学部卒のママ医師が徹底解説

教えて、もりたま先生! 「母乳とミルク」のウソ・ホント #1

寄稿家:森田麻里子

世界の最新研究をリサーチして生まれた著書『東大医学部卒ママ医師が伝える科学的に正しい子育て』(光文社新書)が話題のもりたま先生。  写真:村田克己

赤ちゃんは、母乳じゃないと健康に育たない――。ママたちの間には、今でもこんな“母乳神話”が存在します。けれど、本当にそうでしょうか。母乳は善で、ミルクは悪? 第1回は、東大医学部卒の医師で2児のママでもある“もりたま先生”こと森田麻里子先生に、母乳育児とミルク育児、混合育児のメリット・デメリットをママライターが伺いました。

母乳は間違いなく赤ちゃんにとって“最良の栄養”

――厚生労働省が2015年に実施した調査(※1)によると、生後3ヵ月での栄養方法について「母乳栄養」と答えた人が54.7%で、平成7年度の38.1%より16.6%増加。母乳とミルクを併用する「混合栄養」も含めると、89.8%のママが母乳育児に取り組んでいることがわかりました。母乳育児への意識は、年々高くなっているのでしょうか?
※1「平成27年乳幼児栄養調査/厚生労働省」  

もりたま先生「日本のママの中には、たしかに“母乳神話”が存在しています。『絶対に母乳で育てたい』というママが多いように感じますし、『母乳で育てている人がほとんどだから、当然そうするもの』というママもたくさんいらっしゃいます。赤ちゃんには、母乳がいちばん。それは正しいことなのですが、『母乳じゃなきゃいけない』と思いこんでしまっている方が多い印象です。一方で、少数派ではあるものの、『ミルクでいいんじゃない?』というママもいるのですが、それを言い出しにくい雰囲気があるように思います」

――「母乳こそが愛情の証」「ミルク育児は手抜き」といった風潮が、ママを追い詰めているところがあるのかもしれませんね。それほどまでによいとされる母乳育児には、どんなメリットがあるのでしょう?

もりたま先生「もっともよいところは、母乳にはお母さんの免疫物質が含まれることだと思います。ミルクにはないメリットですね。授乳している間、長くても1~2歳ぐらいまでですが、母乳には風邪などの急性疾患から赤ちゃんを守る効果があります。もうひとつは、簡単であること。ミルク育児はミルクを作ったり、哺乳瓶を消毒したり、意外と手間がかかりますよね。赤ちゃんを連れておでかけするときも準備が必要で、哺乳瓶に粉ミルク、お湯を入れた水筒など、荷物も多くなります。それに、お金がかかる。私は次男が混合育児で、最近、完全ミルクに移行したのですが、正直ミルクは高価だなぁと思います。母乳育児の場合、ママの食事量は増えるかもしれませんが、経済的ですよね」

――反対に、デメリットはどうでしょうか?

もりたま先生「そもそも母乳が出るか・出ないかは個人差があるので、母乳育児をしたくてもうまくいかない場合があります。ちょうどいい量が出ればいいのですが、十分に出なかったり、反対に、出すぎて困るママも。胸が張って乳腺炎になる、乳頭が切れる、といったトラブルを起こすこともあります。

また、ママじゃないと直接の授乳ができないので、ずっと赤ちゃんと一緒にいなければならず、ひとりで出かけられない、仕事復帰が遅れる、夜中の授乳をパートナーに代わってもらいにくいなどの悩みも。母乳育児だと、どうしてもママがひとりで抱え込んでしまいがちです。

あとは、赤ちゃんとおでかけしたとき。ミルクならどこでも飲ませられますが、母乳だと授乳できる場所を探すか、授乳ケープを使って人目を気にしながらあげないといけないですよね。授乳室の数は少しずつ増えているように感じますが、増えているということは“授乳は授乳室でするべき”という、ある種のプレッシャーにもなり得るのかなと思います」

――「母乳を与えている間は妊娠しにくい」という点はいかがでしょう?

もりたま先生「母乳を作るホルモン(プロラクチン)には排卵を抑制する効果があって、授乳中は妊娠しにくい状態になります。出産後すぐに妊娠してしまうと母体への負担が大きいため、WHOはメリットとしてあげているのですが、それは家族計画がきちんとされていない途上国も含めた話ですね。日本の場合はむしろ、二人目の不妊治療を始めたいから、早めに母乳からミルクへ移行するケースも多いと思います」

4歳と0歳、2人の男の子のママでもある、もりたま先生。自身の経験を交えながら、わかりやすく解説してくれました。  写真:村田克己

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