「自分の体は自分だけのもので、自分の体のことは自分できめる」ということを知る

少しでも話しやすい雰囲気にするため、取材やワークショップでは性器をモチーフにしたポップなバッジをあえてつけています。  撮影:葛西亜理沙

自分を性被害から守る、また性交渉を持ちたいと思う自分や、相手を傷つけない、という意味で正しい性教育が必要だとは思いますが、なぜ未就学児のような幼い頃から性教育に触れる必要があるのでしょうか? 

たかお「性教育の根幹であり、大切なのは“自分の体は自分だけのものであって、自分の体のことは自分で決める”ということを知ることです。自分の体のことを自分で決めるというのは当たり前のように聞こえますが、より良い選択を選ぶためには知識が必要です」

みさと「性に関する正しい知識がなければ、自分で決めているようで結局は世間や親の押し付けに惑わされ、自分の気持ちを優先して決めるのが難しくなります。だからこそ性教育は必要ですし、なにより『ノー』と言えるようになることが大切です。

子どもが学校へ行き、共同生活を始めると我慢をすることが必要な場面も増えてきます。すると、いつの間にか我慢をして『ノー』を言わないことが美徳のように思い込んでしまうことも。これはとても危険です。

自分が我慢すればいいという考えが根付いてしまうと、万が一、性被害にあった時に我慢をしたり、被害の報告を心の中に閉じ込めてしまったりすることがあります」

たかお「ですから、子どもが『ノー』と言ったことを認めることも大切です。自分の“イヤだ”という意思が、きちんと受け止められるという経験は必要だと思います。

些細なことですが、お風呂に入るのを子どもがイヤだと言ったら、『じゃあ10分後に入ろうね』と提案してみる。夕方の忙しい時間に親としてはガックリしますけど(笑)、出来る限り『ノー』を尊重し、尊重できないときは理由を説明することで、子どもは自分が感じた違和感を口にできるようになると思います」

撮影:葛西亜理沙

プライベートゾーンだけを守ればいいわけじゃない

みさと「最近“プライベートゾーン”という言葉を耳にすることも多いと思います。『水着で隠れる部分(プライベートゾーン)は大切な場所だから守りましょう』と言われていますが、私たちはプライベートゾーンだけが大切だとは思っていません。

例えば、その子にとって右手が大切だったらそこはプライベートゾーンと同じくらい大事にしてあげるべきだし、頭を大事にしているので触れられることを嫌がる子がいたら、それも同じぐらい尊重するべきです。

自分の体でなにが大切なのかは自分で決めていい。そしてそこを触れられることについて嫌だと思うのならば、しっかりとノーと言っていいよと伝えたいです」

たかお「もちろん、プライベートゾーンは犯罪で狙われやすい部分ですし、下着で隠している部分なので触れられると体を侵害された気持ちになります。ですからプライベートゾーンが大切なことには変わりありません。

ただ、まずは自分の体は自分だけのもので、大切なもの、という意識を確立してから、プライベートゾーンのことを伝える方がよいと思います」

自分の体のことは自分で決めていい、そして自分にとってより良い選択をするために性について知識を得ることが必要という考え方が性教育の根幹ということを理解しておけば、性を学ぶことが恥ずかしいという思いも払拭され、自分自身を確立するための大切な一歩と考えることができるかもしれません。

第2回では、幼稚園やお友達同士で起きた性のトラブルや、性被害を受けた場合の対応について伺います。

取材・文/知野美紀子

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