
2021.03.22
子育て中は、日々、悩みや困りごとがありますね。そこで、「モンテッソーリで子育て支援 エンジェルズハウス研究所」所長で、たくさんのお母さま、お父さまの相談にのってこられた田中昌子先生にお話をお伺いしました。ちょっとした工夫で、子どもたちに大きな変化が起こるモンテッソーリの考え方は、目からうろこが落ちることがいっぱいです。子育て中の人、必読です!
※この記事は、講談社絵本通信掲載の企画を再構成したものです。
2歳10ヵ月の女の子です。2歳前からトイレトレーニングを始めてもう1年近いのですが、なかなかうまくいきません。
下に弟が生まれたばかりということもあり、紙おむつでしかしません。私も漏らされるのが嫌ですし、紙おむつが楽なので、ついそのままになっています。
でも、幼稚園に入るまでにはなんとかしたいと焦ります。ママ友は、できたらシールやお菓子などのごほうびをあげる、漏らしたらきつく叱ればいい、と言いますが、それをしても進んでいません。モンテッソーリ教育ではどのように教えるのでしょうか?
また「おむつなし育児」というものもあるそうですが、下の子のために、それについても教えてください。
私の勉強会にいらっしゃる方からも、同じようなご質問を多くいただきます。
私も孫がいる年齢となりましたが、ご質問者の親世代はまだ布おむつが多かったことでしょう。比較的早くはずす風潮だったこともあり、親からの「まだおむつ、はずれないの?」という言葉に傷ついた、というレポートをいただいたこともあります。
3歳や入園という節目が近くなって焦るお気持ちもよくわかりますが、焦ったり叱ったりしても、おむつが取れるわけではありません。最近は大きなサイズの紙おむつが発売されるようになり、遅くなる傾向にありますが、それでもいつかは取れるものですから、まず、お母様がゆったりと構えることから始めましょう。
おむつ をはずす練習を、一般的には「トイレトレーニング」と呼びますが、モンテッソーリ教育では正式な名称を「トイレットラーニング」としています。
つまり大人がする訓練ではなく、子ども自身の学びと捉えているのです。子どもが主体というモンテッソーリ教育の考え方がよく表れている名称ですね。
基本的な考え方としては、以下の3点があります。
1 排泄は自然で生理的なもの。健康的なことであって、否定的なものではない
大人は「汚い」や「臭い」など排泄について否定的に捉えてしまいます。でも、幼児にとって、うんちやおしっこは汚いものではなく、むしろ自分の体から出たもの、一体感があるもので、愛着があるのです。
食べて排泄することは生きている証です。出たことを喜び、感謝の心を持って接してあげましょう。
2 子ども自身が自分のからだを意識し、排尿の感覚を学ぶもの
排泄習慣は、自然に出来上がるものではありませんから、大人が習慣づけを手伝う必要があります。
ただし、あくまでも主体は子どもです。からだの発達に合わせて上手に援助することで、子ども自身が自分のからだを意識できるようになり、自然に感覚を学ぶようになります。根気よく繰り返しすることが必要です。
3 自らおむつではなくトイレでの排泄を選ぶもの
最近は、紙おむつの性能が格段に良くなり、おしっこ3回分でも大丈夫と言われています。
とはいえ、おしっこをしたおむつは、表面はサラサラでも湿気を含んでいて、パンツに比べるとずっと重いのです 。大人用の紙おむつを履いて実験すると、その不快感が体験できるそうです。
生まれたときからずっと紙おむつを履いている子どもに選択肢はありませんが、パンツを体験した子どもに選ばせると、快適さからも、動きやすさからも、パンツを選びます。
おむつの中にではなく、トイレですることを自分で選び取るようになるものです。気持ちがいいことを体験させてあげましょう。
トイレットラーニングを始める準備が整う頃
それでは、いつ頃からトイレットラーニングをスタートするのが良いのでしょうか?
歩けるようになると、おむつ替えを嫌がりませんか? 自分でしっかり歩けるようになるということは、自分の意思で歩いて排泄する場所まで行くことが可能になったということです。
また1歳を過ぎると、おしっこを1時間くらいは溜(た)められるくらいに膀胱(ぼうこう)も成長してきます。
さらに、言葉が出ていなくても、大人の言うことは理解できるようになっている時期でもあります。完全にはできなくても、パンツを下げたり、足を入れたりできるようになり、自立へと向かっています。
つまり1歳過ぎから1歳半までの間、だいたい1歳3ヵ月前後にはさまざまな意味からトイレットラーニングを始める準備が整っていると言ってよいでしょう。
個人差もありますから、上記のような様子をよく観察して、準備が整っているかどうか、チェックしてみてください。
この頃になったら、できればおむつはやめて、トレーニングパンツなどの布パンツに移行するといいでしょう。
移行したら紙おむつとは併用しないことがポイントです。紙だと濡れたことがわかりにくく、気持ちいいか悪いかがはっきり感じられないからです。
1歳代で始めると、おむつ以外に排泄することを嫌がることは少なく、パンツが汚れたら替えることが当たり前になります。
2歳を過ぎてから始めようとすると、第2回でお伝えした秩序感、一般的には「魔の2歳児」と言われる時期と重なり、こだわりが強くなってきます。
紙おむつにこだわって布パンツをはきたがらなかったり、漏らしているのに「していない!」と言い張って替えさせてくれなかったりして、余計に難しくなることがあります。
「排尿することは良いこと」「漏らすことは当たり前」だと考える
次に大人の対応ですが、モンテッソーリ教育では、賞罰で子どもを動かすことについて、トイレに限らず、良いことではないと考えています。
ポイントは失敗しても叱らない、できたときも大げさに喜ばないことです。一般的な考え方とは正反対ですね。
大人が「失敗してはいけない」「トイレに行かせなければ」と思うことがもっとも良くありません。「排尿することは良いこと」「漏らすことは当たり前」だと考えましょう。場所はどこであれ、おしっこが出たこと自体が素晴らしいのです。
漏らしてしまったときは、「濡れて気持ちが悪いね」「替えたら気持ちいいね」と言ってあげましょう。
できたときは、「おまる(トイレ)に座れたね」「おしっこがでたね」という言葉をかけてあげるといいでしょう。
大人が大げさに喜んでしまうと、子どもは次にまた喜ばそうとして逆に緊張し、失敗することが多くなってしまいます。第9回の「ほめてはいけないのでしょうか?」もぜひ参考になさって下さい。
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