脳科学者・細田千尋先生が「3人の子育て」で必ずやっていることとは?
日常生活でも「継続する習慣」が、子どもの”やり抜く力”につながる〔細田千尋先生インタビュー 第5回〕
早期にならいごとを始めるべきか、については次回(第2回)で解説いたしますが、子どもの脳の発達という観点からすると、“ゴールをどこへ設定するか”も同じくらい大切です。
先ほども言ったように、『前頭葉』の発達ピークは10代になってから。ならいごとをさせる目的が、“能力の高い子になって欲しい”、“将来何かの分野で成功して欲しい”というものだとすれば、幼児期にやり始めたならいごとを『前頭葉』の発達ピークである、13歳~14歳、場合によっては10代後半まできちんと継続させるということが重要になってきます。
例えば、幼稚園受験や小学校受験をゴールに設定しているお子さんは、この時期にペーパーテストなどを多量に解くことや、多種類のお稽古などをしますが、合格後もそれらを同じくらい継続しているというご家庭は多くはないはずです。
知能に関わる『前頭葉』の発達は10代がピークなのに、受験が終わった6~7歳で辞めてしまうと早期に学習を始めた意味が減ってしまうのです。
アートでも運動でも、どんな内容のお稽古やならいごとでもいいので、本人がきちんとやり切れることを、自律的に長く継続する、ということが、脳科学的に見るならいごとの正しい姿と言えます。
また最近は、幼児教育のテーマとして「小さなころから非認知能力を伸ばしましょう」というのもよく耳にします。
しかし、非認知能力と一般的に部類されているやり抜く力は、10代、早くても6~7歳から、長い時間をかけて伸びていきます。
逆に幼児期は認知機能も大きく伸びる時期。生涯のIQは7歳くらいまでに決まるという話もあるくらいです。
一方で、非認知能力は年月で変化することがわかっています。
なぜなら、非認知能力を伸ばそうとすれば、認知能力が必要になってくるのですが、非認知能力は、思春期や成人を過ぎても伸ばせる能力なので、幼児期から長い期間お稽古を継続しなければならない。
そして脳はやらなくなったことはすぐに忘れてしまいがちなので、脳が忘れないように続けなくてはいけません。
先ほども出ましたが、ならいごとは継続することが一番大切。それが認知能力と非認知能力の両方を一番伸ばすことにつながるからです。
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第2回では、早期にならいごとを始めるべき? ならいごとのはじめる時期について解説していただきます。
取材・文 山田祥子
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細田 千尋
東北大学大学院 情報科学研究科准教授。 内閣府 moonshot研究目標9プロジェクトマネージャー(わたしたちの子育て―child ...